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鳥かごの鍵 10

いつも通り7時40分に起きると、
「月」からおはようとメールが来ていた。

「おはよう。」

私も短いメールを送った。

些細な幸せ。

私は朝からにやにやして支度をはじめた。

今日はいい天気、1日がんばろう。

私はインコに餌をあげて家を出た。

病院に着くと、
なつが今日のお昼これにしよう!とスマホを見せて来た。

それは今流行っている「ロコモコ丼」の移動販売が、
今日のお昼の近くに来るという記事だった。

「あーこのロコモコ丼知ってるよ、今流行ってるらしいね。」

「うんうん、
人気みたい、お昼一緒に買いに行こう!」

なつが子犬のような目で私を見る。
断れる訳もなく、
「いいよ。」と返事をした。

私達の今日のお昼が決まった。

今日は病院が混んで無かったので、
13時には買いに行けた。

移動販売の車の横に列が出来ていた。
私達は最後尾に並んだ。

「やっぱり人気だから混んでるね。」
私が言うとなつが、

「ねーあれ、この前のカフェのイケメン店員くんじゃない?」
と嬉しそうに列の前を見ている。
私も列の前を見て見ると、
私達の7.8人前にカフェのイケメン店員くんが並んでいた。

10分くらいすると買い終えたイケメン店員くんが
ロコモコ丼をいくつか帰ってカフェに帰って行った。

「やっぱりイケメン♪
他の人の分も買ってたよね、優しい~
私もあんな彼氏が欲しいな~」

「え~でも、イケメン過ぎると疲れそうじゃない?
こっちもいつもおしゃれしないといけないし…」

と私が言うと、
「イケメン店員くんと付き合えるなら、
いつもおしゃれ出来る!」となつが鼻息を荒くしていた。

「あっそ!」

私はあきれたいた。

私達は「ロコモコ丼」を買って病院に帰った。
病院の休憩室は私となつだけだった。

「ねー不倫の渋谷さんいるじゃない。」

「えっ!いつからそんな名前になったの?」

「不倫相手のおっさんが、
今週中に奥さんに別れ話しするって言ってるらしいよ、
不倫していることは言わないで、
別の理由で離婚の話しを進めるらしい、
旦那の不倫が原因だと慰謝料とか請求されたら大変みたい。」

「最悪な男じゃない?
そんなに簡単に自分のことを愛してくれた人を裏切れるかな…」
と言いながら、私は自分のやっていることを思い出した。

今の私に人のことは言えない。

「もう不倫渋谷の話しは辞めよう」となつに言った。

「不倫渋谷?だんだん名前が短くなるね!」

私はなつと話しながら、
自分のやっていることが最低だと心がチクチク痛かった。

つづく



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