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今夜、この服でどんな酒を飲む? 第3夜/高須浩平

僕の趣味は、服をながめながら酒を飲むこと。
10代の頃より集めてきたコレクションの中から一品をチョイスしてハンガーにかけ、それに合ったストーリーの酒で一杯やる。何ともバカバカしい趣味ですが、これがけっこう楽しいのです。全4回でおつきあいください。
さて、今夜は何をながめて酔おうかな♪

【高須浩平 プロフィール】
放送作家、1977年東京生まれ。
『バラいろダンディ』(TOKYO MX)『サバンナ高橋の、サウナの神さま』(TOKYO MX)『NNNドキュメント 競争女子~私たちの生きる道』(日本テレビ)などを構成。
趣味は服の収集、酒を飲むこと、東京ヤクルト・スワローズの応援、格闘技観戦。

第3夜『MACKINTOSHのにおいを嗅ぎながら天使の誘惑を飲む』


今回は“クセが強~い”服の話。
『マッキントッシュ』のゴム引きコート。
1823年にチャールズ マッキントッシュが発明した世界初の防水布『マッキントッシュ・クロス』を使ったもので、とにかく水を弾く。
マニアが惹かれるのは、19世紀から変わらない伝統製法を続けているとあって、現代ではやや扱いづらい面があるところです。

まず、“においがきつい”。
独特なゴムのにおいは、納得して着ている自分にとってはいいんですが、家族や友人、電車で隣に座った人から「このにおい何?」って顔をされることも(苦笑)。
寒い時はまだマシなのですが、暑い部屋で着ていると室内にモワ~っとゴム臭が広がります。

次に、“置いておくだけでも劣化する”。
特別な仕様のため、年々いたるところがはがれやすくなる。
そのため数年に1回はリペアしなければならないのです。

最後に“クリーニングのハードルが高い。
ゴム引きコートは通常のクリーニングでは洗えず(洗うと天然ゴム部分がボロボロになるそう)、専門で請け負う工場に品物を送って汚れ度合の診断を受け、見積もりを出してもらってはじめて、クリーニング作業にたどり着くといった流れ。お値段も1着1万円以上はかかるため、経済的ではありません。

それでも、この不便さがマニアにはたまらないんです。
愛しいんです。
ワガママすぎる彼女みたいな。
臭いんだけど美味しい珍味みたいな。

ちなみに、僕の唯一の『マッキントッシュ』のコレクションは、『ドーバーストリート マーケット ギンザ』の限定モデル。イチョウのような色合いがグッド!

画像⑤マッキントッシュゴム引きコート

▲マッキントッシュのゴム引きコート

これをながめながら飲む酒。
しばらくは薬品っぽい香りが特徴のスコッチ『ARDBEG』にしていたのですが、ゴム引きコート独特のにおいを消してしまうくらいに強烈。
ゴム臭含めて魅力なもので、せっかくならクンクン嗅ぎながら飲みたい。

そこでいろいろ試した結果、意外にも芋焼酎がベストだと感じ、僕的には『天使の誘惑』が最も合うと感じました。
ゴムのにおいと芋のにおいに誘惑されちゃいます。

画像⑥天使の誘惑

▲天使の誘惑

ちょうど今シーズンが終わるときが、クリーニングに出すとき。
手続きが大変で結構な出費にもなるので、酒のチカラを借りて準備するとしますか。酔っても値段だけは間違わないようにしなきゃ……(笑)。

次回は、LOEWEのデニムパンツで飲みます。ぜひいっしょに酔いましょう。また次回

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