メールの書きかた、メールのマナー

コロナのため大学はオンライン授業となり、学生とのオンライン上のやりとりも増えてきました。
そこで気になるのがメール。
今日は、学生のメールに思うこと、採用側が「採用したい」「一緒に仕事がしたい」と思われる一歩となるメールの書きかたについて書きます。

メールについて厳しく指導された大学院時代

大学院修士時代、私の指導教官はメールに非常に厳しい方でした。
メールの件名には、授業名、授業の曜日時限、名前を必ず明記すること。同じく添付ファイルにはそれらの情報は漏らさないことを何度も注意されました。
また、本文は簡潔であること。特に、研究相談などのメールに関しては、「どうしたらいいですか」ではなく「AorB」で書け、と厳しく言われました。
当時、そのようなことまで指定する先生は他にはいなかったので、几帳面だなくらいに考えていましたが、今振り返ればこれらの指導は必要不可欠だったと感じています。
特に、相談をはじめとする用件について、相談をもちかけるほうからある程度の選択肢を考えてから質問するというのは、学生を育てるという意味でも非常に効果のあるものだったのではないかと思います。
まずは自分で可能性を考えてみる。何をしたらいいかわからない、どうしていいかわからない、だけではなく、解決方法を探ってみることで自立支援も促していたのだなと。
実際、ぼんやりとした相談だと、こちらもどう返していいのか、どこまで助言をしたらいいのかわからないので、選択肢まで出してもらえれば助言の方法がわかり適切なアドバイスもできると実感しています。

学生に伝えたいこと

さて、本題ですが、今の大学生に共通しているのか、それともFランの学生だからなのかわかりませんが、学生のメールにイラっとさせられることが非常に多いです。
大学の場合は、メールのマナーが悪いからと言って成績を落とすとかそういうことにはなりませんが、就職活動や卒業後を思うと、メールの書きかたくらいはしっかりしてほしいと思うわけです。
私はかつて一般企業にも勤めていましたが、こんなメールが来たら絶対に不採用だし、一緒に仕事したくないと思うのは間違いありません。

では、なぜ一緒に仕事をしたくないと思うのか。それはメールだけである程度「この人は仕事ができない」と予想できてしまうことと、そう思う理由の多くは「相手への気遣いができているか」に尽きると思います。

よくある学生からのメールで、件名なし、用件だけ書かれていて名前もない、というものがあります。
大学のメールアドレスは学籍番号が載っているので、調べればわかることですが、「あなたは誰ですか」と返信したくなります。
こちらのメールに返信する場合、「Re:・・・」の件名で本文なし、添付ファイルのみ、という学生もいます。しかもそのファイルは「文書1」のような不親切なもの。
例えばレポートなどの課題を課した場合、それを保存するために1つずつ誰のどの課題なのかをこちらで名前を付け直していかなければなりません。
そのメールを、そのファイルを受け取った相手が、このあとどんなことをするのかを想像できていれば、上記のようなことは起こりにくいと思うのです。つまり、気遣いの問題です。

一緒に仕事をするならなおのこと、できるだけスムーズなやりとりで雑用がないほうがありがたいのはもちろんです。
件名だけで、誰からのどんな内容なのかがわかれば、すぐに開封するし、仮にすぐに返信できない場合もメールを探すのは比較的楽です。
件名がなかったり、「こんにちは」のような謎のタイトルだと、迷惑メールに振り分けられる場合もあるし、こちらも後回しにしてしまうこともあります。
こうした気遣いは、結局自分にも返ってくるものなのです。

ですから、声を大にして言いたいのは、メールでも相手を想像して気遣いのあるものにしてほしいということ。
自動返信メールでない限り、用いているデバイスは機械でも、その先にいるのは「人」です。
上記の学生のメールの例は、例えば電話で考えれば、名乗らず、件名も言わず、前置きもなく、用件だけ言ってさっと切ってしまうようなそんな印象です。

こうした指導は、どこかでなされるべきだと思うのですが、実際のところなかなか機会がありません。
もしかしたら就職支援をしている部署などでやってくれてるのでしょうか?それにしては残念なメールが多すぎますが・・・。

留学生へのメール指導

ところで、留学生などの日本語学習者にもメールの指導をすることがありますが、よく中国人の学生にみられるのが、次のようなメール。

●●先生
△△の◆◆と申します。
実は〇〇のために推薦状が必要です。書いていただけないでしょうか。
ありがとうございます。
◆◆

まだ引き受けると返事もしていないのに「ありがとうございます」という文言を最後に入れる学習者は結構います。恐らく英語母語話者も。
最後に「Thank you」と入れるようなイメージなのでしょう。日本語だと「よろしくお願いいたします」に該当すると言っていいと思います。
日本語教師であれば何となくこの誤用は察してあげられますが、普段外国人と接することがない人だとびっくりしたり気を悪くすることもありそうです。
そんなわけで、機会があれば留学生には指導をするようにしていますが、日本人側も「よろしくお願いいたします」の意図なんだ、と寛容に受け取ってもらえたら摩擦も避けられるのではないかと思います。
とはいえ、不自然な表現は多いものの、日本人学生よりも留学生のほうがメールにおける相手への気遣いは見られるというのが私の感想です。

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