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「俺は神経質だから」「優柔不断だから」とやたら自己規定してくる奴が嫌いという話


「神経質だから、イヤフォンから漏れる音が気になってしまう」
「優柔不断だから、メニューを決めるのに時間がかかる」
という物言いが、すごく気になってしまう。


「A(優柔不断)だからB(メニュー決められない)」
じゃなくて、
「決められない」というケース(B)が沢山積み重なっていった人を結果的に「優柔不断」(A)と呼ぶわけなので、
どちらというと「BだからA」のはずだ。


......こんなこというと、賢い読者の方は
「じゃあお前は『このリンゴは赤い』が積み重なって出来た『リンゴだから赤い(に決まってる)』という物言いに対してもむかつくのか?」
と思うかもしれない。さすがにそこまで哲学と心中する域のあっぱれな態度はもっていない。


私がむかつくのは、「性格」に関するこういう物言いだけだ。


「AだからB」の物言いが気になってしまうのは、
「論理的に逆転してるから」という理由に加えて、
「僕は優柔不断(A)です~」と自己規定して「だからメニュー決められないのは仕方無いんです~」と言いたがる、甘えやキモい自意識が見えるから気に食わない、という点もあるだろう。


別に私は、優柔不断な奴も神経質な奴も嫌いじゃない、というか、メニューを決められないのも音漏れが気になるのも私なのだ。


私が気になるのは「優柔不断だから」「神経質だから」とやたら自己規定する奴だ。
なんだか甘えと安住、変化への億劫さみたいなものが見て取れて、キモい。


もう少し話を進めると、そもそも私は「性格なんてあってないもんだ」と思っている。そのことについては大昔に書いたので詳しくしたい人はこちらを読んでほしいんだけど、(https://crmg.me/w/17/520)(今よりかなり尖った口調で書かれていて、ウケる)(しかし名文)(昔から書きたい内容って全然変わってないんだよな~口調は割と変わるけど)、


要約すると、

「多くの人は神経質な面と大雑把な面を持っており、例えば私なんか「このマグカップはコーヒー用!」とか決めてそれ以外のマグでは飲まないという意味ではとても几帳面だけど、「どうせ同じ飲み物入れるんだからいいや」と思ってそのマグを三日連続で使用するという意味では壊滅的に大雑把」

ってことなんですよ。
神経質な面にフォーカスしたら「あなたは神経質な人ね」ということになり、大雑把な面にフォーカスすれば「あなたは意外と大雑把な人なのね」ということになる、そしてこれが全ての占いが当たる理由でもある。
占いというのは「あなたは神経細やかな気遣いが出来ますが、時に大胆な面もありますね」とでも書いときゃ100%あたるのだ。


占い師はまだ、意図的にこの文法を駆使してくるから、良い。

むかつくのは、本当に何も考えていない人、あるいは私を口説こうとするやつが
「渋澤さんて繊細なんだね」
「あれ、意外と大胆なところもあるんだね」
とか言って、ドヤ顔してくる場合だ。


多くのモテ本には、「君は意外と●●なんだね」(●●は、「繊細」でも「大胆」でも「真面目」でも「臆病」でも「男前」でも、何でも良い)という性格規定文を入れまくって「僕はあなたのことわかってますよ」アピールをしまくれば、女はオチる、と書いてある。

でも、私にとっては、そんな雑な言葉を量産してる時点でアウトだし、「ちょいちょい観察してすぐ観察報告してくる態度がキモい」「お前はちゃんとお前の話に集中しろ」「好きなものの話でもしろ」と思ってしまう。


私にとっちゃ、安易に自己規定してくる奴(俺、神経質だから!)もアウトだし、安易に他己規定してくる奴(君、繊細だよね!)もアウトなのだ。


そういえば、昔、職場の2,3個年上の先輩で、
「渋澤さんにだけは教えちゃうね」「渋澤さんには言っちゃうけど」
と言って、やたら秘密を打ち明けますアピールをしてくる人がいた。

まあ、直属の先輩はその人だけだったし、それなりにプライベートの話や他の人に言えない職場の愚痴を共有できる仲ではあったけど、それにしても、多用するな……全然大したことない話の前にもこの枕詞つけるんだよなこの人……この人、このモテメソッドで今までうまくやって来たんだろうな……と思ってしまい、全然グッと来なかった。ちなみにとてもモテる女性だった。


深いところを見たフリをしたり(モテマニュアル男)、
深いところを見せたフリをしたり(職場の先輩)することで、分かり合ったフリをするのって、不毛だよね。


人類が、リンゴという実があって、いろんな種類があるけどどうやら大体全部赤いみたいだ、と気づくくらいの長い時間をかけて発された「リンゴは大体赤い」くらいの重さで、君が発した「渋澤さんて大胆だけど時に繊細なところもあるよね」じゃないと、私はきかないよ。

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