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半自伝的エッセイ

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「チェスのレシピ」「新・チェスのレシピ」「折々のチェスのレシピ」を書いている人はどんなチェスライフを送ってきたのか。
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2023年4月の記事一覧

「半自伝的エッセイ(17)」バナナが聖母マリアに変わるまで

ロシアの土人形作家であるナタリア・ネポメンコさんの作品の相場を調べるため、あちこちのオー…

「半自伝的エッセイ(16)」詰将棋か詩か

チェス喫茶「R」にはずば抜けてチェスが強い二人がいた。二人とも別の特技を持っていた。特技…

「半自伝的エッセイ(15)」羽生九段の影響力

私がチェス喫茶「R」に足繁く通っていた頃、将棋界では羽生善治現九段が次々とタイトルを獲得…

「半自伝的エッセイ(14)」鳥を売る

郷田さんから預かったままの鳥の置物だが、また仕舞い込んでしまうと一生そのままになりかねな…

「半自伝的エッセイ(13)」強い自分

チェス喫茶「R」に豊島君と呼ばれている青年がいた。高校生だと聞いていた。私は盤を挟んだこ…

「半自伝的エッセイ(12)」売り切れ

私は、定跡の徹底的な研究と並行して、ミスの考察もやっていた。というのも、どれだけ序盤を精…

「半自伝的エッセイ(11)」インベーダーゲーム

チェス喫茶「R」で知り合った人に塚田君というのがいた。同じ年齢で別の大学に通っていた。私と違って大学に真面目に通っているらしく、「R」に顔を出すのは月に一回か二回、いずれも日曜日だった。 その塚田君に誘われたことがあった。「ちょっと、うちに来ない?」と。次の日曜日、塚田君の家にお邪魔した。実家暮らしの塚田君の二階の部屋に案内されると、そこには、六畳ほどの広さだったが、他を圧するように大きなパソコンの筐体とモニターが置かれていた。 塚田君はパソコンに電源を入れた。「ちょっと

「半自伝的エッセイ(10)」目隠しチェス

チェス喫茶「R」では時折、余興的に目隠しチェス大会が開かれた。読んで字のごとく、対局する…

「半自伝的エッセイ(9)」神様とかイエス様とかマリア様とか

別部屋が閉鎖されると私はやや手持ち無沙汰というか欲求不満というか、チェスの研究をどこにぶ…

「半自伝的エッセイ(8)」青野流

チェス喫茶「R」の別部屋が閉鎖されてから表で指す人が当然増えた。私は人の対局を観戦するの…

「半自伝的エッセイ(7)」フロッピーディスク

ほどなくしてマスターの思惑どおり私は野原ちゃんと親密な関係になった。そうは言っても、私の…