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イタリア・南チロルを歩く 第4回目 Salorno/Salurn

第4回目は南チロルの最南端の村Salorno【伊】Salurn【独】を歩きます。お隣のトレンティーノ州との州境に位置するこの村は人口およそ3800人。村名のドイツ語、イタリア語表示もこの村までとなっています。それではここで問題です。この村はドイツ語、イタリア語どちらの方がよく話されているでしょうか?ヒントは村名の看板の表示の仕方です。どちらの方が上に表示されていますか?Salornoというイタリア語の方ですね。したがってこの村では南チロルでは珍しくイタリア語が多く話されています。実はイタリア語が上にくる市町村がダントツに少なくて、見かけるとついつい写真を撮ってしまうんです。「なんだそれ?」ってお思いでしょうが、これが南チロルなのです。

村のどこかにある案内図 これを探すのもまた楽しみの一つ


村にある案内の地図をご覧になれば一目瞭然でしょう。美波が歩いている村は大体がこれぐらいの大きさです。村を一周するなら1時間もあれば十分でしょう。村の見どころも各々の村がなんとか探してアピール活動していますが「えっ、それだけ?」となる事がほとんどです。まあそれも名も知られない小さな村を歩く楽しみの一つでもあります。案内図の説明は左からドイツ語、イタリア語、英語の3カ国表示。「ここは南チロル最南端の村です!」とアピール文もあります。村の目玉イベントも書いてありますね。何気にそれぞれの村でこの案内図を見るのが趣味になっています。


村のシンボルの鐘楼

さて「南チロル最南端」の村のシンボルは、村の中心にある鐘楼でしょう。ちょうど私が行った時に鐘楼の鐘の音が村全体に響き渡っていてなんとも趣がある一方で隣接する小学校の休み時間とも重なり、寒空の中で元気いっぱ
い下手すれば鐘楼の音までもかき消すぐらいの力漲る声がそれこそ村全体に響いていました。そんな声を聞きながらニコニコとしてバスを待つ人やら立ち話のおばさまたちは「なんだか元気もらっちゃうわ!」といってバールから出てきてからまたおしゃべりの花を咲かすという・・・。なるほどイタリア語の方がよく話されているというのを体感した次第だ。


村の広場に役場がある

村の中心の広場はすっきりとした印象。しかしどうも腑に落ちないのは「イルカの噴水」だ。この東西を間近に聳える断崖に囲まれたこの村に一体どうして「イルカ」なのだろうか?イルカの噴水の建立の経緯が書いてあった。この南チロル南部「低地」地域、特に東側は低地を流れるアディジェ川の度々の氾濫で洪水の被害を何度も受けてきた歴史があるのだ。標高226mのこの村でも建物の2階までくる様なひどい洪水もあった。こんな大変な洪水の被害からなんとか村を守ってもらえるようにという村人の願いをかけて「治水」のシンボルとしてお隣トレンティーノ州の州都トレントの中心にあるネプチューンの噴水を作ったFrancesco Giongoの息子Antonioが手がけたものだそう。噴水の近くに噴水にまつわるトリビアがあったので読んでみると・・・

「水害への勝利者としてイルカの輪の上に乗ったライオンの毛皮を被ったヘラクレス(今はない)」

ふうむ・・・治水のシンボルとして掲げ挙げられたヘラクレスがなくなって台座のイルカだけだと治水は厳しいのでは?と私は思ったのですが皆さんはどうでしょう?実際2、3年前に再度水害に遭って、その様子が地元のニュースでも大きく扱われていました。気休めじゃないですが願掛けをちゃんとするならヘラクレスを今からでも再建した方がいいのではないでしょうかね。余計なお世話だって?!


噴水の経緯が伊、独、英の3ヶ国語で書かれています。


噴水自体はイルカだけでも可愛らしいのですがね。それにしてもヘラクレスはどこへいってしまったのでしょう?噴水一つでも色々とネタを提供してくれます。



実はヘラクレスの台座であったイルカたち


小さな村と思いきや、よくよく見ると話題が沢山あるものです。街の至る所で立ち話するマダムたちは軒並みイタリア語でした。元祖イタリアが近いことをそんなところから身を持って知ることになるとは。南チロルの最南端の村はイタリア臭が強くて面白い村でした。まだまだ興味深いことはありますが、それはまたの機会に。



村の中心の広場でバスを待つ人

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