見出し画像

『BREATH~呼吸の科学』レビュー

表紙

『BREATH~呼吸の科学』
ジェームズ・ネスター(著)/近藤 隆文(訳)

だれでも呼吸はしているはず。(してなかったら死んじゃうもんね)
でも、ちゃんと意識して、理解して、正しい呼吸ができている人はいったいどれだけいることでしょう。
数千年前のヒトは正しい呼吸について理解していたらしい(古代インドのヨガや、道教、気功の教義などでは呼吸法を細かく教えているそうです)のですが、現代ではすっかり忘れ去られています。
西洋医学ではせいぜい「食」の効果は語られても、同じく体内に取り入れるエネルギーである「呼吸」についてはほとんど全くと言っていいほど語られることはありません。健康診断で血圧やら心拍数やらは測られるのに、呼吸の回数や呼気の酸素・二酸化炭素濃度なんて測りませんでしょ?

この本では、そのように今まである意味無視されてきた「呼吸」について、過去の伝承や教えを再発見し、さまざまな呼吸法を科学的に検討しつつ、実際に著者が身体を張った実験(人体実験!?)で呼吸をハックしていく過程が語られています。

今、この文を読みながら口で息してる方おられましたら、まず口呼吸をやめて、鼻で息をするように心がけてみてください。それだけで、不安神経症や不眠症、無呼吸症候群やいびきの改善などに大いに効果があるそうです。
逆に言えば、口呼吸をするとそれらを悪化させることにたいへん効果的ということですね><
この本によると、現代病の多くの原因がこの口呼吸のせいなのだそう。
もっと言えば、工業の発達によって柔らかい食べ物が多くなり、人が噛む力を衰えさせた結果、口蓋は小さくなり(歯並びは悪くなり)、副鼻腔を圧迫して鼻呼吸で流入する空気の経路が狭くなり、詰まったり炎症しやすくなって、結果、口で呼吸するはめに。そしてどんどん悪循環で口呼吸が増えていき……ついには健康を害するようになった。(のだけれども西洋医学ではその点が無視されつづけている)
ということなのだそうです。

原始人の頭蓋骨は、世界中のどの地域から発掘されたどの年齢の骨をみても、みな、「歯並びが良い」というのは目から鱗でした。なるほど、歯医者なんてなかったはずなのに。。歯並びが悪いのも現代病だったんですね><

著者は如何に口呼吸が健康に悪いかを実証するため、自らの鼻孔をシリコンで物理的に塞いで、10日間口だけで呼吸するという過酷な実験をおこないます。その結果、著者の精神や肉体にいったいどのような変化がおきたのでしょう。。。ま、ここでネタバレはやめておきます。詳しくは本書をご覧ください。w

そうした過酷な人体実験やら、さらに過激な呼吸法トレーニングやらが満載の本書、息をする人は皆知っておいた方が良い内容がたくさん詰まっています。
あらゆる動物の中で最も呼吸が下手ならしい現代人必携の呼吸法の解説書です。
頑張れば波紋の呼吸や全集中の呼吸もマスターできるかも!?

※本文で語られている呼吸法(や、その他の呼吸法も)の数々は、巻末の付録にまとめられています。全部は無理でも、この中で気になる呼吸法をチョイスしてトレーニングするのもよさげですね☆ (私は「鼻歌」エクササイズを日々実践中ですw)


#呼吸法 #健康法 #ヨガ #科学 #ジェームズ・ネスター #近藤隆文 #らせんの本棚

よろしければサポートお願いします!いただいたサポートはクリエイターとしての活動費にさせていただきます!感謝!,,Ծ‸Ծ,,