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映画『クリード 炎の宿敵』感想

予告編
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 いやぁ~遂に明日、『クリード』の新作が公開ですよ。楽しみだなぁ。

 はやる気持ちを抑えるワケじゃないですが、前作の感想文でも投稿して、気持ちを落ち着けることにします。


……だって、忙しくて映画館行けそうにないんだもん泣



継承


 映画『クリード チャンプを継ぐ男』の続編。相変わらずの肉体美は健在でした。この彫刻のような筋肉の隆起だけでアドニス(マイケル・B・ジョーダン)がかっこよく見えるというものです。去年公開のライアン・クーグラー監督作『ブラック・パンサー』でキルモンガーを演じていたおかげなのかな? そんなライアン・クーグラー氏は前作では監督を務めていたものの本作では製作総指揮に回り、別の人が監督に。僕の勉強不足なだけなんだけど、同じシリーズで監督が変わった上に、しかもそれが若手ってなると、やっぱりちょっと不安が……笑←蹴

まぁでも、前作と同様に新鋭の若手を起用するあたり、『ロッキー』っぽ いと言いたくなってしまう。今、或いはこれからを生きる者たちで作り上げていくという大義を体現したかのようなチーム作り。そして結果、面白かったと思わされたのだから無駄な心配だったワケです、陳謝。



 しかし、これはあくまで『クリード』。全く同じでは新たに物語を紡ぎ出す意味が無い。“踏襲” だけではダメなんだ、“継承” でなくては……なんて、偉そうなことを考えちゃう。でもそういった意味で言えば本作の物語、そして結末が含蓄する所は大きいのではないでしょうか。


 ロッキー(シルベスター・スタローン)のかつての宿敵イワン(ドルフ・ラングレン)を登場させ、アドニスを巻き込んでの代理戦争状態と化していたようにも見受けられる本作は、屋号こそ『クリード』ですが、同時にロッキーの、つまりはクリードとロッキー、2人の物語でもあったんじゃないかな。

 前作を経て最高のバディになっていた2人でしたが、“ドラゴ親子”、そして “家族” という同じ壁にぶち当たっていながら、ロッキーは〈過去〉、アドニスは〈現在(未来)〉と向き合っていて、互いに見つめている方向が違う。でもそれぞれがリンクし、クリードがロッキーの助けになり、ロッキーがクリードの力になっている。前半で崩れた2人の関係を修復するプロセスがとても魅力的なんです。

 その上で互いのストーリーが交錯していくから、鑑賞する側の感情移入が煩雑になりかけるのですが、ロッキーの物語が進む時にはロッキーのテーマを流し、アドニスの物語が進む時にはクリードのテーマを流すことで、感情の変移の流れを見失わずに済む。そういう観易さへの気遣いもしっかりしているから面白い(まあそもそもロッキーのテーマ曲が流れるだけで嬉しい気持ちが沸き上がってきてしまう僕の意見では説得力など無いに等しいですが)。



 ドラマ部分も勿論ですが、アクション(試合や練習)シーンも面白い。個人的にはライアン・クーグラー作品でお得意の長回しのアクションが無かったのは残念でしたけど、殴られる側の視線を映していたのは良かったと思いました。試合の行く末や臨場感以上に、ヴィクター(フロリアン・ムンテアヌ)という敵の強大さ、そして彼に恐れ慄くクリードの心情を理解し易い。他にも、互いにタイヤに軸足を入れてインファイトを強制させる練習はとても見応えがあり印象的。



 クライマックスは本当に素敵でした。たった一つの勝敗が人生を変えてしまうことは、物語を観ていれば十分わかる。いやそれこそ『ロッキー』を観てきている者なら絶対にわかるはず。そんな物語の最後に、敗者側にも、何かこう、心が救われるような描写があったり、しかもそれが非常に抑制の効いた無駄のない見せ方なんです。中でも特に良かったのはロッキーが自身の息子であるロバート(マイロ・ヴィンティミリア)の家を訪ねるシーン。『ロッキー・ザ・ファイナル』の頃から残る痼りと、そしてこの瞬間にもたっぷり間を取ってしまったことによって、下手な謝罪や愛情のセリフではクサく、長ったらしいセリフだと説明チックになりそうな中で、ロバートが口にしたあのセリフが素晴らしい! 完璧なチョイス! 完全に個人的好みだけど。


 そんなラストや、試合後に椅子に座るロッキーの後ろ姿、新しく生まれた命を描いた物語によって「『ロッキー』の物語は終わってしまった?」とも思えてしまう。そんなこんな全部ひっくるめて “継承” などとかっこつけて呼びたくなってしまったのかもしれません。


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