「神秘捏造」ミステフィカシオン~女人訓戒士O.D~
『待ちぼうけー兎の女』④
俺をそこに下ろすと、奴はそのまま埠頭に向かって走り去った
深夜零時にフェリーが出る
行き先は北海道だ
俺は物流トラックのドライバーとして紛れ込む
俺にはロシア・日本・中国・日系ブラジル人としての国籍がある
もちろん風貌が通用する上で使えるのは限りがあった
一番長く台湾とベトナムで過ごした
アフリカの奥地では・・チ◯コが小さいからNO!と追い返された
俺のチ◯コが大きければ、今頃アフリカの酋長だったかも知れない
アフリカの家に帰ったとたん、族長の娘は部族の男どもと俺のチ◯コを天秤にかけ、アフリカまでの二人分の旅費は結局俺持ちだった
俺は日本には帰らなかった
日本に帰れなかったが正しいな
それでもカナダを経由して日本に帰り、俺は結婚して娘が産まれた
娘が産まれる前も俺はやはり船に乗っていて、産まれた後戻ったが、その時にはもう俺の居場所はなかった
それでいいと思った
船に乗ったのは娘を無事に出産させる金の為にだったが
当たり前のことだが、妻や子には夫と父親が必要なのだ
妻と子どもには、それが俺ではなかったというだけのこと
女と出会ってから足を洗う気になった
それには俺が一度死ぬ必要があった
女にも死んでもらわねば、守れる絶対の自信はなかった
俺が女との生活を選ぶということは
すなわち裏切り
掟を破るということだ
血よりも濃い盟約は絶対だからだ
いつしか俺は◯◯◯◯の小心で、小狡いだけで薄っぺらの頭に合わせるのが、不条理に思えて来た
孤児は不条理の他、なにものでもない
俺が俺であるために
俺が俺であるから
俺は女を愛しいと思った
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?