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全裸の呼び声 -21- #ppslgr

「フッハッハッハッハッハ!口ほどにもない!やはり手足の少ない生物はダメだな!」

 攻守が入れ替わり、今度はオク・ダークの股間タコ触腕が膨張し、黒ずくめを襲う!大回りに間合いをあけて迫りくる八本脚の猛襲をいなすも、脚がかすめた電柱は豆腐めいて粉砕される!やむを得ず連続バク転回避!

「ヌゥーッ!」
「どうしたどうした!逃げるだけでは小生には勝てんぞ!?」

 オク・ダークを中心にして時計回りに駆け抜けるレイヴンを、墨の機関銃が襲う。その高圧縮されたインクの嵐は、ミニガンを上回る殺傷力をもってあたりの建物を穴だらけにしていく。

 近距離はタコ足による八手のラッシュ、遠距離は底の見えない墨弾。どちらも基本能力自体が高く、真正面からの激突では実際に不利。レイヴンはその恐るべき猛攻を、距離を保ち間合いをあけて防御に徹することでしのいでいく。視界には右往左往する住人達、攻防の余波で瞬く間に毀損していくいびつな建物群、そしていつの間にやら大きな甕を担ぎあげていた教授の姿があった。

 黒づくめは時計回りから反時計回りにカットバックすると、アノート教授がオク・ダークに距離を詰める間にも注意を引き付けていく。一歩跳躍するたび、鉄パイプで散乱する破片をゴルフめいて打ち込み、あるいは迫りくる触手ラッシュを鉄パイプ回転演舞にてことごとく打ち払う!

 教授が、ついにぴたりとオク・ダークの背後に忍び寄ったのとタイミングを合わせ、反復横跳び前進、墨弾をくぐり抜けて間合いを詰める!

「ヌフーッ!バカめ、死ににきおったか?」
「後ろだ、駄アホ」
「ぬっ?」
「えい」

 手足が十二本でも眼は人タコ合わせて四つ、しかも前方だけとあっては背後の脅威にも振り向く以外にない。振り向いたオク・ダークの股間を、教授が掬い上げた甕が襲い掛かった!反射的にすべてのタコ足が、甕中に滑り込んでいくではないか!?

「露ーッ!?し、しまった!これは蛸壺っ!はっ、早く取らなくては……!」
「させん!」

 大きな甕にタコ足が吸い付いたとあってパニックに陥るオク・ダークの人腕を、レイヴンは鉄パイプを通して後ろでに関節を決める!オク・ダーク絶体絶命!

「ちょっと失礼しますね」
「なっ、何をする!?やめっ、ウワーッ!?」

 瞬間、太い縄束が強引に引きちぎられ、盛大にちぎれとんだかのような音が辺りに響き渡った。一面に、タコのインクめいた墨液が舞い散り、路面を黒く染めあげた。

「Oh、ジーザス、ブッダ」

 教授が、その細腕からは想像もつかないような怪力にて、オク・ダークの股間タコを一瞬でねじりもぎ取ったのであった。本体からもぎ取られた股間タコは白く変色して甕の中に滑り落ち、オク・ダーク側は、股間から墨めいた何かを垂らしながら泡を吹いて痙攣する。

【全裸の呼び声 -21-:終わり|-22-へと続く第一話リンクマガジンリンク

注意

このものがたりは『パルプスリンガーズ』シリーズですが、作中全裸者については特定のモデルはいない完全架空のキャラクターです。ご了承ください。

前作1話はこちらからどうぞ!

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