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朝活イベントで数年ぶりに折り紙をして

「アサオリ」という折り紙をするイベントに参加した。

イベントを主催されている勝川さんは東大折紙サークルOristに所属していて、創作折り紙を多数手掛けている。そんな彼が、JR柏駅東口にあるカシワテラスにて2月~3月にかけて3週間ほど、朝活イベントをしていた。


きっかけはシェア街というオンラインコミュニティだった。千葉県出身者数人でオンライン上で話す機会があって、勝川さんと知り合い、イベントを知った。そして都合の合った我孫子市在住の私と、今は東京に住んでいるが松戸市出身のもりしーさんとで、3月4日10時の回に参加させてもらった。

私の折り紙遍歴を振り返ると、幼稚園の頃は紙飛行機ばかり作っていて、折ることより飛ばすことに熱心だった。学生時代にはバイトの送別会か何かで鶴を折る機会があったが、私は折り方を知らなかったので、その場にいた友人に教えてもらった。一応無事に折れて、「よし、もう鶴はマスターした!」なんてことを言った気がするが、今となってはすっかり忘れて、最初の一折りも覚えていない。

というわけで全くの初心者であることを伝えると、勝川さんがレベルに合わせた作品をいくつか提示してくれた。用意された折り紙には模様が描かれていて、それに沿って折っていくと動物の絵柄になるようにできている。原料は竹を用いているようで、普通の紙よりも幾分かしなやかで、張りのある質感のような気がする。


私はいくつかある候補のうちから何となく、可愛らしい完成図に惹かれてタヌキを選んだ。手順に沿って一折り、二折りと進めていくのだが、意外ときれいにきちんと折ること難しい。角と角をしっかり合わせているつもりが、どうしても少しずれてしまう。手先が不器用で、慣れていない以上これはどうしようもない。いちいち神経質になっていたら一向に進まなくなってしまうので、細かい部分は目をつむって進むことにする。たぶん大丈夫だろう。

折り進めるなかで感じたのは、ただ解説書の図の手順に従うだけではできないということだ。全ての作業が事細かに示されている訳ではない。どの部分をどのくらいの角度で折ればいいのか?、きれいに折り込むためにはあらかじめ別のところに折り目を付けておいた方がいい、などなど。段取りを組んだり、想像力を働かせたりしなければいけない箇所がいくつもある。

なるほど、折り紙に知育効果があるといわれるのはこういうところからなのだろうと、実際に手を動かすことで実感ができた。そんなことを考えながら、15分ほどでタヌキが無事完成した。

まだ時間はあるので、次は少し難易度の高い”象”にも挑戦してみることに。こちらも手順に沿って進めていくのだが、最初のうちは折り目をつけては広げて、また別の角度の折り目をつけて、今度は山折りを谷折りにしてという感じで、なかなか最初の紙の状態から変化がない。

なかなか折りたたまれていかない紙を見ていると、少々もどかしい気分になってくるが、手順が進むにつれて序盤につけた折り目の線が生きてくる。さっきの作業がここに繋がってくるのかと、少し感動を覚える。「まるで伏線を回収しているみたいですね!」と私が思わず口にすると、勝川さんが「“伏線”そのものですよね(笑)」と言う。うん、確かにその通りだ。

順調に進んでいるかのように見えたが、問題が発生する。手順の図をみると、本来ならばしっかりと重ならなければいけない部分がどうしてもそうならない、無理に重ねようとすると歪な形になってしまう。これまで、折るたびに発生していた小さなズレを気にせずに、誤魔化しながら進めてきたが、ついにそのツケがここにきて廻ってきてしまったようだ。

「どうしましょう?」と勝川さんに相談して診てもらうと、少し“手術”が必要とのことだった。傍でみていた私には何が行われていたかよくわからないが、部分的に広げて折り目をつけ直して、また元の状態に戻すというものだったように思えた。“病状”は良性だったようで、無事に手順の図に描かれている形とほぼ同じになった。その後も手順を見ても折り方わからない箇所は、その都度勝川さんに教えてもらいながら、象は完成した。

あっという間の1時間だった。疲れた、というと大げさだが、脳や身体の普段使わない部分を使った気分だ。完成させることができたという達成感はもちろん、お互いにそれぞれのペースで会話をしながら、そして時には集中しながら折っていくという、楽しい時間を過ごせたと思う。

作業テーブルの脇には、勝川さんが制作した作品がいくつか置かれていた。タツノオトシゴやモンハナシャコなどといった作品があるのだが、どれも一枚の紙からつくられたとは思えない。

紙を“折る”というよりかは、くしゃくしゃに丸めて凝縮されているように見える。でも展開図をみせてもらうと、それがきちんとした手順に則って形作られていることがわかる。それもミリ単位で折り込んでいるようで、改めて折り紙の奥深さを感じた。

さて、今日のイベントの日程はこれにて終了ということだったので、11時という中途半端な時間だが、3人で食事をすることに。柏駅の隣、我孫子駅のホーム上にある駅そばの弥生軒へ行く。私は仕事帰りなどに時折食べるが、人と一緒に来るのは初めてだ。店内のカウンターは埋まっていたので、ホームのベンチに腰かけて何本か列車を見送りながら、名物であるどんぶりを覆うほど大きな唐揚げがのったそばを食べた。

勝川さんは、今回私たちが折った象を商品化するためのクラウドファンディングをされているそう。CAMPFIREの記事では教材としての折紙の可能性について触れていて、実際に体験した後だとより一層それらに納得させられた。

ちなみに記事後半で、あるとき勝川さんがその場にあった紙で作品をつくったら「歩く3Dプリンター」と言われたという話が書いてあった。モンハナシャコなどの作品を見ていると、それについても「あ~、確かに(笑)」と思えてしまった。


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