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新規事業で大事な4つのこと

いろんな大手企業と話してると、ベンチャー企業との連携やオープンイノベーションといった言葉をよく耳にします。私がベンチャー企業や外資企業側も現在の老舗企業での、それぞれの経験があるからか、相談もよくもらいます。

  • ■■というベンチャーとアライアンスはよさそう

  • ●●という新しいサービスは伸びているから当社とシナジーがあると思われる

  • ▲▲という新しい技術のPoCをしようと思う

  • グローバル大手の◯◯社と手を組むと、データを活用できるのではないか

こういう相談をいただいたり、議論が出るのは良いことだと思います。

以前LinkedInで投稿した際にもそこそこ反響がありました。


ただ、実際に■■や●●のサービスをどれくらい使い倒してるか聞くと、サービスの良さ・悪さをあまり語れなかったり、そもそもたいして使ってないことが多々あります。

提携やPoCとかしても、実際に動き出すと企画時のメンバーから手が離れたり、現場任せになりすぎたり、そもそも提携後がとても重要なのに、そこの進め方が噛み合わず、からぶったような状況もよく聞きます。

後々、プロジェクトや新規事業がモヤっと曖昧な状況になったり、焦げ付いたのを放置されたまま、後任に引き継がれたり。または、撤退ルールがなかったり撤退の基準が曖昧で、ズルズル続けて、組織生産性の低下にもつながります。

スタートアップの経営者仲間も多いので、大手企業からの提携は嬉しい話だが、うかつにPoCやアライアンスをして、うまくいかなくて、会社が吹っ飛びかけるケースも聞く。とはいえ、ベンチャー企業の方が鋭いというか、冷静にアライアンスやPoCは捉えている(無駄はあまりしない)、資源(ヒトモノカネ)も考えるし、本気度が違うからだろう。

PoCという言葉は散見しますが、サクセスクライテリアの無いPoCはポック死(PoC死)と言われるのがそういうことだと思う。

これまで自分が在籍していた会社では、私の管掌ではサクセスクライテリアの無いPoCは承認しませんでした。サクセスクライテリアの無いPoCはお金の余った大企業はやっても良いかもしれませんが(それもそれで良くないですが)、見方を変えれば”自由研究”や”やっている感”の創出になりかねない。

なので、以下の4つは新規事業や新規プロジェクトでは必要だと思ってます。

1. 徹底的にサービスを使うこと

最近はどんどん新しいサービスが出ます。新規事業をやってる人や、経営者は毎月のどれくらいのサービスを知って、徹底的に使って、ユーザー視点で物事を捉えてるか。それをやり尽くしてる人が新規事業やアライアンス、はたまた経営をする必要があり、使い倒してから物事を語る必要があると思います。
ふんわりした会話を会議でしたり、パワーポイントで企画書を作る時間があれは徹底的にサービスを触ることの方がなによりも大事だと思う。

少し前に書いた、以下のような習慣になっているか。普段からトレーニングしていないと怪我すると思います。

2. サクセスクライテリアがあること

ふんわりとPoCや提携はPoC死や、曖昧プロジェクトへの道筋です。どのタイミングくらいで、どういった基準がクリアしてたら、良いのか・悪いのか。クリティカルパスなどは設けているか。
そもそもPoCや新規事業を起案すること自体が目的になっていないか。
本来はそれを”成功させること”が大事で、そのあとの方が何倍もパワーもかかり、長期戦であることを本当に理解しているか。
PoCを増やそうとか、PoCの数が目標になっているのは、その後戦略的に認識が揃ってれば良いが、手段が目的化しかねない黄色信号なケースもあります。

システム開発プロジェクトの現場では馴染みのない言葉かもしれませんが。「プロジェクト・サクセス・クライテリア」について以下の記事がわかりやすくまとまっていました。

3. 撤退ルールはあるか

◯◯までに、□□の基準を満たしていなければ、撤退やプロジェクト終了などを設けていない会社が多く、負の遺産が積み上がっていってしまう。当時は良くてもフェーズが変わると功罪となったものに触れずらくもなる。

伊藤忠が事業の撤退ラインを公開しています。この規模の会社で公開するのは珍しいですし、素晴らしいですね。

①3期累計赤字
②リターンの投資時計画比下方乖離
③付加価値(≒EVA)の3期累積赤字

このいずれかに抵触した場合、改善余地を議論し、ダメそうならサンクコストは無視して撤退。

出所:伊藤忠商事 統合レポート2020

インターネット企業であるサイバーエージェントも設けています。

毎年子会社数が10-20社設立され現在は合計115社、年間の新規事業創出数が68個(2019年時)、撤退ルールが明確であるというのは秘訣の一つかもしれません。メリハリつけて、ダラダラやらないということですかね。

<CAJJプログラム>サイバーエージェント(CyberAgent)事業(Jigyo)人材(Jinzai)育成プログラム。営業利益によって事業をランク分けし、事業成長を図るとともに、2四半期連続で減収減益になったら撤退もしくは事業責任者の交代といった撤退基準を明確化しています。
出所:新規事業の創出(サイバーエージェント)

4. ビジネスオーナー、プロジェクトオーナーは明確か?成功するまで(または撤退するまで)責任を持ってやり続けるか

多くの会社で、「前任から任された」「企画担当から引き継いだ」「役員から言われた」など、新規事業やアライアンスがバケツリレーのようなケースが多い。そもそも起案してから成功するまでやり切った方が、何よりも熱量や覚悟が続くと思います。

世の中の起業家が本気で5年、10年かけて何度もピボットしてでもサービスや事業を本気で成功させようとしているので、その覚悟が必要なのだと思います。

とはいえ、上場企業だったり、自身が企業のオーナーでないケースがほとんどで、制約もあったり、任させれ行うケースが多いとは思ますので、なかなかそうもいかないよというところもあると思います。

上記1の「サービスを徹底的に使うこと」から始めるだけでも会話の粒度が変わってくるのではないかと思います。


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