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▶︎Vol.8 『SaaS』という新しいインフラ

「SaaS(サース:Software as a Service)」は、旧来パッケージとして提供されてきたソフトウェアをインターネット(クラウド)経由で提供・利用するビジネスモデルです。
最近のSaaSの広がりは、ご存知の方も多いのではないでしょうか?

グループウェアのサイボウズさん
顧客管理や営業支援などのSalesforceさん
名刺管理のsansanさん
会計ソフトのFreeeさんや、「楽々精算」などを提供するラクスさん

また、オンライン会議で爆発的に普及したZoomも代表的なSaaSです。


クラウド経由でサービス提供を受けるため端末へのインストールが不要で、
利用料金も発行ライセンス数に応じたサブスクリプション型の月額課金であることから、導入〜利用に掛かるコストが非常に安価というメリットがあります。

ソフトウェアとデータが全てクラウド上に保管運用されることで、アップデートやメンテナンスなどの管理コスト削減や、データ共有や情報共有の高速化・効率化が図れます。

デメリットは、自社の要件に合わせてスクラッチ(新規で開発すること)で開発された独自のソフトウェアのようなカスタマイズ性がない事や、SaaSが参入していないサービス領域では選択の余地がない(当たり前ですが…)などが挙げられます。

実は、SaaS利用数は2020年の1年間で60%も増加しました。
日本企業1社あたりの平均SaaS利用数は8.7個となり、アメリカの5年前の水準に到達しています。(アメリカの平均利用数は約80個!?)

特にバックオフィス業務に関するソフトウェアについては、既にSaaS一択と言って良い状況だと感じます。(※金融機関や行政など一部の業種を除く)

SaaSという言葉に馴染みがない方も、ぜひ一度「どんなサービスがあるのか?」をネットで検索してみてください。
「あっ!これもSaaSなんだ!ウチもう使ってるわ、このサービス。」なんていうことも多いのではないでしょうか?


※PR TIMES記事「<リモートテック カオスマップ2021年度版>を公開 by SOKUDAN (ソクダン)」より抜粋
※画像クリックで拡大してご覧いただけます。


今年の8月には、スマートキャンプ株式会社さんがSaaS業界レポートを発表していますので、こちらも是非ご覧ください。



私が『オフィス ≠ ワークプレイス』と言う背景には、インターネットの普及によって実現したクラウドサービスの存在があります。
「インターネットに接続すれば、場所を問わず様々なサービスを利用したり共有したりできる」というテクノロジーの進化によって、『場所と機能』という概念が変わりつつある背景が、生活様式の変化や産業構造の変化、働く場所や働き方の変化につながっています。

(※特に「立地」と「移動」という概念は、近い未来に大きく変わっていく筈です。)


クラウドの登場により、データの共有だけではなくソフトウェアやアプリケーションをPCやスマートフォンなどの端末にインストールする必要がなくなり、WEBブラウザを通じたアクセスのみでサービスの利用が可能になりました。

ひと昔前に「シンクライアント」という、利用者の端末にはソフトウェアをインストールせずに社内サーバーで一括管理することで情報漏洩リスクやIT管理コストを軽減するという仕組みがありましたが、社内サーバーがクラウド上に移行した形ですね。

この「端末本体にはソフトウェアをインストールしない」という運用方法は、実はシステム運用とIT資産を管理する上で非常に大きな労務コストの削減が可能です。

「長期で利用した場合、パッケージ版ソフトウェアの購入コストを上回る利用料金が発生する」という観点から、SaaSのサブスクリプション型課金モデルに懸念を示す経営者の方は少なくないですが、「システム管理の人事生産性」という観点で見るとIT担当者(情報システム担当者)や資産管理の負担は大きく削減されます。

ソフトウェアの動作が不調の際、その度に所有者の所に出向いたり端末を預かったりする手間は計り知れませんし、その間に発生する所有者のダウンタイムや業務への支障や精神的負担も大きくなります。
この事をコストに換算すると、生産性という意味では非常に大きな損失です。
(※もちろん、ソフト側ではなくPC端末自体の問題というケースもありますので、SaaS導入によって負担がゼロになる訳ではありませんが。。)

また、運用コストを考える上で「管理コスト」と同じくらい重要な「スイッチングコスト(導入費用や運用の切り替えに発生する労務コスト)」についても、旧来のソフトウエア購入とは異なり、「初期導入コスト無料」や「他サービスからの移行支援」などを併用することで導入ハードルを大きく下げる事が可能です。


社内システムの導入や移行時に、非常に大きな課題になる「サービス操作手順の習得」ですが、『UIUX(ユーザーインターフェイス・ユーザーエクスペリエンス):誰でも簡単に操作可能で、すぐにサービス満足を得られる』という考え方がSaaSのシステム開発において非常に重要視されていることから、「最初は不安があったけど、やってみたら簡単に使えた!」というケースが殆どです。

(「ITリテラシー」という言葉の本質的な意味合いは、『ITアレルギー』もしくは『IT食わず嫌い』の有無のような気がします。。)

これらの事から、SaaSの導入はIT専任者の人材確保に苦慮されている企業や、ITリテラシーに課題のある企業の社内システムや業務フロー改善において、非常に費用対効果の高い選択です。


そして、ここからが本題なのですが。。
(いつも本題までが長くてスミマセン。。😓)

現在、SaaSによって提供されているサービスは、非常に多岐に渡っているだけでなく「類似サービスを提供する新しい企業が激しい競争を展開している状況」にあります。

例えば、、
電話やEメールに替わるコミュニケーションツールとして急速に普及している『ビジネスチャットツール』だけを見ても、、
・LINE(LINE WORKS
Slack
Chatwork
Google Chat(Google Workspace)
Microsoft Teams
Talknote
Facebook Messenger

機能や拡張性、利用コスト(無料版の有無や有料プラン設定)に差はありますが、上記以外にも数多くのサービスがリリースされています。

コミュニケーションツールにおいては、「自分の好みのサービスを使う」というより『与えられたサービスを使う』『相手に合わせたサービスを使う』というケースが殆どだと思いますが、おそらく皆様の中にも、すでにビジネスで活用されている方や、複数のサービスを併用されている方も多いと思います。

例えば、SlackはIT関連企業を中心に普及していますし、Microsoft Teamsは同社の「Microsoft365(旧Office)」を契約している企業には無料提供されますので利用率は非常に高いです。
また、これは私の感覚的主観なのですが、Facebook Messengerは比較的年代の高いユーザーが多く(Facebook自体がSNSとしては年齢層が高い)、Chatworkは中小企業をターゲットに展開していますがフリーランスの皆さんの利用率も非常に高いように感じます。

つまり、まだまだサービス自体が競争をしている状況ではありながら、すでにチャットツール自体は『ビジネスコミュニケーションインフラ』になりつつある訳です。
私自身も、上記の中ではTalknote以外の全てのサービスを利用しています。(Talknoteさん、ゴメンなさい。。😅)


そして、同様のことがビジネス上において発生する様々な業務課題を対象としたサービスでも展開されています。

・営業支援
・顧客管理
・スケジュールや行動管理
・経理関連
・人事労務
・法務関連  などなど

旧来の『基幹システム』と呼ばれる自社用にカスタマイズ(もしくはOEM)されたソフトウェアと異なるのは、業務全体を網羅するのではなく「担当業務の中で特に生産性の向上が期待できる(課題解決ニーズの強い)業務に特化したサービス」を提供している点です。

例えば「営業支援」や「顧客管理」を例に挙げると、、
旧来のシステムでは、基本的な顧客情報に加えて営業戦略上有益な個別情報や購入履歴など、自社のビジネスモデルに合わせた情報入力フォーマットやデータ分析用のエクスポートができるようにカスタマイズされます。
あくまで自社の特性に合わせてコストを掛けて製作しているため円滑で効率的な顧客管理が可能な反面、市場環境の変化によるビジネスモデルの変化や新規事業参入の際に何かしらのシステム改修が必要になり、コストが発生するだけでなく事業改革のスピード感も遅くなるというデメリットがあります。

SaaSの場合、営業支援や顧客管理全体を網羅するというよりも「営業支援と顧客管理の精度と効率を高めるサービス」という観点でサービス提供をするケースが多く、例えば「自社に管理システムはあるのだが、顧客情報や見込み情報の入力や更新管理が面倒で徹底されず、システムが効果的に機能していない」という課題を解決するために「名刺管理に特化したサービスを提供する」といったサービス開発がされています。

「名刺管理はsansan
「CRM(顧客管理)はSalesforce
「年末調整はSmartHR
「オンライン会議はZOOM
「経費申請は楽々精算」  などなど、、
どのサービスも何かしらの業務課題に特化してサービス展開していますね。
(もちろん、特化したところからスタートして、幅広い課題解決を実現するサービスに拡大しているサービスや企業も多くあります。)

これらのSaaSは、すでに多くの企業において導入され、非常に高い生産性の実現を果たしています。

Vol.2 フリーアドレスはただの自由席? の中で、多様化する顧客ニーズに対応するためにオフィスのレイアウトもフレキシブルさが求められた背景を書きましたが、社内システムもまたフレキシブルに変化できる事を求められてきています
そのため、イチからカスタマイズして事ある毎に改修が必要なシステムでは、コストが掛かるだけではなくスピード感もなくなります。
これでは事業の競争優位性はなくなってしまい、多額のコストをかけてシステムを導入する意味が薄れてしまします。

だからこそ、その時々のウィークポイントや優先的な課題を補完するという視点でSaaSを導入する事で、最小限のコストと可能な限り最速のスピード感で課題に対処できる訳です。

「クラウド運用でインストール不要」という導入形式と「月額課金のサブスクリプション」という購入形式がユーザーに支持され急速に普及が進んでいる理由はこうした点にあります。

パッケージ購入型だった「Microsoft Office」が、サブスクリプション型の「Microsoft 365」に変わった背景も、圧倒的なシェアを持っていたエクセルやワードが、GoogleスプレッドシートやGoogleドキュメントの利便性(クラウド運用のため同一ファイルを複数人で同時編集可能。Googleアカウントを作成すれば完全無料で利用可能。)に押された結果のように感じます。
(※現在のMicrosoft365では、同一ファイルの複数人同時編集は可能です。)


非常に長々と書いてきましたが、如何でしょうか?
もうSaaSは、『業務効率向上に欠かせない重要なインフラ』と言えるのではないでしょうか?

コストへの不安も、導入や運用に関する不安も、実は非常にハードルが低いSaaS。

唯一の懸念点は「類似サービスが多くてどれを選べば良いのか?が判断できない。」という事かもしれませんが、お声掛け頂ければご相談承ります。

お気軽にお問合せ下さい。😊

SaaS選定のポイントは、、ずばり『自社に合わせたUIUXの選定』です。👍


今回も最後まで読んでいただき、本当にありがとうございます。
記事の一部でも皆様の参考になれば幸いです。


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