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マーケティング初心者の自分へ

QT by note 第5回。
今回の記事を担当させていただきます切通です。

はじめに


今回この本を選んだのが
自身が初めて務めた会社で一番最初に読んだ本で
あれから7年が経ち、復習も兼ねて読み直してみようと思い
この本を選んでみた。

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明日の広告
変化した消費者とコミュニケーションする方法
著/佐藤尚之


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この本について事前に伝えておきたいのだが
執筆されたのが2007年であり、出版が2008年と
目新しさはないが、「広告とは何か?」という部分において
広告業界初心者にはとても参考になるのでその部分を抜粋してお伝えできればと思う。

広告とはラブレターである、とは?



この本の内容を一言で表すとすれば
「広告は消費者へのラブレター」という一文が最も適した表現だと思っている。ラブレターが広告であり、送り主が広告業界、受取人が消費者、というわけだ。
どのように消費者(ターゲット)を理解して
どのようなコミュニケーションを取るべきか、という部分を詳細に伝えてくれる一冊だと思っている。

消費者は変わった。広告も変わらないと!



4マスが中心となっていた時代からメディアは格段に増え続け、
一人で楽しむことができるツールを持ち、欲しい情報を自在に手に入れることができる、つまり供給過多な時代である。

では...

今も変わり続けている消費者に対してどのようにアプローチをした方が
良いのだろうか。


広告というラブレターを渡すテクニックについて


ラブレターの渡し方(待ち伏せる方法)について7つの項目をみてもらいたい。

①消費者のコンタクト・ポイントで待ち伏せる
②新しいメディアを創って待ち伏せる
③口コミを利用して待ち伏せる
④CGMで待ち伏せる
⑤エンターテイメントの中で待ち伏せる
⑥検索結果で待ち伏せる
⑦メディアをニュートラルに考えてクロスに待ち伏せる

ラブレターを渡す場所や渡し方、渡す方法について
現代においても見かける機会も多く、私的にも気になったものを紹介する。

③口コミと④CGM(Consumer Generated Media)
CGMとはユーザーが参加して出来上がるメディアのことで
SNSを始め、食べログやcookpad、ニコニコ動画など参加型メディアは珍しくもないが、口コミとは「仲間ごと」である友人、知人を介した情報でそれらの信頼度は高く、間接的に確実にリーチすることができると考える。


次に気になったものは⑤エンターテイメントの中で待ち伏せるである。
「わざわざユーザーが探して見に来たくなるようなコンテンツ」
コンテンツの一部として商品やブランドを仕込む、というものである。

ユーザーが他人とシェアしたくなるようなコンテンツ
=ユーザーが見に来たくなるような、有益と感じられるコンテンツ

そうでなければ情報過多な現代、自分にとって有益と感じられるコンテンツでなければ共有もされないしすぐに埋もれてしまうのだ。
現代におけるタレントやYouTuber、インフルエンサーが自身のチャンネル上で商品やサービスを紹介するコンテンツはこの部分にあたるのではないだろうか。

最後に過去、とても重要視されていた⑥検索結果で待ち伏せるとはどういうことか。
消費者が商品やサービスを知り、Search(検索)することで接触を図りAction(購買行動)を起こし、Share(共有)する、という購買行動の一部である。
交通広告やTVCMなどを用いて「〇〇で検索!」というワードで検索させ、リスティング広告と紐づいた施策も多くみかける。

また検索するという行為はWEBだけに限らず、
SNS上で商品やサービスを検索し、憧れるタレントやモデル、友人、知人の信頼できる情報から更に購買行動に繋がるのである。


相手をよく知り、観察する


君が人を好きになった時に取るべき最善の方法は、
その人のことをきちんと知ろうと目を凝らし、耳をすますことだ。
そうすると、君はその人が自分の思っていたよりも単純ではないことに気づく。極端なことを言えば、君はその人のことを実は何も知っていなかったのを思い知る。
『映画篇』金城一紀著/集英社

冒頭でもあったように「広告とは消費者へのラブレター」である。
渡す相手を知ろうとすればするほど複雑で、実は身近な人にも関わらず
全く知らなかったことに気づかされるのだ。

渡す相手のことをもっと知らなければ渡す場所や方法のテクニック使えない。その相手が普段何をしていて、何が好きで、何に興味をもっているか。
ターゲットを細かく分析することで、より効果的な施策に結びつく、と考えられる。


さて...

ここで佐藤尚之氏の代表的な事例を紹介する。

「スラムダンク一億冊感謝キャンペーン」
作者「井上雄彦」がスラムダンク愛読者だけに「ありがとう」を伝えたい
①大手新聞会社の広告一面にイラストだけを掲載
②オリジナルのWEBコンテンツからファンがメッセージを送ることができる
③廃校の黒板を利用して「スラムダンクの10日後」を描きリアルの場でファンに感謝を伝えた

多くの人に伝えたい広告と違い、ターゲットを限りなく絞った特例だとは思うが伝えたい相手をどれだけ理解することが必要で、その相手を喜ばせるにはどんな施策が最適なのかを、
どこまで考えなければいけないのか、どのくらいまで理解すべきなのかがポイントとなる事例だと思う。


ネオ茶の間の出現?


お茶の間とは家族全員が食卓を囲んで会話をする、というサザエさんでよく見かけるシーンの一部だ。
娯楽やメディアなど個人が楽しめる環境を持ち合わせたことで、テレビが独占していた消費者が分散し、お茶の間が消滅。
もっとも信頼が高い家族間の口コミという影響力がなくなってしまったのである。

ところが文書にもあるように現代ではYouTubeを始め、
ユーザー同士が動画に対してリアルタイムで反応できるサービスがある。

同じ空間にいなくとも同じ配信を見ているもの同士が
オンラインで繋がり、意見を交換できる、
オンライン上でのお茶の間(ネオ茶の間の出現)である。

またTwitterのトレンドをよく観察していると
朝には朝の情報番組名が、夜にはバラエティやドラマの番組名が
日々トレンド入りしており、多くの人がテレビの前でリアルタイムに発信していることがわかる。


つまり、テレビだけの拡散力は下がってきているものの
SNSや時代背景とうまく付き合わせることで多くの拡散力をもったメディアなのである。


おわりに

7年ぶりに改めて読み返したのだが
いまや購買行動の重要な一部として確立したSNSだが
当時はWEB最盛期だったし、TwitterやFacebookを使った施策はあったものの、そこまでの拡散力は持ち合わせていなかった。
ましてやInstagramなんて....と今思うと衝撃をうけたのだ。

このように

時代とともに広告を届けるための手法は変化してきているのだが

「広告は消費者へのラブレター」
「相手のことをよく知る」
「ラブレターの中身や伝える場所、方法を考える」

本質の部分は、時代が変わっても結局のところ同じなのである、
ということを改めて確認させてくれた一冊でした。

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