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BWD:龍の移住相談なる会-7-

 満天の星空の中を龍の背に乗って疾走するのはシチュエーションとしてはいかにもファンタジックでロマンのあるものだろう。追っているものがレトロフューチャーなアダムスキー型UFOという時点で雰囲気は台無しだが。

「セージさん、どうすれば!?」
「まずはあの時代遅れ野郎に一発かまして牛を救助だ、ぜ!」
「わかった!」

 UFOの動きは直線的で間違っても直角に機動を変えて別方向に逃げるような芸当は今のところはしていない。龍は速度を増してUFOの背に追いすがると横に急回転。不可視の力場で慣性を受けていないものの凄まじい視野回転に目を回す二人。

 勢い込んで回転した龍の、鎌めいた突起物が付いた尾は過たずUFOを強かにたたきつけバランスを崩させる。反重力力場光波から解放されて宙に投げ出される牛。

「ほいっとな」

 龍はスムーズに態勢を立て直すと今度は急降下、牛の落下速度より早く海面に突撃すれば間一髪のところで牛をキャッチする。プルプル震える牛。同じ立場だったら人間でも同様になるのは想像に難くない。

「ナイスだ旦那!」
「あの良くわからない物体はどうする?」
「飛行能力を奪って証拠として拿捕できれば……と、そう甘くはないようだ」

 大昔の映画か何かの様に煙をぷすぷす吹きながらふらついた飛行でUFOが逃げ行く先には先のUFOを100倍にひろげたような大物UFOが鎮座していた。いわゆるマザーシップ、母艦という代物だろうか。

 宙に滞空して相手の様子をうかがう一行に対し、マザーシップは小型UFOを底面から光でもって吸収するように回収すると一切の躊躇なく稲妻型怪光線をサイドから放射、閃光伴うビームが龍がまとう見えざる障壁に拡散されては防がれ、無害な光となって散っていく。

「わ、わ!ちょっとびっくり」
「やる気だな奴さん」
「相手もまさかドラゴンが追ってくるたあ思わねぇよなぁ。だがこっちを撃った以上容赦しねーぜ!」

 白探偵はタブレット上の魔法陣に指先で追加の記述を描くと宙に極々初期時代の古めかしい猟銃を召喚する。猟銃をブンブン振り回せば狩人に相応しい狙撃態勢に移る探偵。

「荒ぶる魔銃よ、我が敵を穿て!」

 探偵の命を受け、尋常ならざる魔の猟銃が一発の弾丸を撃ち出す。その口径としては余りにちっぽけなはずの弾丸は、マザーシップUFOのどてっぱらに光を帯びて着弾すると戦艦の巨砲が貫いたかの如き大穴を空けた。

 思わぬ被害に半狂乱になってかレトロ稲妻ビームをまき散らしてくるマザーシップUFOだが、そのことごとくが龍の不可視防壁に衝突しては無力化されていく。力の差は歴然としていた。

「お二人さん、あれってやっちゃっていいものなのかな!?」
「やっちゃっていーぜ!どうせ平和的交渉とかする気なさそうだしな!」
「牛泥棒にしちゃ大仰だが……対話の余地はないのは確かだな」
「おーけーおーけー!なるべく穏便にやっちゃうよ!」

 牛を後生大事に抱えた蒼穹の真龍は夜闇の星明りの中をスライド飛行しながらマザーシップUFOに迫った!

【BWD:龍の移住相談なる会-7-:終わり:8へ続く

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