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【100冊後に教養が身につく中公新書】ーー1冊目『国際政治』

高坂正堯『国際政治』(通巻番号108)

「どうしたら世界は平和になるの?」と子供に聞かれたとき、あなたならどのように答えるでしょうか。

「独裁政治の国が無くなればよい」「すべての国が軍隊をなくせばよい」といった、小学生や中学生が思いつくような理想論はパっと思いつくけれど、より具体的な・現実的な方法は思いつかない、というよりそもそも考えたことがないという人は、私を含めた若い世代には多いのではないかと思います。

この本が書かれたのは50年以上も前の1966年ですが、まさに上記のように、人々が平和という問題に対して、単純な見方をしてしまうことについての問題提起から話がはじまります。

著者は国家間の平和という問題に対して、

各国家は力の体系であり、利益の体系であり、そして価値の体系である。

と述べ、この3つの側面から平和について分析し、タテマエなしの現実的なアプローチを検討して論じています。(具体的には、力=軍備、利益=経済、価値=国連 のはなしです)

日本で暮らしていると政治、特に国防の話はタブー視するような雰囲気があり、平和についての「戦略的」な考え方に触れる機会は少ないように感じます。今現実に起きている戦争に対して、周りのいろんな(ともすると偏った)意見に惑わされず多面的に深く考えたいと感じている人にとって、ぴったりの入門書だと思います。

はじめての中公新書としてぜひ手に取っていただきたい名著です。



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