森林減少問題
みなさんこんにちは。ReFのNaomiです!🌞
猛暑もやっと落ち着き、空気から秋を感じるようになりましたね🍁また、長い夏休みが明け、大学も始まりました。気を引き締めて今学期も頑張ろうと思います!
今回の記事では、森林減少問題について解説します。中でも、自然科学的なメカニズムについて言及をし、次回担当する記事で国際社会の取り組みについて解説する予定です(^^)
また、私が以前に書いた地球温暖化関連の記事を以下に添付しています。今回の森林減少問題と重なる部分もあるかと思いますので、もし機会があればぜひご一読ください。
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【目次】
森林の有する機能
森林減少の動向と現状
森林の有する機能
林野庁のウェブサイトにて言及されている、日本学術会議の定義する森林の有する機能は以下の8つとされています(https://www.rinya.maff.go.jp/j/keikaku/tamenteki/#kinouichiran)。
生物多様性保全
地球環境保全
土砂災害防止機能/土壌保全機能
水源涵養機能
快適環境形成機能
保険・レクリエーション機能
文化機能
物質生産機能
なんとなくは理解できるけど、漢字がずらずらと並び、詳しくはどういうことだと思う方も少なくないかと思います。この疑問に対する答えを今から説明します🫡
1.【生物多様性保全】
森林は生物多様性を保全する大切な役割を担っています。森林には、遺伝子・生物種・生態系を保全する根源的な機能があります。日本国内の森林は、約200種の鳥類、2万種の昆虫類をはじめとする多くの野生動物の住処です。
2.【地球環境保全】
森林は、光合成を行うことで地球規模で自然環境の調節を行っています。
光合成というのは、植物が太陽の光エネルギーを利用して、水と二酸化炭素から酸素と栄養を作り出す過程です。
地球温暖化の原因となっている温室効果ガス。その中でも大部分を占める二酸化炭素を光合成により吸収することで、地球の温暖化防止において重要な役割を果たしています。
日本の森林は光合成によって、年間約1億トンの二酸化炭素を吸収しています。これは日本の二酸化炭素排出量の8%に相当し、自家用乗用車の排出する二酸化炭素量の7割に当たります。微々たるように思えますが、大変重要な二酸化炭素シンクです。
3.【土砂災害防止機能/土壌保全機能】
森林の木々の下に生える植物や低木、草本類(下層植生)や木から落ちた枝や葉が地表の侵食を防ぎ、また、樹木が根を張り巡らすことによって土砂の崩壊を防ぐ役割を果たしています。
4.【水源涵養(かんよう)機能】
森林の水源涵養機能とは、森林の土壌が降水を吸収し地下水として蓄えることで、洪水を緩和し、河川に流れ込む水の量を調節する役割を指します。これにより、川の水量が安定し、洪水や渇水を防ぐことができます。
また、雨水が森林の土壌を通過する時に、土壌がフィルターとしての役割を果たすことで、水質が浄化される効果もあります。
林野庁より(https://www.rinya.maff.go.jp/j/keikaku/tamenteki/con_2_4.html)
5. 【快適環境形成機能】
森林には蒸発散作用があり、この作用は気候を緩和することができます。
どういうことかというと、植物が根から吸収した水分を葉から水蒸気として大気に放出することで周囲の空気が冷やされ、気温が下がるためです。
また、防風や防音作用もあり、樹木の葉で塵埃の吸着もできるので環境を快適に保つ手助けをしてくれます。都市では、ヒートアイランド現象を和らげる働きもあるので都市部の温度上昇を抑え、気候をより過ごしやすくしています。
6. 【保健・レクリエーション機能】
これは皆さんも想像できることかと思いますが、自然に触れる・森林を歩くと癒されますよね。実はこれは研究でも証明されています。
森林を歩くと副交感神経活動が高まり、生理的にリラックスすることができます。森林の中を歩くと、都市を歩くのに比べて、2倍程度まで副交感神経の活動が高まります(Park BJ, Miyazaki Y.et al., 2010)。
また、森林を眺めるだけでも副交感神経が高まり生理的にリラックスすることも研究から証明されているそう。ストレスホルモン濃度も低下し、ストレスの軽減にもつながるみたいです。森林って偉大ですね🤩
私も現在東京に住んでいるので、リラックスするために戦略的に樹木の多いエリアに向かうようにしています🌳🪵
7.【文化機能】
また、森林の景観は観光や芸術の源として人々に感動を与えるだけでなく、日本人の自然観の形成において伝統文化の基盤となっています。さらに、森林は環境教育や体験学習の場としても重要な役割を果たしています。
8.【物質生産機能】
森林は木材の生産や抽出成分、きのこなど私たちの生活に欠かせないものを提供しています。
2. 森林減少の動向と現状
これまで、森林がどのような役割を果たしているか、また、森林からどのような恩恵を受けているのかについて見てきました。
ここからは、世界の森林減少の現状について見ていきます。
1990年から2020年の30年間で、世界の森林面積は1億7800万ヘクタール減少しています。1990年には約42億ヘクタール以上あったものが2020年では約40億ヘクタールに減少しており、これは日本の国土面積の約5倍に相当する森林面積が失われました。
また、以下の図から、1990年から2015年の間に国別で森林の増減がわかります。
ブラジル、インドネシア、アフリカの一部では大規模な森林減少(赤色、茶色)が見られる一方、中国やインド、アメリカなどでは森林の増加(緑色)が確認できます。特に中国は森林面積の大幅な増加を示しており、植林活動が成功していることが示唆されます。
http://www.fao.org/forest-resources-assessment/en/ より
このような実態から理解できることとしては、森林減少と森林増加が地域ごとに大きく異なり、異なる国や地域で異なる森林管理政策や経済状況が反映されていることです。
森林減少地域(上記にもあったように、ブラジル、インドネシア、アフリカの一部)においては大規模な森林伐採が続いており、特に農業拡大や違法な森林伐採、資源開発が原因となっている可能性があります。
対して、森林増加地域(中国、インド、アメリカなど)では、森林再生や植林活動が成功していることが分かります。特に中国においては、政府の植林政策が大きな成果を上げ、森林面積の拡大に繋がっています。これは、温室効果ガスの吸収源を増やし、気候変動対策としても重要な意味を持ちます。
まとめ
以上、今回の記事では森林減少問題について解説しました。森林がどのような役割を果たしているか、また、どのような作用があるかを見た時、いかに私たちの生活に欠かせないものであるかが理解できたかと思います。
また、森林減少の動向と現状を見ると、過去30年間で劇的に森林が減少していることがわかっただけでなく、詳しくどの地域で減少・増加しているのかもわかりました。
次回の記事では、国際社会が森林減少に対してどのような取り組みをしているのかについて見ていきたいと思います!
参考文献
保健・レクリエーション機能:林野庁. (n.d.). https://www.rinya.maff.go.jp/j/keikaku/tamenteki/con_2_6.html
土砂災害防止機能/土壌保全機能:林野庁. (n.d.). https://www.rinya.maff.go.jp/j/keikaku/tamenteki/con_2_3.html
地球環境保全:林野庁. (n.d.). https://www.rinya.maff.go.jp/j/keikaku/tamenteki/con_2_2.html
快適環境形成機能:林野庁. (n.d.). https://www.rinya.maff.go.jp/j/keikaku/tamenteki/con_2_5.html
文化機能:林野庁. (n.d.). https://www.rinya.maff.go.jp/j/keikaku/tamenteki/con_2_7.html
森林の有する多面的機能について:林野庁. (n.d.). https://www.rinya.maff.go.jp/j/keikaku/tamenteki/#kinouichiran
水源涵養機能:林野庁. (n.d.). https://www.rinya.maff.go.jp/j/keikaku/tamenteki/con_2_4.html
物質生産機能:林野庁. (n.d.). https://www.rinya.maff.go.jp/j/keikaku/tamenteki/con_2_8.html
生物多様性保全:林野庁. (n.d.). https://www.rinya.maff.go.jp/j/keikaku/tamenteki/con_2_1.html
Global Forest Resources Assessments | Food and Agriculture Organization of the United Nations. (n.d.). https://www.fao.org/forest-resources-assessment/en/