見出し画像

童話「子守歌」⑩

 お父さんは、小さくなったお母さんを抱っこして、家の方へともどって行った。お父さんとお母さんのうしろ姿が、雨の中に消えて行った。小さくなったお母さんは、お父さんの肩の上から、まだぼくに向かって泣きながら手を動かして呼んでいた。こっちよ!こっちにおいで、と。

 ふたりはさらに遠ざかり、お母さんはますます小さくなっていった。今さらふたりには追いつけない……。そう思っているあいだにも、ふたりはどんどん小さくなっていって、みえなくなった。

ここから先は

191字

¥ 100

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?