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色と性

にーはお!Xジェンダーの怜です。まだ2本目の記事なので、書き出しがぎこちないですが、これからはこんな出だしで書いていこうと思います。

なぜ「にーはお!」と書いたかというと、実は普段台湾で生活しておりますので、「こんにちは!」よりも「你好(にーはお)」のほうが落ち着くんです。(笑)

今日は、ジェンダーと色に関するお話です。


「何色が好き?」

突然ですが、皆さんは幼少時代、何色が好きでしたか?私が幼稚園に通っていた当時、周りの女の子は断トツでピンク(他にも赤やオレンジもいたかな?)、男の子なら青や緑などが多かったように感じます。

(生物学的に)女の子として生きていた私は、「水色と黄緑が好き!」と、声に出して言えませんでした。仲のいいお友達はピンクが好きだったから、真似をして「レイちゃんもピンクが好き!」と言っていました。

一番好きなお絵描きの時間には、当時一番仲良しだったMちゃんにあげるために、「レイちゃん、ピンク色の絵の具使う!」と言ってピンクの絵の具を独占していた、と幼稚園の先生が付けていた記録に書いてありました。


本当は「水色と黄緑が好きなんだよ」と言いたかった。

でも言えなかった。


子ども心に、なんとなく「女の子はピンクや赤、男の子は青や緑」という色分けがあることを意識していたのだと思います。青や緑のものが欲しいと大人にいうと、「レイはお兄ちゃんの真似をしているだけでしょう」とたしなめられたからです。そこから、お兄ちゃんは男の子だから青や緑が好きでもいいけど、私は女の子だからダメなんだと思ってしまいました。

そんな中でも一度、自分の好きな色の絵の具を思う存分使って書いたものがありました。それは、先生が読んでくれた絵本「オズの魔法使い」のエメラルドの都。

絵本の中の緑のお城。「なんて綺麗なんだろう」と心が奪われ、一心不乱に描き上げました。この作品は、今でも大切に残しています。

あの頃の自分に「自分が綺麗だと思う色、好きな色を言っても良いんだよ」と言ってあげたい。


色が持つ力

今思えば、その当時から今も変わらず、日本の子ども用衣類や道具、おもちゃは色で「男らしさ・女らしさ」を表している気がしてたまりません。

友人に赤ちゃんが生まれ、同じグループ内で一緒に出産祝いを送ることにした時は、「性別を聞いてからお祝いのベビー用品の色を決めよう」と言った友人がいました。悪気がないとはいえ、子どもは大人から「女の子なら赤やピンクを、男の子なら青や緑を好むようになるように」と色への先入観を与えているようにも感じます。日常的に目にし、触れる機会が多くなるものだからこそ好きになるのは自然だと思いますが、必ずそうなるとは限らないんです。

女の子が青や緑を、男の子がピンクや赤を好きになってもいいじゃない。


#ColorHasNoGender **

私の大好きな台湾の、色に関するお話を一つご紹介します。

新型コロナウイルスの封じ込めに成功している台湾では、マスクを「実名制」という制度で販売しています。マスク購入の際は健保卡(国民健康保険カード)で身分確認を行い、所定の枚数が購入できます。(現在は一人につき2週間に9枚購入可)。ただし、色や柄を選ぶことはできません。

2020年4月13日、台湾衛生福利部(日本の厚生労働省に相当)新型コロナウイルス対策本部の定例記者会見で、ある小学生男子の保護者から寄せられた意見が紹介されました。

「学校でからかわれたくないと、息子がピンク色のマスクを着けたがらない」

衛生福利部長と新型コロナウイルス対策本部長を兼任する陳時中氏をはじめとする男性幹部陣達は、この声に素敵な対応をしてくれました。

幹部の方が全員、ピンク色のマスクを着用して記者会見に臨んだのです!

陳時中氏はコメントで「ある子が学校で、ピンク色のマスクを着けていることをからかわれたそうだね。でもみんな、聴いてほしいんだ。誰が何色のマスクを着けてもかまわないんだ。ピンクだって悪くないんだよ。」と語りました。更に彼の幼少期はアニメ「ピンクパンサー」の影響で、ピンクが流行色だったともおっしゃっています。

原文:2020年4月13日福利厚生部Facebookより

阿中部長:聽說有小朋友,因為戴粉紅色的口罩在學校被大家議論。這邊要跟小朋友們說,其實口罩的顏色都一樣,大家都可以戴,粉紅色其實也不錯,可能大家年紀都比較小,我們小時候最喜歡看的卡通影片就是粉紅豹(頑皮豹)(可能大家都不太知道吼......)粉紅色在那個時候確實是很紅的一個顏色~

それに対してのコメントに

「私の息子もピンクのマスクを着けたんだけど、とってもに合っているよ!」、「男がピンクのマスクを着けても可愛い!」、「色に対する固定概念を払拭しよう!」など、肯定的な意見が多く寄せられていました。

また、彼らの発信に賛同した多くの台湾企業がロゴカラーをピンクに変えたり・・・

(写真:Compass of talkers記事より)

台北101が、新型コロウイルスで苦しむ人々を勇気づけるメッセージを、ピンク色の文字で表示したり・・・

台北101のFacebookより)

アジアの中でもLGBTQ+先進国と言える台湾では、民間だけでなく国家レベルでボーダーレスジェンダーを支援しているな、と感じます。そんな台湾で生活できるのは幸せなことなんだなと感じています。


トイレのマーク

一方で、「女性用トイレは赤、男性用トイレは青」この認識を今更「女性用トイレは青、男性用トイレは赤」と変えることはできないでしょう。むしろ、表示を無理やり変えても間違えて入ってしまう人が増え、苦情が出るだけです(笑)

最近ではそもそも色分けせずに両方とも黒だとか、そもそも性別で分けずに、誰が使ってもいいような個室になっているタイプの「誰でもトイレ」もありますね。安全の都合上、性別によるトイレの区別があるのは仕方ないこととは思います。それでも、「だれでもトイレ」を見るとやはりうれしくなります。

毎日目にするものだからこそ、こういったところから少しづつ意識が変わればいいなと思っています。


「~であるべき」を卒業し、「~でもいい」と言えるようになろう。

自分の幼少期に比べ、日本でも徐々に「性の多様化」が意識されるようになってきました。それでも、幼少期から無意識の内に植え付けられた固定概念はなかなか払拭できないでしょう。

台湾での生活では、男女の違いに限らず日本には数多の「~であるべき」という固定概念があると気づきます。

そんな中で感じるのは、気づいたら改善すればいいということ。今気づけたら、これから改善すればいい。例えば子どもに「男の子なんだから青いマスクをつけなさい。男の子がピンクを身に付けるのはカッコ悪いよ」というのではなく、「ピンクだっていいんだよ。とっても似合うよ」と言ってあげたい。ピンクと緑の絵の具で悩む女の子がいたら、「自分の好きな色なら、何色でもいいんだよ」と言って選ばせ、どちらを選んでも「ステキな色だね。上手に塗れたね」とほめてあげたい。

もちろん大人にだって。ピンク色のシャツを着る男性を「いい年したおじさんがピンクだなんて」というんじゃなくて「若々しくていいですね」と言いたいし、黒やカーキ、紺色の服を好んで着る女性にも「かっこいいですね」と言いたい。

これからの日本が、誰が何色を選んでも、その人らしければいいと笑って言えるような社会になればいいな、と思います。


2020年5月16日深夜

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