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荒ぶる荒野の猛者どもよ【かがり火チャレンジ完結編】

約3週間前に始めた「かがり火は消えるか?……の続編は届くか?」チャレンジですが、5人の猛者をお迎えすることができました!
それぞれ力作揃いです。こちらの記事に拙いですが私の感想と共にリンクを貼ってご紹介いたします。(投稿順です) 
素敵な作品をありがとう、そして、ありがとう!!

【かがり火は消えるか?】又吉マタキチさん

マタキチさんは主人公の名前が「ウミヒコ」であることから「海幸彦山幸彦神話」をイメージされたとのこと。この絵本は大昔に読みました。元は古事記&日本書紀らしいです。
小学生のころ、古事記・日本書紀の子ども版を読んだんですけど、2人の神様(?)が、ウンチを我慢するのと重い荷物を背負い続けるの、どっちがより辛いか我慢比べをする……という話があったことを覚えてます。子ども心に心底どーでもいいと思いました。でも覚えてるってことは印象が強かったのでしょう。(記憶違いだったらスミマセン)

突然、その場に登場した、ウミヒコの弟、ヤマサチヒコ。兄弟の感動の再会はこの台詞で一気に火サス風味に。

「ウミヒコ兄さん、ホセスリ兄さんは元気なのかい?僕のように見捨てたのかい?」

殺る気満々な弟は、兄を告発し、村人全員を殺すと言い出した。そして謎のアイテム「潮満玉」を取り出す。そこにやって来た男たち。浜辺は愛と憎しみが渦巻く異種格闘戦のリングと化した!始まるかマッスルバトル!いいですねゴツイ男のバトル大好物〜♡
又吉マタキチさんの作品は、かように豊かな発想力と、読者を振り回し、息もつかせぬ展開の速さが魅力です。そう来たか、てツイストが作中何度も炸裂します。プリズムのごとき変わる色合いに幻惑されて着地点が全然見えない。しかし……そこがイイ!やっぱり小説には予想を裏切られたい振り回された〜いというアナタにオススメ!!

私の好きなマタキチ小説もご紹介↓


【かがり火の結末—D】たららんどさん

たららんどさんは「C:カヤを殺す」に投票して下さいました。いやーこれは無いだろな的な感じで項目に入れたんですが……。Cは難しいーたららんどさん書いてくんないかなぁ、と記事で書いたら、まさかのご快諾!びっくりしました。何というか『孤高の人』というイメージを(勝手に)抱いておりましたので。
たららんどさんの作品は、とにかく上手いんです。文章の巧さは勿論、きめ細かい描写や深く潜ってゆく心理描写、作品のクライマックスからラストまでの怒涛のごとき流れ。毎度ぎゅううんと心を揺さぶられるので、これから作品を書き始めようかな、て時にはあえて読まないようにしてますw 劇薬注意報(褒め言葉)

Cということで「カヤが死ぬ」て要素は必須な訳なんですが、どう持っていくのか?そしてラストまでの展開はどうするのか?

「わたしは誰にも許しを乞わないよ」カヤは乾いた笑い声を上げる。「灯火が無くなれば人は目的地を見失うのか? いいや違う。目指すべき灯りが消えても暗闇を見つめ目が慣れれば彼らは月の光の眩しさに気がつくだろう。ひとつの火に目が眩んでいる間は決して気がつくことのない水平線にまで届く光だ。彼らは今もなお、かがり火にしか目が向かないだけ。わたしはそれを自由とは呼ばない。決められた道筋を血塗られた筋道通りになぞることに疑うこともなく、お前はわたしに生きろを言うのか」

カヤの焔のような強い言葉とは裏腹に、ウミヒコへの痛いほどのひたむきさが胸に迫ります。真っ直ぐで傷ひとつない透明な魂、眩しすぎて直視できない。……この結末は必然か、とも思われます。
読み終わった後は深いため息と、しばしのぼんやり。スゲ〜もん読んだ。そんな感想になること請け合いです。

私の特に好きなたららんどさんの小説↓


【かがり火の結末A】天音さん

天音さんは「2人が幸せになる結末にしたかったので、Aを私なりに書きました」とのことでした。そうか!「A、B、Cから選んで、でなければDで」と皆さんに伝えたけれども「自分なりのAが(B、Cが)書きたい」てのもアリにしておくべきだったですよね。気付かせて下さってありがとう、天音さん!
今回の天音さんの作品は、とにかくまっすぐ、とにかく熱が凄い。カヤの燃え盛る焔の如き熱、2人の中に通う若い血潮の熱。駆け引きも小賢しさも一切無い、まさに「俺たちに明日はない」「トゥルーロマンス」の世界。

炎に触れるとどうなるか知らないものはいないだろう。
 手を引かねば肉は焼ける。
 ――その熱に、本能が危険だと告げる。
 己に燃え移る前に炎カヤを諦めてしまえば、その身を焼かれることもなかったのに。

前半の惑いから一転、まさに2人の世界へとまっしぐら。仕方無いでしょ世界は残酷なんだから!と言わんばかりの展開です。カンテグランデのミントチャイ並みの灼熱の爽やかさ。
天音さんも描写が繊細で丁寧な方です。そして文間に女性らしさが漂っている。何といいますか、noteで沢山の文章に触れてると男性と女性の文章ってやっぱ違うなぁと感じます。女性の方がすべすべしっとりしてる(お肌?)

天音さんのこちらの小説もどうぞ〜!↓


【かがり火の結末】拝啓あんこぼーろさん

今さら説明は要らないんじゃないかという人気noterのあんこ様。縁あって「夢見る猫は、しっぽで笑う」と「駅のトイレ。」でリレー小説を一緒に書かせて頂きました。(「リレー小説」マガジンに収録)応募が少ないよーとグチったら「いっちょ力を貸したろかい!」と名乗りを上げて下さいました。ありがたや〜神様仏様あんこ様。
あんこ様の魅力は自由自在な発想力と想像力、そして暖かさ。そん中にキラリと一抹の悲しみがよぎる。それがグサリと刺さる感じがたまらん。キラリグサリ。

ムラの前に捨てられていたカヤは、みなしごだった。成長するにしたがって、彼女は大人に反抗した。言葉で、大人の矛盾を突いた。

ウミヒコは大人に従順だった。何をしても人より劣る自分が、何かを主張したところで、なんの説得力もないと、自分自身で思っていた。

あんこ様の文章は、ぐいぐい迫ってくるような強さというよりは、穏やかで静かな迫力のようなものが満ちていて、リズミカルなテンポが心地良い。
私が特に好きなのは人物の台詞。私見ですが台詞にこそ、作者の思想や人柄が濃く出ると思います。心が寒いよ温まりたいよ、そんな時にはあんこ様の文章を読むことを強力におすすめする次第!

時代劇とか好きな方にもオススメ↓


【かがり火は消えるか 参加作品】紅茶と蜂蜜さん

紅茶と蜂蜜さんは多芸といいますか、文芸もファンタジーも書きこなす方です。何書いても漫画原作っぽくなる私には羨ましい限り。そして今回は時代劇風味を感じました。正統派時代劇のような文章のキリッとした端正さ。そしてどの作品にも共通するのは行間に漂う品の良さと良い意味での真面目さ。もちろん褒め言葉ですよ!

カヤが、本当に俺を? 

 これはウミヒコが幾度となく願い、夢にも見た未来であったはずだ。今やウミヒコの腕の中にいるカヤの体温をはっきり知覚できるのに、まるで現実味がない。それは、荒れ狂う海に囲まれているからだろうか。

ネタバレしない方がいいかなと思うんで、書き出しをご紹介。いやいや今回はねー驚きました。一応、前半の伏線を受けての後半なので、主人公二人のラブ要素は、どの方の作品にもあるんですけど。こちらは、そのものズバリのラブシーンがあります!
紅茶と蜂蜜さんのはねー初めて読みました。けど下品にならないのは流石。しかも後半も意外な展開。私が特に好きなのはラスト。物哀しくも美しい。この味わいと余韻もなんだか時代劇。

紅茶と蜂蜜さんのファンタジー↓




そしてですねー。はそやmさんが書いてくれた本企画の紹介記事です!↓
自分で開催する立場になると、紹介して下さることのありがたさがよーく分かります。暖かさが沁みます。
ヘッダーの画像もご自身で描かれているそうです。焔を背負ったカラス。カッコいいですね!!うれすい!


最後に私の書いた顛末がこちらです。
他の方の紹介の後、最後に自分のって。抵抗あるなぁ……。


私の作品に出てくる出て来る女性は強いひとが多いんです。フィクションでも強い女にワクワクします。「ミレニアム」のリスベットとか「ゼログラビティ」のストーンとか「ゴールデンカムイ」のアシリパとか。
闘う強い女、さいこう。


──他人の書いた小説の続編。
同じシチュと同じ登場人物から始まる物語は、5人が5人とも全く違う展開と着地点。
面白いですね。物語を生み出す楽しさと醍醐味。読んでてほんとにワクワクしたりビックリしたりしました。
投票やコメントを寄せて下さった皆さんも、それぞれの方の意見や価値観が見えて超〜興味深い&楽しかったです。

投票頂いた皆さま。作品を寄せて下さった皆さま。
ありがとうございました♡

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