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【ライヴ原稿&動画】パンコア



朝のニュースのアナウンサーと女子アナがふたりして不倫してたそうで、この二日間番組を休んでいた。 
空いた2席にはコアラとパンダが座っている。
さんざん他人のゴシップを紹介し続けて毒にアテられたふたりは、結局これ以上他人の醜さを暴く仕事を続けゴシップを食い続けるか、あるいはゴシップに食われるしかなく、彼らは後者を選び、そしてゴシップそのものになった。
コアラがパンダの背中にきゅっと抱き着いて、互いにユーカリとササを食べさせあっている。
しかしそれ以上はしない。


「異種間の交尾はアリ?! 上野で100頭に該当インタビュー」という特集において、
「いけるものはどんな子でもぱくっといきますよ?」と答えたライオンに「わあ~肉食系ですね~」とコメントした、コアラの眉毛の高さに、私はさる日の女子アナの面影をみた。


ゴシップ、ゴシップ、そういうもん

ゴシップ、ゴシップ、そういうもん

セックス、ドラッグ、そういうもん


ストップ! 合法ゴシップ
ゴシップやめますか? 人間やめますか?
ダメ、ゼッタイ。

あなたがリツイートしても原発はやまない。やまなかった。やましい、あさましかった


新しい朝が来た
恥ずかしいあさましさ

新しくおろした上履きはなんかちょっと恥ずかしいからわざと自転車でちょっとひいてちょっとみすぼらしくしてから学校に履いていく、みたいな感じで新しい朝を。

真っ白なカレンダーが怖いから、白い毎日が怖いから、極彩色の週刊誌で塗りつぶす。
そうやって自分の人生を、自分のニュースで、カラフルに染め上げる覚悟の無い私たちが、あの美しいアナウンサーと女子アナウンサーを殺した。


週刊、と名づくものだから毎週最新の情報が届く、と思ったら大間違い、
2年前の週刊誌を読んだことがありますか、意外と読めますよ、人名を最新に入れ替えただけで、あとは一緒なのさ。


それはつまり葬式と一緒、人名を入れ替えただけで、あとは一緒。


【作者・渋澤怜による解説】

2017年1月、ポエトリースラムジャパンという、詩の朗読大会に出場するため、制限時間3分に合わせて書いたネタ。(動画は、同大会に同年7月に出場した時のもの)。ちなみにどっちも2回戦で負けた。

本当か嘘か分からないが、「朝のワイドショーに出ているアナウンサー男女が不倫していたためこの二日間番組を休み続けている」というツイートを見て(テレビを観ないからこれが本当だか分からない)、物語性を感じ、着想した。

また、当時、親友のビート武田が浅原パンダが改名したところだったので、意味なく「パンダ使いてえ」となっていた。


「あなたがリツイートしても原発はやまない」は、バンドマン高野京介氏のツイートや曲名より。(曲名は今見たら「止められない」だった)



2011年3月のツイッターは、地震のこと以外書いちゃいかんのかなってくらい、地震と原発ツイートだけで埋め尽くされていた。反原発に関するツイートをリツイートし、他人の意見で相撲取り合戦みたくなってたところもある。そんな折に、東北出身の彼からこのツイートが発され、結構なインパクトがあった、と記憶していたが、そのツイートは見つからなかった。


動画

https://www.youtube.com/watch?v=Pkm43NZjwvc

スキを押すと、短歌を1首詠みます。 サポートされると4首詠みます。