ひだまりの教室/真野愛子
なんかやる気の出ない5月。
高校生の時、授業が退屈なのでなんとか授業中を楽しく過ごせないかと考え、友達とアイデアを出し合ったことがある。
その中で実際に楽しかったのが、「×時×分になったら誰かを見る」という遊びだ。
誰かというのは誰でもいい。
事前に「今回は〇〇ちゃんね!」と決めるだけ。
で、見る時刻は、50分の授業で3回くらい決めておく。
こうして授業が始まったら人畜無害を装い、普通に授業を受けるのだが、内心は教師の話など聞いていない。
約束の時刻が来るのをただ待っているのだ。
そして教室の時計で約束の時間になったら、友達みんなでこっそりその子を見る。
すると、その子は誰にも気づかれることなく面白い顔をしていたり、べーっと舌を出すと飴をなめていたり、教科書を下げると付けヒゲをつけていたり……と何かしらやって笑わせるという遊びだ。
もちろん授業中なので吹き出すなんて許されない。
当時はこれが楽しかった。
笑いをこらえるのに必死だった。
子どもでした。先生、すみません!!!!
ちなみに何が一番笑いをこらえるのに大変だったかというと、これはもう“面白い顔”に決まりだ。
いっけん地味だが、“面白い顔”はやってることそのものがバカらしいので、誰がやってもほぼウケる。
M美がやった、思いっきり息を吸って鼻の穴をピタッと閉じる顔、面白かったなーwww
あれは我慢できず、吹き出して教師から怒られた。
そのM美、今では大学院で地質研究をしている。
今日は、ひだまりが心地いい。
窓から日差しが注ぐ、あの頃の教室を思い出す。
この季節になると、わたしは今も教室でまどろみに誘われた、あの頃のように眠たくなる。
誰か遊んでくれないと……昼寝しちゃいそう。
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