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PTAのお手紙を、LINE公式アカウントからにしてみた

「SDGs」が世界的に叫ばれているにもかかわらず、PTAからのご案内はいまだに紙onlyなところが多く、毎回全生徒+教職員ぶんの紙のご案内についてPTA役員が「印刷」「裁断」「折り」「封入」するのが当たり前ということも珍しくありません。(さらに保育園や幼稚園などでは全員分のお手紙に「生徒の名前のハンコ押し」までPTA役員がしているというところもあると聞きます。)

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そこで、PTAからのお手紙を電子化する策として、LINE公式アカウント(旧「LINE@」)からの配信をしてみました。今回はその導入の経緯をお話してみたいと思います。

※下記の記事は2019年10月30日時点のものです。LINE公式アカウントの配信にかかる費用など、変更になっていることがあるかもしれませんので、ご自身でプラン内容などをご確認ください。
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アプローチ:「役員スカウトに毎年苦労する」という共通認識からスタート

多くの学校で苦労しているかと思いますが、筆者の学校でも毎年PTA本部役員のスカウトには苦労していたようです。
「紙を電子化したい」と伝えると、「スマホ持ってない人もいる!」「みんなができるわけではない!」など反対意見が出てくることも多いのですが、「スカウトに苦労している」という点については学校や旧役員・現役員の共通認識としてある程度あるため、ここを突破口にしようと考えました。

つまり、「役員の仕事を引き受けたくない理由」の多くが【時間が取られる】ということにあるため【単純作業】となる時間を減らすことで、「拘束時間が心配な方もいらっしゃるので、作業時間を減らす取り組みを今年度しています。さらに減らしたければ、減らしていただいて構いません」ということを、態度として示すことにしたのです。

拘束時間の負担を減らすための施策として手紙の「印刷」「裁断」「折り」「封入」の工程を削減する案が浮上

ご案内の多い日は「印刷」「裁断」「折り」「封入」作業だけで1日仕事になったりするので、ご案内をメールにできるといいよね、という話は以前から出ていたので、当初はメールを送信する方向で検討していました。
(反対派はIT技術に対して拒否感を持っているので、高齢の人でも比較的なじみのあるツールであれば提案しやすいと考えたためです)

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無料のメールマガジン配信ツールを使う?

学校の緊急連絡網はメールで運用されていました。
そこで①各自で登録してもらう案 が出ましたが、それだと面倒だと言ってってやってくれない人が多そう、と却下に。
②「学校の緊急連絡網に登録済のメアドをPTA側に移植してよいか」のお知らせをご案内し、許諾をいただけた方のデータを移植してはどうか?案などが出ました。利用するサービス案としては下記のようなものが候補に挙がりました。

ツール案1)mailchimp
無料のメールマガジン配信システム。
メリット:メアド2000件まで無料。広告が入らない。
デメリット:既読・未読が把握しづらい、管理画面が英語。→次年度の役員はできないという懸念もあるが、今年度の役員でも無理な人が多そうなので断念

ツール案2)マメール
メリット:アンケートなどの機能もある。国内の学校での導入事例もたくさんありサポートもある
デメリット:有料(人数による。1,000人以内で月額3,300円~など)
https://www.mamailcn.com/

この時点では保護者は全員、学校の緊急連絡網メールを登録していたため、メールなら「できない」という人はいないだろうと見込んでのことでしたが、学校側にメールの運用をヒアリングしたところ、いくつか懸念点が出てきました。

(ユーザーの手間)
保護者が携帯の買い替えなどでメールアドレスの変更をしたいと思った時に、学校側にもPTA側にもメールアドレスの変更をお知らせいただかなければならない。(個人情報保護法にのっとると、片方に入った情報を同意なしにもう片方の組織に渡すわけにはいかない)

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(運用者の手間)
①かつてのシステムでは管理者側でメールアドレスを変更しなければならなかったが、その場合メンテナンスに手間がかかっていた。
②メールアドレス登録後、配信までに、迷惑メール除外設定や迷惑メールフォルダに入るなどの保護者が一定数織、その案内がそれなりに手間

かといって、学校がすでに使っているメールシステムに相乗りさせてもらうことは、PTAが学校から独立した組織という立場上、また学校側のメール担当者の負荷としても厳しいということがわかりました。

にわかにLINE公式アカウントに傾く

とはいえ電子化は進めたかったため、どうにかできないかいろいろ情報を探していたところ、下記の連載記事と出会い、とても参考になりました。
PTA広報紙を電子化したった(1)──コデラ総研 家庭部
※続きは(2) (3) (4) (5) (6) (7) (8)

そこで、LINE公式アカウント(LINE@が名称変更したもの)での運用を検討し、反対派・懸念派を説得する資料を作成しました。

・役員のなり手を増やすために、仕事を減らしていく姿勢を見せたいこと
・メールだと、受信設定の案内が煩雑になる方がいそうなこと、学校のメールと混同してしまい、機種変更などでメルアド変更した際にいずれかの手続きを忘れる人がいそうなこと
・スマホの保有率やLINEの利用率の資料(およびすでに登校のグループなどでLINEのやり取りをしている保護者が多いこと)

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※総務省平成29年度「主なSNSの利用率(2016年 全体・性年代別)」より

・LINE公式アカウントであれば、PTA役員側では個人情報を取得する必要がないこと(誰が登録したかPTA役員にはわからない)
・LINE公式アカウントであれば、一方的な発信とすることができ、個人的なやり取りにならない仕組みであること

→よってLINEを使いたい、という主張などをまとめたものです。

アカウント作成はあっという間・・・

上記の説明資料をつくる過程で、LINE公式アカウントってどんな感じかな?とちょっと触ってみると、10分もかからずに管理者アカウントが作れてしまいました。
ためしに作ったアカウントで残りの役員にQRコードから登録してもらい、あっさり登録できることを確認。
満場一致でこれでいこう、ということになり、反対派への説明会議に臨みました。

反対派の懸念1:「LINEを使いたくない人・使えない人は?」

懸念する人からはLINEを使いたくない人、PTA公式アカウントを利用したくない人はどうするのか、という懸念を頂きました。

「PTAブログ」を作成し、随時同じ内容を更新していくのでそれを見ていただくか、学校の掲示板に一定期間掲載するので随時それを見てください、というご案内をすることにしました。
(折衷案としてアンケートなどの回答が必要なものや、必ず周知しなければならないことは、引き続き紙でもご案内することになりました)

「希望者には紙で配布」としてはどうかという案もありましたが、誰に紙で渡さなければならないかを管理・配慮しないといけなくなり、結局省力化にならないため見送りました。
これについてもし意見された場合は、「では、来年の役員をお引き受けいただいて、そのような形でされてはどうでしょうか」で言うつもりでしたが、特に反対意見は出ませんでした。

反対派の懸念2:「運用をどうするつもりなのか」

懸念派は決して運用に関わるわけではないのに、やたら運用についてご心配を頂くことが多く、有り難い限りです。

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・関係者への原稿のチェック出しは従来通りのスケジュール・ツールで行うこと
・学校の教職員への案内はこれまでどおり紙で行うこと(ただし希望するならばLINE公式アカウントに登録いただいてもOK)
・配信のタイミングは、①朝8時~9時の間、②正午~13時の間、③18時~20時の間とし、原則を②とする
(学校で配信していたメールの時間帯について、ワーキングマザーからクレームがあったことに配慮しています)
・管理者は、筆者が管理者、そして複数の運用担当者を置いて、複数人がログインできるようにし、筆者が不慮の事故に遭っても誰かがメッセージ配信できるようにする

ということにしました。

反対派の懸念3:知らない人が登録したらどうするのか

紙でご案内していたって、PTA以外の手に渡ることは物理的にあり得るのに、なぜか「LINEアカウント登録のご案内」が印刷された紙だと、他人の手に渡るのではないか!?という懸念が湧いて出てくるようです。
同じ紙なのに、不思議です。

「条件は紙のときと同じです。」としたうえで、懸念に配慮してLINEのメッセージに直接ファイルを添付したり、ファイルをアップロードしたURLをお知らせすることはせず、いったんPTAブログに飛ばしたうえで、ブログの記事にパスワードを形に落ち着きました。
(結局そのパスワードは紙でご案内しているので、あんまり意味ないと思うのですが、反対派は納得したようです)

「会計報告などは知らない人に見られたくない」ということだったのですが、見られて困るものを出さなければよいだけだと思います。

※のちに会計報告を「見られたくない理由」が判明します。あぁ…。詳しくはこちら

反対派の懸念4:来年はどうするのか

「次の年の役員が設定・運用できるとは限らない」というお決まりの心配もいただきました。
これについては「ボランティアが自分のできる範囲でできることをやるものなので次の年の役員がしたいようにすればよいと思います」と回答しつつ、利用者には3学期にアンケートを取り、ユーザーおよび管理者側の使い勝手などを総括し、続けるかどうか選べるようにするつもりと回答しました。

なお、月に1000通まで無料、というサービスなので、ユーザーが増えれば増えるほど配信できる回数が減るため、「2019年度PTA」の公式アカウントであることを強調し、年度末にいったん解散、続ける場合も別途アカウントを作り直し、登録しなおしてもらうことにしました。

反対派が気づかなかった懸念:無料枠の人数制限

反対派は気づかなかった懸念として、登録者が501人を超えた段階で、月に1000通までのハードルに引っかかり、月1回までしか配信ができなくなるという弱点があります。世帯数が500以下であっても、母親以外に父親や祖父母、教職員が我も我もと登録してしまうとあっさり501人を超えてしまうこともあり得たのですが、説明会ではことさらにそこには触れませんでした。
もし無料枠で運用できなくなったら会費を使ってよいかを総会にかけるか、個人的な寄付を募るつもりでいます。
※追記:結局無料版のまま無事その年度は終わりました。

配慮すべきこと

・学校にお問い合わせがいかないよう、PTA役員のお問い合わせ窓口を書いておくか、「お問い合わせは役員まで」の記載をしておくとよいと思います。(一般会員は学校もPTAも判別がついていないことが多いので)
・LINE公式アカウントに使うアイコン・背景写真について、著作権侵害・肖像権侵害にならないよう配慮しました。(学校の校章などを使うのは著作権の問題があることや、学校の内部組織と混同される方がいるため、お勧めしません。)

LINE公式アカウントのご案内を送付。5日で生徒数の6割以上が登録

そしてPTAからのおたよりの電子化のご案内とLINE公式アカウントに登録してもらうよう、ご案内を配布しました。

結果、ご案内から5日で在校生の世帯数の6割以上の人数が登録しています。(こちらで誰が登録しているかはわからないので、すべて母親なのか、父親などを含むのかは不明)

追記:2カ月で生徒数の8割以上が登録

その後、ある全員配布しなければならないアンケートの末尾に「LINEやってます」の告知をした以外は特にプロモーションはしていません。
それでも2カ月で8割以上が登録してくれており、その後LINEで告知したアンケートには、前年以上の回答者がおりました。(紙の回答者はたった一人・・・)

年度末にアンケートをして、登録していない人たちが不満に思っていないか、声を聞いて行こうと思います。
→2021/4追記:アンケート結果を共有しました。
PTAのお手紙をLINE公式アカウントで代替した結果→アンケートでいただいた声

*なお実際に配信を開始してヒヤヒヤしたことは、下記の記事にまとめていますのでよかったらご覧ください。
PTAの手紙を電子化する際の落とし穴

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参考リンク:LINE公式アカウント

PTA業務効率化の関連記事:
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サムネイル写真:acworksさんによる写真ACからの写真
紙写真:Image by Yair Cerón from Pixabay
メール写真:Image by Gerd Altmann from Pixabay
携帯電話写真:Image by RitaE from Pixabay
メモ写真:Image by flockine from Pixabay


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