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”今この瞬間を生きる”ビジネス

知人に薦められて「ビジネスの未来」(山口 周著 プレジデント社)を読んだ。

山口さんのお名前は以前から知ってはいたのだけれど、これまで著書をちゃんと読んだことがなかったので、改めてこういう考えを持った人なんだなと、共感と好感を持てた。

本書で伝えられているのは、

生活の不足感を埋めるためだけのビジネスや、成長を追い求める資本主義経済は早晩終焉を迎える。

人々の生活ニーズが一定程度充足したそのような社会では、経済合理性の限界を超えた領域における活動が重要となる。

そして、そうした活動を行うにあたって鍵となるのは

① 真にやりたいことを見つけ、取り組むこと
② 真に応援したいコト・モノにお金を払うこと
③ ①、②を実現するためのユニバーサルベーシックインカムの導入

であり、これからの社会は、

インストルメンタル(未来のために今を手段化する)な社会からコンサマトリー(今この瞬間を生きる)な社会

へ移行していくと述べられている。

これまでの社会では、今を犠牲にして、将来のために時間を使う。あるいは自分を犠牲にして組織のために働くということが常識だった。

でもそうした在り方に限界がきていることはほぼ明らかだ。

働き方改革も、女性の社会進出も、ワークダイバーシティやワークシェアリングも、リモートワークも、これら現在進行形の働き方に関わる変化は、全て本書で伝えられている内容と通じるものがある。

そして、”今この瞬間を生きる”という考え方は、マインドフルネスな生き方にも繋がる。

自分が今取り組んでいる仕事は、プロジェクトは、真に心からやりたいと思っていることなのか。

今自分が目にしている社会や生活は、本当にこのままでいいのか。

こうした問いを持つことは、時に痛みを伴う場合もあるし、社会との軋轢を生むことにもなるだろう。

でもこうした問いを経ていくことでしか、著者のいう”コンサマトリー”な生き方はできないのではないか。

本書を読みながら、中学時代に観て感動した映画「いまを生きる」と、ソール・ベローが書いた「この日をつかめ」、そしてセネカの書いた「生の短さについて」を思い出した。

今を犠牲にして生きることに対するアンチテーゼは、既に何年も前に行われていたのだ。


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