マガジンのカバー画像

夢絨夜

5
自分なりの『夢十夜』を書いてみたいと思い至り、高校生の頃から夢日記を付けてみたら七十までやってきてしまいました。読み方はそのまま「ゆめじゅうや」です。千夜一夜までいけるかは、私の…
運営しているクリエイター

2020年5月の記事一覧

『第一夜』

『第一夜』

 こんな夢をみた。

 私はまだほんの幼い子供であった。かんかんと暖房がよくきいた部屋で目が覚め、寝ぼけ眼をこすりながらリビングへ出てみると、父が机に向かって静かに物書きをしていた。

「眠れないのかい」

 ペンを握ったまま、父がこちらを見るわけでもなく話しかけてくる。そう言われてみて初めて部屋の時計を探してみると、振り子のついた大時計が、深夜を告げていた。

「そうみたい」

 答えると、父は

もっとみる