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余白

何事も1度目で上手く行ったことは基本
実力では無いと思っておいた方がいい。

もちろん、今までの知識と経験の積み重ねが
生んだ成功なのだから、紛れもなく実力だという
捉え方もできるかもしれない。

ただ、全てをそうやって見ていては
実力以外の要因に気づけないし
本当の実力にも気づけないと思う。



僕は、2~30人の人の前で
何かを話すことが得意である。
 

スピーチであったり、プレゼンであったり
はたまた歌でさえ、堂々と披露できる。
 

周りの人たちは評価してくれているし
自分自身も手応えを感じるので

僕の長所と言っても過言ではないだろう。


と、思っていた。


遡ること3年前、大学のゼミで
課題である3分間スピーチを行なっていた時のこと。

周りの仲間がスピーチの基本的な型に
しっかりと当てはめて上手にスピーチする中で
どうしても違うやり方で注目を集めたかった僕は
少しだけ思い切った行動にでた。

前の日に社会心理学の授業で出たクイズを
そのまま使用して、3分間の中で提示
そして答え合わせと解説をする
と言うスピーチをしたのだ。

とりあえず、
1番面白いと思ってもらえそうな構成を考え、
頭の中で何度かシミュレーションをした。

麦と書いてバクと読む友達に電話して
それを聞かせてみたりもした。



その結果は今でも覚えている。
何か数値で出たわけではないが
先輩のびっくりした顔
先生からの評価の言葉
あのスピーチはすごかったよなんて
ゼミ仲間からの賞賛の言葉の数々ときたらもう...。
(あんまり自分で言うことではないよ!!)


僕は思い上がっていた。
「そうか~、俺ってスピーチが得意なんだな
・・・ふふふ、えへへへ」
といった状態だった。(気持ちわる!!)



しかしこの数ヶ月後、ゼミ合宿でのスピーチで
あれは偶然だったと思い知ることになる。



完全に人前でのスピーチを
得意技だと思っていた僕は
合宿場行きのバスの中で内容を考える
という舐めた態度を見せ
今度はメンタリストのDAIGO(DaiGo?)さんの
本で読んだ習慣の話をこれまた
そのまま話そうと決めた。
あの話はおもろかったし、いける...!!


本番は酷かった。


まず、人生は習慣が大事です、という導入により
みんなは私に釘付けになるだろうという
思惑が外れた(当たり前だろ)。

そこで釘付けにした用の文章しか
持ち合わせていなかった僕は
なんとかアドリブで

「聞いたことあるような話ですよね~?でも
僕の話を聞いたら、もっと習慣というものが
大事だって思えますよ~?(ニヤ)」
と合わせる。

しかし、そこでハードルを上げすぎた結果
導入で失った注目を内容が補えず、
その期待値は僕の短い足では
到底越えられなかった(反応に困る)。

みんなの顔は、あのスピーチの時とはまるで
違ってとても涼やかで、凛々しくて
一言で言うと、スベった。



ここで、ようやく気がついた。

僕は人前で話すのが得意ではない。
得意だったらどんな場面や状況でも
それに合わせて対応できるはずだ。

得意だから上手く行ったわけではない
というのを前提にして
改めて最初のスピーチを思い返してみると
成功の要因がいくつも見つかる。

・シミュレーションをしたり友達に聞かせて
 そのスピーチに慣れていたこと
・社会心理学というテーマの聴衆の興味度合い
・クイズ形式による聴衆参加型スピーチ
・全体の語数にの少なさによる間

ナドナド。

1度目に上手く行った時
仮にそれが実力であったとしても
そうではないと思っていれば
どうして上手く行ったかを考える余白ができた。

余白を作る。ここが特に大切なことだと思う。



人間は何かと余白を作ることを嫌う。

処理数に限界がある人間の脳は
何かわからないことや欠けているもの(空白)があればそれを埋めるような行動や思考をするよう機能する。

初めてのスピーチで
たくさんの賞賛を浴びた僕の脳はおそらく
その詳しい因果関係を解析するより前に
「お前はスピーチが得意なんだよ」
と僕に語りかけたのだ。

そしてまんまとその快感に溺れ
自らの実力を思い知った結果
2度目のスピーチの惨事を引き起こした。


つまり、あの時僕の脳からの甘い囁きに
「そう判断するには証拠が足りねえぜ親分」
と反論できていたならば
実力以外の要因を見つけることができ
2度目の失敗を防げていたはずだ。

そういった意味で
何事も1度目で上手く行ったことは基本
実力では無いと思っておいた方がいい、と思うのだ。


2度目の失敗のおかげで学べたんだから、
それもプラスだろうとも捉えられるかもれない。

ただ、実力とそうで無いものを
はっきりさせて臨んだ末の失敗の方が
得られるものは大きいはずだし
意図した新たな挑戦もできていたと思う。



余白を作ることの大切さ。
表裏だけじゃない判断は
人生をもっと豊かにすると思う。

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