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五感の発見:森林浴で知る感覚の豊かさ

イントロダクション


五感で感じる森林浴と言っても、具体的にどんなことをするのか分からないという人も多いのではないでしょうか。
実は、かくいう私もその一人でした。以前は森や山に出かけても、自然をゆっくりと味わうことなく、ただ前に進むことだけを考え、足早に歩いていました。森を通り過ぎるだけでも森林浴かもしれませんが、五感を感じていたかといえば乏しかったような気がします。

五感とは、私たちが周りの世界を感じ取るための五つの基本的な感覚のこと。具体的には、見る、聞く、嗅ぐ、触れる、味わうという感覚です。
私たちは、この五感をつかって、周囲の環境を理解し適応しています。

普段は多くの情報を視覚から取り入れていますが、私がお勧めする森林浴は、あえてゆっくりと森の中を歩き、視覚以外の感覚も呼び起こします。
そして、五感を意識して開かれていくと、普段は気づかない自然の美しさや癒しの力をもっと感じることができるようになります。

五感をつかって感じる森林浴の旅へ、これからご案内します。

周りをゆっくり見渡してみる

第一章:視覚


森に入ると、まず目に飛び込んでくるのは、緑豊かな木々とその間から差し込む柔らかな陽光です。葉の一枚一枚が風に揺れ、特に春先の新緑の季節は、若葉の青い緑がエネルギーを感じさせてくれます。
秋の森は、黄色から深紅まで色とりどりの木々や落ち葉が美しい絵画のように広がります。
人が最も安らぎを感じるのは、自然界にある緑色と青色と言われています。自然の中では、樹木の幹や葉、花や空、雲や小川の色など意識的に目を向けてください。

海辺の森にて 森の緑と森から見える海の青も眩しい


視覚を通じて感じる自然の美しさは、心を穏やかにし、日常のストレスを忘れさせてくれます。

第二章:聴覚


次に目を閉じて耳を澄ませてみます。何が聴こえてくるでしょう。
何種類の音が聴こえてくるでしょうか、どちらから鳥たちの声が聴こえるでしょうか。
音だけに意識を集中させると、鳥たちのさえずりや木々のざわめきが聴こえてきます。よくよく耳を澄ますと遠くからは小川のせせらぎも聴こえます。今まで気づかなかった音がたくさん届くようになります。

1/fゆらぎ 人間の心拍や呼吸のリズムと共鳴しやすい
鳥の鳴き声や小川のせせらぎなど自然界に多い

聴覚を通じて感じる自然の音は、都会の騒音とは全く異なる、心地よい静寂をもたらしてくれ、そのリズムに心が癒されていきます。

第三章:嗅覚


森の中を歩いていると、ふと鼻をくすぐる香りがします。湿った土の香り、草木の香りや花の香り。雨が降った後には清々しい新鮮な香りに気づくことも。秋にキャラメル様の甘い香りが届いたら、近くにカツラがあるとわかります。
これらの香りは、嗅覚を通じて自然の豊かさを感じさせてくれます。
香りは人の感情や記憶と深くつながっています。

秋に甘い香りを漂わせるカツラの木
葉っぱの形がハート形でみるのも楽しい


特別なことは必要ありません。あなたが心地よいと感じる香りを放つ近くで、ゆっくりと深呼吸をするだけでいいのです。

第四章:触覚


手を伸ばして木の幹に触れてみると、そのざらざらとした感触が手のひらに伝わってきます。葉っぱをそっと撫でると、その柔らかさと冷たさが心地よいです。
小雨の森では苔が瑞々しい。潤った苔は見るだけでなく、是非とも触ってほしいです。


苔も様々な種類の形や感触がある


触覚を通じて感じる自然の質感は、視覚や聴覚とはまた異なる、直接的なつながりを感じさせてくれます。

第五章:味覚


最後に、森の中で見つけた笹の葉の若い新芽を一つ摘んで口に入れてみます。ほのかな甘みと新鮮な味が口いっぱいに広がり、自然の恵みを感じることができます。

ルビー色のフユイチゴ 


味覚を通じて感じる自然の味わいは、五感の中でも特に直接的で、心と体にエネルギーを与えてくれます。

終章


森林浴を終える頃には、最初とは全く違う感覚が広がります。
目は自然の色彩を鮮やかに捉え、耳は今まで気づかなかった小さな音まで聞こえるようになります。
五感を意識して使うと、日常生活や自然の体験がもっと豊かで深いものに。

秋の午後に森ぼっこ 爽やかな秋風が心地よい


自然と一体となり、心も体も癒される森林浴。

ぜひ森へ足を運び、五感を開いて
自然の力を全身で感じてみてください。


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