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イスラエル・パレスチナ紛争を紐解く 後編

 パレスチナ問題を複雑にしているのは、イスラエル、パレスチナ両者を取り巻く世界が、一筋縄で行かない現実にある。国内の政治経済に影響力を持つユダヤ人を多数抱えるアメリカは、イスラエル建国以来ずっと、イスラエルを支持してきた。イスラエルによるパレスチナ侵攻を容認し、パレスチナ側の要望は聞き入れない、こんなダブルスタンダードが、公然とまかり通ってきたのだ。


 今回の戦争におけるアメリカの態度も同様の構図である。すなわち、ハマスの戦闘行為をテロとみなし、イスラエルの報復を擁護している。これに対し、ロシアは欧米諸国とは一線を画する。ウクライナ戦争で、ひとり悪者扱いをされた恨みもあり、国連を通じて欧米諸国を非難、対立している。


 一方、巨大経済圏構想「一帯一路」を掲げる中国はロシアに接近。習近平国家主席とプーチン大統領が18日、北京で会談した。両首脳は対米国を念頭に改めて結束を確認、ロシアが続けるウクライナ侵攻、緊迫するパレスチナ情勢についても協議した。米中対立、米ロ対立が中ロの結束を促した格好だが、このような対立は世界情勢にはマイナスだ。


 並行して18日、米国のバイデン大統領がイスラエルを訪問、ネタニヤフ首相と会談し、イスラエルの全面支援を約束するとともに、ガザの人道危機の回避を求めた。


 誤算だったのは、バイデン大統領の訪問を待たずに起きた、ガザでの病院爆発。イスラエルは関与を否定するが、パレスチナを同胞視するアラブ諸国では、イスラエルによる攻撃との見方が広がり、反イスラエル抗議活動は中東各地で勢いを増している。


 特に厄介なのがイランだ。イスラエルと敵対するイランは、ハマスを軍事・資金両面で支援しており、反米・反イスラエルの機運が盛り上がれば、イランの思うつぼなのである。イスラエル軍が計画する地上侵攻で、住民の被害が拡大すれば、中東各国に戦火が飛び火する恐れもある。そうなれば、イランのバックに就くロシアも黙っていないだろう。


 パレスチナ紛争を契機に、まさしく第三次世界大戦の様相を呈しており、最悪のシナリオも想定しておかないといけない。他人事ではなく、文字通り緊急事態なのである。


哲ちゃん


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