マガジンのカバー画像

わたしのうた

34
詩のまとめ
運営しているクリエイター

記事一覧

「焔の蝶」

「焔の蝶」

燃えながら飛んでゆく

炎に包まれて焼かれながら火の鳥

それは蝶々にも似ている

ただひらひらと

花びらの間を遊んでいただけ

なのに燃える

どこで火をつけたのか

もう前も見えない

同じようで

二度とない春

二枚の黒い硝子に

羽が熔けて墜ちてゆく姿を

刻みつけていて

轟音の空を見上げる

痴人のようだと笑われた

空を見上げなければ耐えられない

陽が降りそそぐ熱視線

いたた

もっとみる
「海の声」

「海の声」

潮が満ちて行く

もうここにはいられない

波の音はもっと近付かなければ

私にはきこえない

罪深い爪先に

引っ張られそうな引力は

来た時と同じようにまた引き潮

風は真水の涼しい匂い

潮風だったなら

私の涙も塩辛かったのか

潮の満ち引きを

誰が教えてくれただろう

私は足に絡みつく

掬われて指の隙間に入り込む砂に

ただ困惑する

人はなぜ

海に触れたがる

なぜ楽しそうに戯れ

もっとみる

「塔に吹く花」

それは遠目にもひと際目立つ建て物だった

白い箱は巨大で、そびえ立つ真下の家々はマッチ箱のように見えた

丘に続く道を進んでいく

見上げる頭上では

白い塔を指し貫ぬくように

ひっきりなしに流砂が吹き抜けていた

流砂が垂直に飛んで行った先は

荒廃した大地だった

そして地平の終わりには海が続いていた

強い風しか吹かない町のシンボルは

その強い風と流砂を受け止めて

衝撃を半減させるため

もっとみる
「その砂はちがう」

「その砂はちがう」

過去、もちろん要らない
未来、特に必要ない
現在、辛くても一番辛くても
一瞬先が未来だというなら耐えられるかも知れない
そのずっと先の未来はホショウナンカシナイ
シテクレナイ
すごく不安で不安で
未来が真っ暗なままじゃないかって思っていた頃
未来像が見えなくて漠然としていても進んで行けた頃
狂いそうで狂いそうでどうしようもなかった
それはきっと未来の自分に期待していたからだ
未来の自分が輝いてるっ

もっとみる

「白黒タイル」

黒×白

ブラック&ホワイト

そして灰色

黒と白は相対し
グレーは彼らの審判である

彼が黒を白といえば
白は黒になる

誰も悪くない
そういうなら
わたしも悪くないのね

ちがう?

なら、矛盾ね

本音と建前

矛盾があると決裂する

ゼンマイ仕掛けのオウムさん

ずっとそこで回っていなさい

カッコウだけは憐れんで

あなたの見苦しいバタフライを横目で見てる

「スターダスト散りぬるヲ」

「スターダスト散りぬるヲ」

チュッパチャップス女子高生好きなフレーバー「ピーチ」遥かむかしのセンパイ世代チュッパチャップス入れて持ち歩く鳥の頭みたいなステッキあったよあの頃はさあたしのママたちはポケベルやねんポケベルは彼氏との連絡係友達の手前、誰からもかかってこないポケベル持ってるクリスマス特にクリスマス!クリスマス限定でカップル誕生なんでやクリスマスにカップルになってなにするん?そんで、バイ♪してどーすんのよけい笑われね?

もっとみる
「なにより青い」

「なにより青い」

今より10歳若いっていいよね戻りたい捨てられて泣いてばかりいた歳歳だけは戻ったらうれしいかな青い空、見上げては「わたしは元気です」迎えにも来ないあの人に涙をいっぱい目に溜めてひとりぼっちの空、眺めてた透明だった涙の粒をおぼえてる*

会えないのに想ってる終わった恋より置いて来た恋あの人の笑顔と寂しそうな顔だけいっぱい浮かんでくる怒った顔はなかったこと今日会えなかったら明日も会えないの確定「空綺麗~

もっとみる
「世紀滅の歌」

「世紀滅の歌」

あの蠅が潰されたらカシスの赤い血で腐り出した種子を洗おう王がそれを含む時カントがやって来て爛れた豚の胃を刻むあの角を曲がって5番街時計台が見える地下鉄で5分で行けるマンドラゴラが顔を出している断末魔煙と染み出した水の跡の馬の影のようなもの飛ぶ蚊の大群を引き連れ北の山へ月は五十重(いおえ)女たちは布(きぬ)を受け取り穢れた舞いを踊るカントがやって来て壊れた時計台の針を逆に回す5セット繰り返される悪夢

もっとみる
「夜の神さま」

「夜の神さま」

夕方の5時くらいから6時のあいだ好き外気は冷たいのだけれど気分があがるインクの闇がまだ冷たい空気に輝いて蒼空に桃色の紅をさしたまま図書館帰りの街の混みぐあい見切りのシールにはまだ早いかな待ち遠しい人の数吸い寄せられた焼き餃子のにおい焼き芋もいいんだよねアップルスイートポテトパイアイス乗せ気持ちは手作りお菓子で伝えたいコロナだから嫌かな気がついたら降りる駅間違えた焼き鳥を買ってかえろ行かないでよぅ夜

もっとみる
【ドーン・サン】

【ドーン・サン】

ねぇ、わたし?太陽のなまえをもつあなたはその太陽のしたで少しずつ狂っていったきのうは星屑の砂漠を歩いていたのにきょうは貝殻と星の砂の砂漠を歩いているあしたは七色の硝子玉のサイダー砂漠がいいあさっては苺と練乳の砂漠がいいそんな気休め頂戴ね太陽へはたどり着けますか沈んでゆく貴女の心へは

「My  ぷろぽーず」

「My ぷろぽーず」

ある時いつも空を眺めている少女に少し青ざめた顔をした星が声をかけた💎💎💎窓を開けてくれませんか?あなたの心の窓をそうしてくれたらすかさずあなたの元に舞い降りてその左手に口づけしようそうしてわたしはあなたの指で一等に輝く宝石となるだろう

「冬の散歩道」

「冬の散歩道」

君と歩いた森の小径も

林の迷路も

鳥たちのさえずりも

少し広くなった木々の間の木漏れ日も

僕のポケットの中に預けた君の手も

今では遠いものとなったね

きっとあと数ヶ月先も

僕は一人でこの道を

サクサクと霜柱を踏んでいるだろう

黒髪に隠された君の横顔

吐く白い息は揺れていても覚悟は真っ直ぐだったね

あの頃、君はしあわせだったかな

僕を愛していてくれたかい?

わからないよ

もっとみる
「生きとし、生けるものよ」

「生きとし、生けるものよ」

君が未来、母になり我が子を抱いて、喜びに涙する時幸せで良かったね、って祝福するこんな時代でいつ誰かが悲しみにくれ打ちひしがれ人の腕を払いのけて自分の殻の中に閉じこもるかわからないねわかっているよ振り払うつもりなんてなかったことはわかっているよそんなひどいことを誰かに言うつもりもするつもりもなかったことを衝動は時に、押さえることも止めることも出来なくなるんだ自分にも、他の誰かにも

そして誰かが嫌な

もっとみる