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星のクラフト(骨子連載)

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星のクラフト(骨子連載中)
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#SF小説

連載小説 星のクラフト 11章 #8

 建物の中は薄暗く、しんとしていた。窓ガラスと、たった今開けた扉から差し込むわずかな光が…

米田 素子
11日前
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連載小説 星のクラフト 11章 #7

 ナビゲーションシステムが点滅し始めた。 「そろそろ着く」  辺りはほとんどが農地で、とこ…

米田 素子
12日前
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連載小説 星のクラフト 11章 #6

 翌朝、外はからりと晴れ上がった。  食堂での朝食の時、前回のホテルと同じように、宿泊客…

米田 素子
13日前
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連載小説 星のクラフト 11章 #5

 到着したホテルには、やはり年長のシェフが居て、一日目に宿泊したホテルと同じように二人を…

米田 素子
2週間前
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連載小説 星のクラフト 11章 #4

 缶詰のオイルサーディンをクラッカーに乗せて頬張る。水もレモンサイダーも全く劣化すること…

米田 素子
2週間前
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連載小説 星のクラフト 11章 #3

 あの時、鳥になったローモンドが嘴で割った窓硝子は今でもそのままだった。破片のほとんどは…

米田 素子
2週間前
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連載小説 星のクラフト 11章 #2

 光る鳥はいなかった。  窓の外は夜の闇に包まれていて、樹木に止まる鳥もいない。 「ローラン」  再び、部屋の中で声がした。 「誰なの」 「わたしよ、わたし」  目を擦ったが見えない。入り口にあるスイッチを入れて、電灯に明かりを灯した。 「ね、わたし」  明かりのすぐ下に立っている。 「ローモンド?」  鳥になって出て行ったのではなかったか。ローモンドなのだとしたら、短く切り揃えて黒く染めたはずの髪は、元通りの金髪になっている。どうにか調達して着せた地球の子供らしい服装ではな

連載小説 星のクラフト 11章 #1

 光る鳥は部屋の中を旋回し始めた。  ――なんだというの?  それほど高くない天井付近を…

米田 素子
2週間前
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連載小説 星のクラフト 9章 #2

 ローモンドは清々しい瞳でまっすぐに私を見た。 「じゃあ、もう行くね」 「ちょっと待って。…

米田 素子
3週間前
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連載小説 星のクラフト 9章 #1

「ここはもう中央司令部が用意したホテルじゃない」  ローモンドはクリーム色の羽根に向かっ…

米田 素子
3週間前
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連載小説 星のクラフト 8章 #8

 樹下における三人と一羽の会合はいつまでも濃密な余韻を残した。  クラビスはしばらくホテ…

米田 素子
1か月前
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連載小説 星のクラフト 8章 #7

 樹下のテーブルまで戻ってくると、クラビスは「司令長官とのミーティングに参加しない」と言…

米田 素子
1か月前
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連載小説 星のクラフト 8章 #6

 三人は0次元との接続ポイントへと向かった。 「ブラックホールを持った状態で、0次元との…

米田 素子
1か月前
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連載小説 星のクラフト 8章 #5

 樹下のテーブルには木漏れ日が揺れている。風は柔らかく、気温もちょうどよかった。  こんな状況でなければ、年に数回しかないと思える好日の中で、何も考えずに手足を伸ばして座り、ひたすら木の葉の風にそよぐのを眺めて、生きていることの喜びに浸っていたに違いない。あるいは、むしろ当たり前に思って喜びすら感じなかっただろうか。  ブラックホールかもしれないオブジェを前に、ランは感情の激しい揺らぎを感じていた。  想像するだけで恐ろしいブラックホール。それが目の前にあるかもしれない状況。