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ノースシ・ノーライフ(3-8)

 二人が脱出すべく目配せした段階で恐るべきニンジャ存在感は姿を現した。漆黒のニンジャ装束に特徴的な龍のアギトの如きメンポ。アンブッシュすることなく正面から姿を現したという事はそれだけおのれのカラテに自信を持っているのは間違いない。

「ドーモ、ブラックドラゴンです」
「ドーモ、デッドレインです」
「ドーモ、レインボーフードです」

 三者三様のアイサツが終わったコンマ0.1秒後には黒い竜が二人の目の前まで踏み込んできた!繰り出されたのは三連撃からなるカラテストレートだ!
ブラックドラゴンの対物弾めいた恐るべき一撃を迎えるデッドレイン!

 初撃をフェイントと見たデッドレインは二撃目をブレーサーで右に逸らす!だがそれすらもブラックドラゴンの狙いのうちだ!三発目は後ろに控えていたレインボーフードに向かう!

「アイエエエエエエエエッ!」

 情けない悲鳴を上げながら頭を抱えてしゃがみこむレインボーフード!その戦士にしては予想外の挙動ゆえにカラテストレートはフードの先端をちぎりかすめた!侮ることなく再度タタミ五枚ほどの距離を取る黒竜!

 自分に当たってない事に気づくと思い出したかの様にカラテを構えるレインボーフードを差し置き、ダーティカラテミサイルがデッドレインの周囲に幾つも悪霊めいて浮かぶ!

「イヤーッ!」

 ブラックドラゴンが次のアクションに移る前に放たれるダーティカラテミサイル!最小限の動きで回避せんとカラテミサイルを待ち受けたブラックドラゴンの前でなんとカラテミサイル同士が対消滅!閃光弾めいた輝きに変わる!

「ムゥーッ!」

 一瞬視界を奪われた間も油断なく側転回避するブラックドラゴン!だが視界が回復した時には二人のニンジャは既にその姿を部屋から消していた!高度なニンジャ第六感から敵が通路ではなく窓から一目散に飛び降りた事を察するブラックドラゴン!迷うことなく窓辺に脚をかけると躊躇なく大地へと蹴り降り、必殺の飛び蹴りを放つ!あやうしデッドレイン!レインボーフードは社旗かなんか引っ掛ける系の棒に引っかかってバウンドしながら明後日の方向にすっ飛んでいた!

「イヤーッ!」
「グワーッ!」
「アイエーッ!」

 ニュービー・ニンジャの命を奪うべく繰り出されたトビ・キックは空より飛来した別のニンジャのインタラプト・アタックを受け異なる方向へと弾かれていた!ヘルカイトの見事なカラテ・インタラプトだ!

「借りは返したぞ」

 誰にかは明白にせぬまま宣告するヘルカイト!しかし49階という高所にも関わらず恐れる事無く空中で体勢を整え廃工場高層ビルの壁に着地せんとしたブラックドラゴン!その瞬間彼に向けて放たれたソニックカラテの衝撃波がピンボールめいて吹き飛ばした!

「イヤーッ!」
「グワーッ!」

 直撃したソニックカラテを物ともせずアスファルトに回転受け身着地し立ち上がるブラックドラゴン!よどみなく行われる強者同士の挨拶!

「ドーモ、ソニックブームです」
「ドーモ、ソニックブーム=サン。ブラックドラゴンです」

 遥か高みのカラテ強者達の対峙をかいまみながらデッドレインは迷うことなくレインボーフードのフードを掴み大地を駆ける。自分達が加勢しても足手まといにしかならない。そして強者同士のカラテ激突の場では足手まといが居るとは即ち全滅を意味する。悔しさを堪えながら二人はソニックブームを信じその場を脱した。

 とてつもないカラテの激突音がニンジャ脚力で離れていく二人の聴覚にいつまでも届いていた。

【ノースシ・ノーライフ(3-8):終わり:3-9に続く

弊アカウントゥーの投稿はほぼ毎日朝7時更新!
主にロボットが出てきて戦うとかニンジャとかボンズとかサムライとか
ゲームミュージックの紹介エントリィを提供しているぞ!

レインボーフードエピソード第一話についてはこちら。

元になったTRPGソロシナリオについてはこちらをご参照のほどを。

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