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ベンゾジアゼピンの離脱症状_02_ベンゾジアゼピン性自律神経発作(パニック発作様の発作)_自律神経に関連する症状01

(この記事の内容は、私の知識と経験に基づく個人的な考察と症状の記録であり、何らかの実験・研究・論文等に基づくものではありません。ベンゾジアゼピンの離脱症状を理解するための参考としてご覧いただけましたら幸いです。)

自律神経に関連する症状について書きたいと思ったのですが、一つの記事にしてみたところとても長くなってしまったので、ここからいくつかの記事に分けて書いていこうと思います。

まず一つ目は、パニック発作様の発作についてです。

パニック発作とは、強い不安や恐怖感を伴って、動悸、発汗、息苦しさ、胸部や腹部の不快感や痛み、吐き気、めまいなどの症状が複数同時に起こり、急激に悪化して、急速に治まっていく症状を呈し、あまりに激しい症状のため死んでしまうのではないかと感じるような発作を指します。

ベンゾジアゼピンの離脱に伴い、私の場合には、このパニック発作に類似した発作的な自律神経症状がしばしば起こります。
私にとっては、数あるベンゾジアゼピンの離脱症状の中でも、これが最も苦痛が大きく、生活への影響も大きい症状となっています。

具体的には、体の中からゾッとするような不快感が湧き上がって、全身から血の気が引く感じ、手足や顔面の冷感、悪寒、胸部や腹部の強い不快感、めまい、動悸、嘔気、振戦、倦怠感、脱力感、発汗、呼吸困難感、尿意切迫、脳貧血などの症状が様々な組み合わせで一度に起こります。
視界が真っ暗になり意識が遠のいてその場に倒れ込んだまま、目を開けたり、声を出すことも難しくなることもあります。
過呼吸になり、全身が痺れ、全身の筋肉が動かせなくなることもあります。

症状の初めから不安や恐怖のような感情を伴っている事もありますし、症状自体がとても苦痛の大きいものですので、その結果として不快な感情を伴うこともあります。ただ、私の場合には、感情がメインの症状というわけでは無いことが多いです。

周囲の人から見ると顔が真っ青になって唇が紫色になって、ものすごく具合が悪そうに見えるそうです。

これらの症状はパニック発作の他に、迷走神経反射、過換気症候群などとも重複する部分のある症状だと思います。別の記事で述べる起立性調節障害とも重なる部分が多々あります。
アシュトンマニュアルでは、パニック発作と表現されている症状にあたると考えますので、パニック発作に類似した症状と書きましたが、私自身はこの症状に関して、原因・誘因・持続時間・対応方法などの違いから、パニック発作とは異なる呼称で表現した方が良いのではないかと感じたので、「ベンゾジアゼピン性自律神経発作」と呼んでいます。(パニック発作・パニック障害との違いについての詳細は、別の記事に書きたいと思います。)

ここで、用語について少し補足します。
私は、減薬中に、ベンゾジアゼピン離脱症候群とパニック発作・パニック障害を明確に区別し、異なる対応をすることが必要ではないかと感じる出来事をしばしば経験しました。
このため、当初は自分の中で症状について考える時に、ベンゾジアゼピンの離脱によって起こる発作的な全身性の自律神経症状を、パニック発作と区別するために、便宜的に自律神経発作と呼ぶようになりました。
ただ、この自律神経発作という単語は、てんかん発作の一種を表すための用語としてすでに存在しています。
てんかんは、脳の神経細胞の電気的な活動が突然激しく乱れる病気です。このてんかんの発作活動が自律神経に関わる領域に及ぶと、呼吸や脈の変化、嘔吐など様々な自律神経症状を呈することがあり、この自律神経症状が前景に立つてんかん発作を自律神経発作と呼びます。
ベンゾジアゼピンに関連する発作的な自律神経症状とてんかんの自律神経発作は、その機序や対応等の様々な点で異なる部分が多々あると思われます。なので、ベンゾジアゼピンに関連する症状をてんかんと同じ自律神経発作という名称で呼んでしまうと、今度は、この二つの異なる疾患を混同してしまう原因になると考えました。
このため、記事を書く際には、ベンゾジアゼピンに関連する自律神経症状を、てんかんの自律神経発作ともパニック発作とも区別する目的で、「ベンゾジアゼピン性自律神経発作」と呼ぶのが良いのではないかと思うようになりました。
ベンゾジアゼピンによる自律神経症状は、意図的に減薬や断薬をせずとも、内服中から出現する事も多いと思われます。私も実際にそのような経験をしています。そのような観点からは、「離脱」などの単語を使わずに、「ベンゾジアゼピン性」とすることで、ベンゾジアゼピンの減薬や断薬をしていない段階での症状もカバーできる呼称ではないかと考えています。
今後もっと適切な用語を思いついた際には、変更する事もあるかもしれませんが、当面は「ベンゾジアゼピン性自律神経発作」という名称で書いていきたいと思います。
なお、この名称は長いので、文章の中では所々に注釈を入れつつ簡略化して「自律神経発作」と書こうかと思っています。このブログにおいて「自律神経発作」あるいは「発作」と表現されている症状は「ベンゾジアゼピン性自律神経発作」の事を指し、特段の断りが無い限り、てんかんにおける自律神経発作の意味では無いとご理解頂けましたら幸いです。

以下、ベンゾジアゼピン性自律神経発作について書いていきます。

私の場合、発作の誘因は本当に様々で、光や音などの感覚刺激、飲食や気温の上昇など自律神経に対する刺激、運動や姿勢などの筋肉の収縮や伸展による刺激、人と会話をするなどの精神的な刺激など多岐に渡ります。

体調の悪い時の方が発作が起こりやすく、程度も重症になりますが、原因になる刺激が一定の範囲を超えれば、体調が比較的良い時でも一気に強い症状が生じます。
また、睡眠中にも発作が起こります。
精神的に緊張が起こる場面で生じやすいですが、緊張からリラックスに転じる場面でも発作が起こります。
リラックスしている時に、突然起こることもあります。

一度発作が起こると、次の発作の閾値が下がり、より弱い刺激で強い発作が生じるようになります。

ベンゾジアゼピンの離脱とは無関係な一般的なパニック発作の場合、症状は発症直後にピークになって、数十分で治まるようですが、私が経験している発作は、数十分から数時間かけて徐々に悪化していくことが多いです。
また、発作の持続時間は数十分のこともありますが、数時間以上続くことも多く、ベンゾジアゼピンを内服するまで持続する事もしばしばありました。
断薬してからは、薬によって発作を止めることができないため、朝に始まった発作が、翌日の朝まで続くといったこともあります。

発作が一度軽快しても、完全に治まり切らずに、些細なきっかけで大きな発作を繰り返す状態が何日も続くこともあります。
一度大きな発作が起こると、数日から数か月の間、非常に体調の悪い状態が続き、飲食がほとんどできなくなるなど生存に最低限必要な行為にまで影響が及ぶこともあります。

軽度のものまで含めると、今も、自律神経発作がまったく起こらない日はありません。
軽快してきているかなと思う時期もあるのですが、急に大きな発作が起こって一日中吐き気で飲食ができない日が続く時期もあったりして、現在も生活にとても大きな影響を及ぼしている症状です。

自分の体の症状を日々観察していて、ベンゾジアゼピンの離脱症状として上記のような発作的で全身的な自律神経症状が起こるのは、GABAによる神経の活動の調節が機能しなくなったことで、交感神経と副交感神経が両方とも全力で働いているような状態が起こるためではないかと感じます。

自律神経は、体を活発に動かすアクセル役の交感神経と、体を休めるブレーキ役の副交感神経が、常に少しずつ働きながらバランスを保っています。
アクセルを少し踏んだら、ブレーキを少し踏み、またアクセルを少し踏むという形で、体の状態が一定に保たれるように微調整を繰り返しています。

車を運転する際に、アクセルやブレーキを渾身の力で突然踏み込むことは、緊急事態以外に無いと思います。
ましてや、アクセルとブレーキの両方を全力で踏み込むことは、どんな状況であれ、ほとんど考えられません。

車と同様、体の交感神経と副交感神経も、内臓をフルパワーで活動させるような渾身の力を込めた指令を出すことは普段ありません。
しかし、ベンゾジアゼピンの離脱によって神経の活動の調節がうまくできない状況が起こると、ふだん自律神経が行っている微調整の「微」ができなくなる状態が起こるのではないかと思います。
この結果、些細なきっかけで交感神経も副交感神経も激しく活動することになり、アクセルとブレーキを程よく踏むのではなく、全力で両方の脚を突っ張って、アクセルとブレーキを同時にめいっぱい踏み込んでいるような状態が生じます。
これは、車で言えば、車体が壊れそうな程ブルンブルン震えているのに、目的の方向にはまったく進めないような感じです。
このように、交感神経と副交感神経の両方の強い指令が伝達されることで、自律神経によって調節されている心臓や腸など全身の臓器が全力で活動するかと思えば、一方で突然活動を緩めたりといった事が同時に起こり、それが、動悸や吐き気などの様々な症状として現れているのではないかと感じます。

次の記事以降に書く様々な自律神経系の症状も、ベンゾジアゼピンによる自律神経の障害によって生じているものと推察されます。
症状は、一つ一つが独立して生じることもありますが、初めは独立して起こった症状でも、それがきっかけで徐々に全身に波及して、他の症状を誘発し、自律神経発作と言える状態に発展することもしばしばあります。
これは、体の一部に起こった症状が、上記のような自律神経全体の過剰な活動の誘因となるからだと考えています。

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