「焔の蝶」
燃えながら飛んでゆく
炎に包まれて焼かれながら火の鳥
それは蝶々にも似ている
ただひらひらと
花びらの間を遊んでいただけ
なのに燃える
どこで火をつけたのか
もう前も見えない
同じようで
二度とない春
二枚の黒い硝子に
羽が熔けて墜ちてゆく姿を
刻みつけていて
轟音の空を見上げる
痴人のようだと笑われた
空を見上げなければ耐えられない
陽が降りそそぐ熱視線
いたたまれないのに
私は釘打たれる十字の案山子
温かく柔らかい泥水の中に
冷たい透明な輪が光りながら注がれていく
沸き上がっていつか
私は私の中の渇望を潤したいと思うのだろうか
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