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▶︎Vol.7 「職住近接」 と "Work as Life" 【後編】

※前回の続きになります。前編はコチラから。

前回、職住近接をワークプレイス設計に盛り込むことで、ワーカーの働き方の選択肢が広がり、ワークエンゲージメントの向上や離職率低下による人材確保が可能である事、マネジメント上のリスクやコストについても戦略的に検討していく余地が非常に大きいことに触れました。

後編では、更に別の角度からもその可能性に触れていきたいと思います。


私は、職住近接が活発に活用されていくことの効用に『地方創生』もあるように感じています。

というのも、ワーカーのストレス増大により「働き方を見直しましょう!」という動きになった最大の原因は『首都圏(都市部)ワーカー一極集中』だと思っているからです。
もちろん、賃金格差や機会格差の問題が現実的に存在することで、地方の若者が首都圏を目指して集まってしまう背景はあります。
首都圏で働く方が、経済的な面やキャリア形成においても魅力的であることは理解できます。

しかし、その結果として通勤や人間関係によるストレスは増大し続け、肉体的にも精神的にも疲弊してしまうワーカーが増え続けてしまいます。
また、急激な集落形成による地域コミュニティの希薄化によって社会構造自体が脆弱化しているようにも感じます。

就労環境を求めて、不慣れな環境で不慣れな生活習慣を選択しなければいけないということは、健全とは思えません。
日本は社会保障に関しては非常に進んだ国ですので、こういった状況は様々なアレンジで解決していくべきだと思います。

その中で、『働き方の選択 ≒ 働く場の選択』を広義に見た場合「キャリア形成 ≠ 都市部への移住」であると感じます。
リモートワークの技術的・制度的な進歩の先にある「職住近接」は、都市部のワーカーのストレス軽減と、地方の人材流出や様々な格差是正において非常に有効なソリューションではないでしょうか?


更に加えて、、
『地方に居ながら都市部の会社で働く』ことは技術的に十分に可能な筈です。
企業の側に「そうしたワーカーを雇用出来るだけのマネジメントスキームと社内制度があるか?」というだけの問題です。


当たり前の話ですが、首都圏に出てきた(出てくる)人材の中から採用する企業と、日本中(世界中)場所を問わず自社に目を向けてくれた人材から採用する企業の競争力の差は歴然です。。
制度とマネジメントをそこに合わせて見直せは良いだけです。

また、地方においても人材の流出を抑えられるだけでなく、リモート人材を接点としたコネクション創出や情報・ナレッジの獲得など非常にメリットが大きいように感じます。

少し古い話になりますが、コールセンターを地方に設置する企業が多かったのは、販管費的なメリットの大きさに加えて地方自治体の積極的な企業誘致が要因だったかと思います。
そして、おそらく今は「ワーケーション」に活路を見出そうとしている自治体が多いのかと思いますが、そもそも一般的なワーカーのバケーション頻度は高くないので、専業副業を含めたリモート人材活用を進めた方が企業側の反応は良いのではないでしょうか?

ワーカーにとっても、『キャリア形成を意識してバリバリ働きながら、地元で豊かに暮らす』というライフスタイルが選択できる訳です。

業務上必要な時にだけ首都圏に出てくれば良いのですが、移動交通費や宿泊費を制度でカバー出来れば理想的ですし、地方に住む優秀な人材から見ると『首都圏へのワーケーション』とも言えるように感じます。
こちらの方が、現実的かもしれません。


職住近接とリモートワークが混在する内容になってしまいましたが、ワークプレイスの改革とアップデートの先には、こういった可能性もあるという事ですね。

こういった社会全体での制度改革は、経済活動と同時に進めるのは非常に難しいですが、小さなトライアンドエラーの積み重ねは必要です。

特に、知的労働を行うホワイトカラーの業務が「ベルトコンベアー型」ではなくなってきているので、個人の裁量をどうやって醸成していくのか?は、人材採用・人材教育において非常に重要度が高い問題ですし、アプローチとしての『場とキッカケ』の戦略的活用は必須だと感じます。

NTTグループさん、AIGさん、富士通さん、カルビーさんの「転勤と単身赴任の廃止」など『働く場』に関する新たな試みは大企業を中心に進んでいます。大企業の試みは、企業の規模や業種業態を超えて注視すべきだと感じます。


最後に、"Work as Life"ワークアズライフ)。
2017年頃に落合陽一さんが「ワーク ライフ バランス」への異議として提唱したワードですが、現在の多様化したライフスタイルや「終身雇用・年功序列・大量生産大量消費」が終わりつつある中で、非常に興味深い考え方です。
しかし同時に「個人の自立」が求められる側面も強いので実現には相応の行動リテラシーが求められますが、"Work as Life"の実現において『場と時間の選択』は重要ですし、ワークプレイスマネジメントの進化が不可欠であると感じました。

そう考えると、「ワーク ライフ バランス」というワードは『働くことはストレスである』という前提のような気もします。だから「ライフ(仕事以外の時間)を確保して、心と身体のバランスを保ちましょう!」と。。
働くということは、確かに簡単ではないですしノンストレスは考えにくのですが、『働くことはストレスである』という前提は少し寂しい気もします。

残念ながら、働かなくても生きていけるのは僅かな人だけなので、『ツールと制度』を進化させて新たなワークスタイルとワークプレイスマネジメントを確立し、多くのワーカーが "Work as Life" を実現できる社会を目指しましょう!!


さあ、経営者の皆様!
マネージメント層の皆様!!
『人材の獲得・社会と地元への貢献・事業拡大』における、ワークプレイスマネジメントの重要性をご理解いただけましたでしょうか?

社内制度とマネジメント手法を、最新のテクノロジーと進化し続ける各種ツールの有効活用に合わせてアップデートしていくだけです!!

前回も書きましたが、

大切なことは、
・ワーカーの声をしっかり集めること。
・「対面と集合前提のマネジメント」をしっかり見直すこと。
・『場』と『ツール』を有効活用できる制度設計を丁寧に検討すること。
・「トライアンドエラー」を恐れないこと。

お力になれることがあれば、お気軽にお声がけください!!


今回も最後まで読んでいただき、本当にありがとうございます。
記事の一部でも皆様の参考になれば幸いです。


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