文豪太宰治が自身の体験から書いたと、勝手に設定した小説「女人訓戒」
文豪を半ば引退したと投げやりな彼は、今日も通いのオバチャン「竹子さん」と幸せに暮らしている
彼は今や不埒な婦女…
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記事一覧
「神秘捏造」ミステフィカシオン~女人訓戒士O.D~
『待ちぼうけー兎の女』⑩
俺はゾッとする女の不気味な声を、首の後ろ
耳元で吹きかけられて、今にも首を引きちぎられるのではないかと思った
心ノ臓が俺の鼓膜の中で鼓動し始めた
「おとっちゃん、助けて~!民吉さん、どうしてあたしを撃ち殺したの?民吉・・なぜ禁猟の雉を撃ち落としては食らった。明神様の御慈悲の使い、白雉まで手にかけるとは・・どうあがなうかはわかっておろう・・おとっちゃん、まっ暗い・・どう
「神秘捏造」ミステフィカシオン~女人訓戒士O.D~
『待ちぼうけー兎の女』⑨
マザー
子どものためならなんでもする
何をしても許される
それが母親というもの
いいや
分身であれば慈しみ
分身であるがゆえ切り刻む
母親である後に
彼女らは
女であることを選び、強調する
彼女らがはるか昔に失った膜
彼女らの細胞は爆発的に生き生きと輝く
女性ホルモンはその光り輝く白桃の肌と
たわわな乳房と
丸みを帯びた柔美な曲線をつかの間
「神秘捏造」ミステフィカシオン~女人訓戒士O.D
『待ちぼうけー兎の女』⑧
俺は頭だけ出るくらいの戸を開け、外を窺った
ガアガア・・ギイギイ・・
騒ぐ鳥ども
俺は透明に澄んでくる藍色の空気の中に
木という木
屋根の煤払い口にまで群がる鳥の
赤く光る目を見た
何が起きたと言うのだろう
俺が鳥を怒らせるような、何かをしたのだろうか
威嚇されている
怒りで我を忘れている臭いを放っている
山を下りて里に行けない
これではいわれな
「神秘捏造」ミステフィカシオン~女人訓戒士O.D~
シーン6
ある神経衰弱な男の場合
ー桜の下で会いましょうー
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老医者に言われた
神経衰弱なぞ寝ていれば治る
眠れぬから酒を呑む
酒を呑むから眠れぬ
今日もわたしは人の目を意識した
わたしの価値は人が決める
わたしの物書きの価値は・・
誰が決める?
「冷たい水の中はイヤよ。凍った湖も海もイヤよ。いつかは冷たい土に眠るのに」
彼女は言った
わたしと死の