伊国/劇作家です。

野生の劇作家。7年目です。戯曲を書きながら、演劇や映画の表現について考えています。

伊国/劇作家です。

野生の劇作家。7年目です。戯曲を書きながら、演劇や映画の表現について考えています。

マガジン

  • 雑記林

    鬱蒼と生い茂る雑記の林。徒然なるままに形成された記憶と記録の生態系。

  • 伊国トモリ作品集:カルぺ・ディエム/2023

    2023年に書いた戯曲とかエッセイです。 『カルぺ・ディエム』/「戯曲か、小説か、あるいは別の「何か」か」/『光の速さで生きて』/「メランコリーの彼岸」/『冷たい熱視線』/「過去のおれよ、どうか笑って手を振り返してくれ。」

  • メランコリーの彼岸

    創作活動を始めて5年経った記念のエッセイ。

  • 電脳天使 18-22

    気付いたら駅のホームにいた。 その電車はシーサイドを走っている『水彩奴』、何も見えない、何も見たくない『盲目』、平城京から追い出された下人の物語『The Inner City』、ボクとキミとの「とある距離」の話『星に願いを』、父と息子の運命が狂いだす『因果平衡』、お笑いに人生を呪われた男の半生記『しかく』、2人の女学生が向かうのは夢の終着駅『光の速さで生きて』。——2018年から2022年までに執筆した短編集4本、読切3本を収録した有馬風音の作品集。

  • 【SF戯曲】因果平衡

    この国にはひとつの穢れが巣食っている。ミヌ―アの領主レヒトは父親殺害の犯人を捜すため、過去へ遣いを飛ばす。遣いが重要参考人として連れて帰ってきたのは、レヒトの弟と名乗る人物だった。男は事件の犯人をレヒトだと告発し……。

最近の記事

eeee感じ!!!!/発掘した言葉3

 最後に聴いたのはいつだったろう。連続テレビ小説『エール』の「星影のエール」とか、TBS系連続ドラマ『義母と娘のブルース』の「アイノカタチ」だったろうか。彼らの音楽は厚みのあるメロディーに乗った真っすぐな歌詞が魅力なんだ。でも、これらの曲を初めて聴いたとき、わたしは昔——わたしが小・中学生だった頃——のように感動できなくなっていた自分に気付かされた。わたしは暗くて、卑屈で、ひねくれてしまったのかな。  わたしが彼らの音楽に出会ったのは、2008年——わたしが8歳のとき——で

    • 異界から目薬

       物忘れが激しいことに定評のあるわたしなのだけれど、その一方で物を無くしたと思い込むこともよくある。  今日はそういう日だった。わたしはあまりにも物忘れが激しいので、毎日使うものはいつも決まった場所に置くようにしてる。今日は、その「いつも決まった場所」になかったのだ。イヤ、正確にはそこにあったのだけれど、一回目に確認したときには、そこにはなかったのだ。わたしがそれをどこか他の場所に置くなんてことはほとんどありえなかった。だって、次の日に「ない!」と言って、朝からバタバタと探

      • 高所恐怖症、タイムマシーン、Swing/発掘した言葉2

         ふと、思い出した台詞。なんで急に思い出したのかは分からない。多分、とても大事な台詞だったように思う。でも、わたしは高いことろが苦手なんだ、いわゆる高所恐怖症というやつ。きっかけもよく分からない。気づいたときには、すでに高い所は苦手だった。これに関連して思い出したことは、高校生の頃、定期試験のとある科目で学年1位の点数を取ったとき——たしか96とか94とかそんな点数だったように思う——、嬉しくて両親に報告すると「なぜ100点を取れなかったのか」と言われ、その次の試験で成績が下

        • 忘れっぽいな

          ひそかに、誰にも言わずに立てていた今年の目標があったのだけれど、1回もやらずに1ヶ月と14日が経ってしまった。やはり、目標は誰かに宣言するに限る。そういうわけなので、今日からできるだけ日記をつけて生きたい。昨年末、その年の振り返りを書こうとしたら、まったく、なにも思い出せなかったことが今でも口惜しいのに。ホントウは、車載カメラみたいに見たものぜんぶ記録しておきたいのだ。それだけ記録とかに執着しているのに、記憶力がダチョウ並みにしかなくて、日々の忙しさに追われると、日常

        eeee感じ!!!!/発掘した言葉3

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          31本
        • 伊国トモリ作品集:カルぺ・ディエム/2023
          12本
        • メランコリーの彼岸
          7本
        • 電脳天使 18-22
          36本
        • 【SF戯曲】因果平衡
          7本

        記事

          漂う書き言葉/発掘した言葉1

           過去に書いた文章が手元にある。パソコンの奥深くに眠っていたのを偶然掘り出した。おそらく、2022年の1月に書いたものだと思う。結構おもしろいことを書いていたので、少し長くなってしまうが、全文をここに展示しておこうと思う。  資金調達ができず、ここに出てきているタイトル『光の速さで生きて』の撮影が頓挫した後に書いたものだと思う。演劇一辺倒だったぼくが「映像」問題に取り組みだしたのは、コロナウィルスが流行しはじめた時期だった。ぼくは今は亡き「Zoom演劇」に、——ぼくの目から

          漂う書き言葉/発掘した言葉1

          過去のおれよ、どうか笑って手を振り返してくれ。

           2023年はオンオフが激しかった。上半期はずっとエンジンがヴヴンとかかっていたけれど、秋に入ってからすっかり燃料切れを起こしてしまっていた。そこからは惰性。ただただ転がるように過ごしていた。しばらく元に戻ることはないだろうな。 〇今年書いたものたち  ・戯曲『カルペ・ディエム』1月 noteにて公開 ・エッセイ「脚本か、小説か、あるいは別の「何か」か」1月 noteにて公開 ・戯曲『光の速さで生きて』5月 noteにて公開 ・戯曲『マキナ・ハートビート』第一部 6月 未公

          過去のおれよ、どうか笑って手を振り返してくれ。

          【脚本】冷たい熱視線

          東欧土降る魔女のポタージュグレーテルのムニエル復讐のシャーベットLost-roast-Hecate金の林檎、銀の銃弾絡まるマキアート

          【脚本】冷たい熱視線

          7.全日本脳内自分反省会選手権大会優勝

          優勝してしまった。夢の話ではない。今回は脳内の話だ。 ぼくは以前、「悪い癖:どうしてずっと忙しいのか」という記事を書いた。参考の為にURLを載せておこう。 なぜかTo do リストが増え、そのうえ気持ちもなんだか忙しない、そんな状況を分析した記事だ。手前味噌で申し訳ないが、なかなかおもしろいことを書いている。特に重要だと思われる部分を抜粋しよう。 無意識の思考場所。それが、ぼくにとって、全日本脳内自分反省会選手権大会になってしまった。挙句、優勝してしまった。もう何も考え

          7.全日本脳内自分反省会選手権大会優勝

          6.夢、語尾、視線

          夢の中でケンカしてしまった。いや正確にはケンカになる直前だった。きっと昨日あんな記事を書いたからだろう。 夢の中でその人は泣いていた。なぜ泣いているか分からなかったので、ぼくは話しかけて理由を聞こうとした。すると、その人は「私の気持ちなんて分かるわけがない!」と大きな声を出した。そこでぼくは「これは夢だ」と確信した。その人がそんなことを言うわけないと思ったからだ。 どうやったか分からないが、気合いで目を覚ますことができた。見慣れた自分の部屋。スマホを確認すると午前3時半だ

          6.夢、語尾、視線

          5.コミュニケーションの「修業時代」

          大庭葉蔵はコミュニケーションに対して倫理的であったろうか。大庭葉蔵はぼくなのだから、おそらく、その答えは「否」であろう。(「神様みたいに良い人1」)大庭葉蔵は上辺だけの甘い言葉並べ立てていた。しかし、小学校の友人である竹市と結婚相手のヨシ子にだけは倫理的であろうとしたーーと思いたいーー。 コミュニケーションの倫理。それは人間関係の中にある真摯さのことだ。相手の目を見て話す、聴く。当たり前のことが一番難しい。 生田Q蔵はみんなにとって「良い人」であった。しかし、その中でもQ

          5.コミュニケーションの「修業時代」

          4.眼を見ること

          「あなたは無意識にこういう風に思っているのですよ」と告げられて「はい、その通りです」と肯定できる人はいるのだろうか。無意識は自覚できないからこそ無意識なのである。 だからホントウに避けようとしているかどうかは、ぼくにも分からない。しかし、ひとつだけ確かに言えることがあるとするならば、コミュニケーションに苦手意識を持っているということだ。いつからか覚えていないが、ぼくは相手の目を見ることができなくなったし、ホントウに言いたいこと、相手に伝えたいことを言おうとすると、言葉が喉に

          3.言の葉の裏側

          昨夜、とんでもない夢を見た。ぼくは夕方に記事を書いて、夜にそれを投稿したのだが、昨夜見た夢はホントウに「無意識」の存在を認めざるをえないようなものだった。以下が昨夜見た夢の内容である。 ぼくは電車に乗っていた。JR大阪駅を出発した電車であると感じていた。しばらく乗って駅を降りた。大きな駅だったので、尼崎か三ノ宮だったような気がする。この駅のホームで1人の女性と出会う。(この女性の顔はまったく覚えていない。) その女性と少し会話をしたあと、女性が「ここで待ってて」というよう

          2.セントエン

          今年入ってから、手紙ついて考えることがある。 ぼくは手紙を出したことがない。だからどんなものか実はよくわかっていない。LINEとどう違うのだろうか、といかにも無垢なデジタルネイティヴっぽいことを書いてみる。 手紙、電子メール、LINE、SNSへの投稿、ブログ、後ろへ行けば行くほど不特定多数を相手にしているが、いずれの場合も、誰かに宛てて書き、そして誰かが読む(かもしれない)という点では似ているような気がする。そう意味では、ぼくは今「手紙」を書いている。 コミュニケーション

          1.ケンカもできない

          先日、演劇部の引退公演を終えて丸5年経ったと聞いた。そこから受験勉強して大学で勉強して、今は大学院生になっている。この5年間(長いのか短いのかよくわからない)に、ぼくはどれだけ演劇に関わってこれただろうか、と考えてしまった。 ぼくは「やれることはやった」と思っている。だから後悔とかそういうものは全くない。あるいはそう思いたいだけかもしれない。今となっては、演劇との繋がりはほとんどなくなっていると言っても差し支えない。そのくらい、擦り切れたか細い糸なのだ。 でも未だに「劇作

          1.ケンカもできない

          【脚本】光の速さで生きて

          あらすじ eスポーツ部部長の九条ユノは部活を辞めた。部員と喧嘩をしたのだ。見かねた幼馴染のマナカはユノを仮想空間〈Awoniyoshi〉へと誘う。そこでは〈シルクロード〉と呼ばれる巨大なeスポーツの大会が開催されていて……。 登場人物リアル編 ・九条ユノ    元eスポーツ部部長 ・羽村マナカ   ユノの幼馴染み ・橋ミツリ    ライバル ・立花アヤ    eスポーツ部部員 ・木野リクト   eスポーツ部部員 ・藤原カズヤ   eスポーツ部部員 バーチャル編 ・キャシア

          【脚本】光の速さで生きて

          【エッセイ】脚本か、小説か、あるいは別の「何か」か

           「コレはなに?」 最近、書きあがった作品を読み返すと必ず思うことがある。 「コレはなに? 脚本? 小説?」  わたしはこれまでずっと会話劇を書いてきた。だから、当たり前だけど、作品はキャラクターたちの会話が中心。だけど、最近ちょっと思うことがあって、作品の中心が会話からト書に移行しつつある。  というのも、わたしが書く作品は「演劇脚本」と銘打っているわりにファンタジーがすぎて舞台に適してないんじゃないかと思うことがあったから。まあ、それを「どう表現するか」が演劇のお

          【エッセイ】脚本か、小説か、あるいは別の「何か」か