見出し画像

「なにより青い」

今より10歳若いっていいよね

戻りたい

捨てられて泣いてばかりいた歳

歳だけは戻ったらうれしいかな

青い空、見上げては

「わたしは元気です」

迎えにも来ないあの人に

涙をいっぱい目に溜めて

ひとりぼっちの空、眺めてた

透明だった涙の粒をおぼえてる

会えないのに想ってる

終わった恋より置いて来た恋

あの人の笑顔と寂しそうな顔だけ

いっぱい浮かんでくる

怒った顔はなかったこと

今日会えなかったら明日も会えないの確定

「空綺麗~」

五層の薄いパステル画の空に心踊る

精神年齢だけはマイナス10

遠距離恋愛って悪いばっかじゃない

「寂しくないの?」

誰かに聞かれたら

恥ずかしそうに、でもはっきりと

「うん、寂しい」

って言う

少し急ぎ足

水溜まりに映った月がサッとわたしを抜いた

見上げたらもう高いところに月がいた

月のニセモノみたいな生き物が

待ち伏せしてたらどうしよう

触れたら終わりの果実なの

味わうことも出来ない果実を隣に積んで

食べた瞬間だけを夢想する

食べてすっかりなくなった後のことは、考えてる?

旬を過ぎ根ブクれて、朽ちるだけ

食べなれないもの敬遠さる

きっともう誰にも恋しない

二人で誰よりも苦労を分かちあった

その記憶がわたしを支えてる

本当に誰かを愛したことがあるかなんて

誰にも自分でもわからない

目に見えて比較出来るならね

言葉なんていくらでも吐ける

なのに伝えなくては通じやしない

届かないより届けたほうがいい

でも今は

晴れた夜の空の星に訊いてみる

ひとり、闇に安堵する

風、唸る

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?