ノースシ・ノーライフ(3-7)
重たい鋼鉄のドアはその分厚さに反して軽く開いた。無防備に中を覗き込むレインボーフード。もう少し警戒とかした方がいいのではないであろうか。
中は金庫室めいて分厚い鋼鉄の壁で出来ており、手前の方で鉄格子が牢屋の様に張り巡らされていた。何故工場にこの様な施設があるのか皆目見当がつかないが、会社に逆らった社員のムラハチ用だとでも思う事にした。そして、牢屋に閉じ込められていたのはレインボーフードにとって予想外の人物だった。
「ヘルカイト=サン……!」
牢屋に横たわっていたのは爆発四散したと思われたヘルカイトであった。しかし意識がないのか、ぐったりとしていてレインボーフードの呼びかけにも反応がない。だが牢屋に閉じ込められている以上生きてはいるのだろう。レインボーフードは牢屋の錠前に駆け寄るとストックのスリケンを手にして錠前を切り付けた。あっさりと分割され地に落ちる錠前。ソウカイヤ印のスリケンは伊達ではない。
「ヘルカイト=サン!ヘルカイト=サン!しっかりしてください!」
抱きかかえて呼びかけると、ヘルカイトはレインボーフードの腕の中で辛うじて意識を取り戻した。
「……む、う……おまえ、確かスシ職人の……」
「はい、レインボーフードです」
「まさかおまえに助けられるとはな……」
激闘を思わせる消耗さのヘルカイトに、レインボーフードはスシ職人としてかかす事の出来ないスシ・タッパーより自前のマグロスシをヘルカイトに遇した。もちろん熱いオチャも持ってきている。
「……ふぅーーっ」
スシを食すと青ざめていたヘルカイトの顔色に色が戻る。スシはニンジャにとって完全栄養食だ。ニンジャを元気づけるにはスシが一番である。
「それにしてもどうしてここに?」
レインボーフードの問いにスシを咀嚼しきるとシックスゲイツに相応しい剣呑な雰囲気でヘルカイトは返した。
「……不振なニンジャがこの工場に出入りしているとの情報から、ここを偵察中に不覚を取った」
ヘルカイトの言葉にガクブルと震えだすレインボーフード。やはりここにはシックスゲイツ級ニンジャでも不覚を取るようなカイブツが居たのだ。ここまで遭遇せずに済んだのは誠に僥倖であろう。そしてヘルカイトも立ち上がると牢屋めいた金庫室を出てカイトを背負う。ヘルカイトの姿を視認して丁重にアイサツするデッドレイン。
「恩に着るぞ、二人とも。お前たちも長居はするな」
『ハイッ!』
幹部からのアリガタイ言葉に声をそろえて応答すれば二人は窓辺からヘルカイトが飛び立つのを見送る。
「あー、空飛べるのって便利っスよねぇ。俺もカイトの扱い覚えたいっス」
「スゴクワカル。ところでデータの方はどうでした?」
「今転送が終わった所で……ッ!?」
デッドレインが今までと打って変わって緊迫した面持ちで入り口の方を振り返る。理由はレインボーフードにも分かった。サンシタニンジャの第六感ですらわかるほどすさまじいニンジャ存在感が通路からとてつもない速度で迫っているのを感じたのだ。
【ノースシ・ノーライフ(3-7):終わり:3-8に続く】
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レインボーフードエピソード第一話についてはこちら。
元になったTRPGソロシナリオについてはこちらをご参照のほどを。
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