童話「子守歌」⑩
お父さんは、小さくなったお母さんを抱っこして、家の方へともどって行った。お父さんとお母さんのうしろ姿が、雨の中に消えて行った。小さくなったお母さんは、お父さんの肩の上から、まだぼくに向かって泣きながら手を動かして呼んでいた。こっちよ!こっちにおいで、と。
ふたりはさらに遠ざかり、お母さんはますます小さくなっていった。今さらふたりには追いつけない……。そう思っているあいだにも、ふたりはどんどん小さくなっていって、みえなくなった。
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