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民主主義とは何か 独裁者ヒトラーも民主主義が生み出したのだ

 
 今回は民主主義について書く。民主主義とは、英語のデモクラシーの訳語である。デモ=民衆とクラシー=支配を意味するデモクラシーを翻訳したもので、民主制、民主政とも訳される。


 ルーツは古代ギリシャに行き着く。当時のアテネでは、市民全員参加の権利がある民会で、多数決によって決定される直接民主政が行われていた。もっとも女性に参政権はなく、経済も奴隷制をベースとしていた。


 時代は飛び、近世のイギリスにおいて議会制民主主義が生まれ、現代に至っている。みなさんは民主主義が当たり前のものと思っていないだろうか?じゃあ、ヒトラーは民主主義から生まれたことはご存知だろうか?


 第一次世界大戦で敗れたドイツの復興を誓ったヒトラーは、ナチス党を結成。ワイマール憲法下で実施された総選挙で、その巧みな演説を駆使して第一党となり、首相に就任した。権力を掌握したヒトラーはワイマール憲法を形骸化し、都合のよい法案を次々に立法化。独裁を敷いたのである。


 ポーランドを侵攻して第二次世界大戦を始め、ヨーロッパを蹂躙。さらに、ユダヤ人大虐殺(ホロコースト)を行ったのは周知の事実だ。何が言いたいかというと、民主主義は、独裁を生み出す危険性をも孕んだ政治システムであるということだ。


 よく日本の政治で、野党が「自民党の独裁政治をストップしよう」などと叫んでいるが、勘違いもいいところだ。独裁の言葉の意味や定義も知らない政治家が、扇動的な意味合いで勝手に使っており、もっと歴史を勉強し直してほしいところだ。こんな演説をする政治家は、世界史を学んでいる高校生に、笑われる覚悟が出来ているのだろうか?


 ところで、いまの世界で民主主義が当たり前の国は、それほど多くはないという認識を持っておいたほうがいいだろう。アメリカは民主主義を正義の旗印に掲げ、覇権国として世界を牛耳ろうとしてきたが、社会主義国家やイスラム国家、軍事政権下にある国家など、民主主義が通用しない国も数多く、残念ながらそうはなっていない。


 いまのアメリカを見る限り、民主主義というシステムがいかに堕落しているかを痛感させられる。アメリカは自国を、民主主義の先進国と考えているようだが、情けないかなその現状は、衆愚政治の一歩手前である。

 日本でも同様のことが言える。多数決原理に従い、数の力で政治を動かそうとする自民党にはもはや魅力がない。かと言って野党は反対するばかりで、これも期待薄だ。国民の半分は選挙権を放棄し、投票所にも行かない。政治的無関心(アパシー)が国民に蔓延しており、民主主義とは名ばかりの末期状態である。


 ひょっとしたら近い将来、民主主義に代わる新しい政治システムが現れるかもしれない。少なくとも、民主主義が絶対正しいなどと思わないほうがよさそうである。


哲ちゃん


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