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星のクラフト(骨子連載)

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星のクラフト(骨子連載中)
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#SF小説

連載小説 星のクラフト 8章 #8

 樹下における三人と一羽の会合はいつまでも濃密な余韻を残した。  クラビスはしばらくホテ…

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連載小説 星のクラフト 8章 #7

 樹下のテーブルまで戻ってくると、クラビスは「司令長官とのミーティングに参加しない」と言…

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連載小説 星のクラフト 8章 #6

 三人は0次元との接続ポイントへと向かった。 「ブラックホールを持った状態で、0次元との…

米田 素子
10日前
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連載小説 星のクラフト 8章 #5

 樹下のテーブルには木漏れ日が揺れている。風は柔らかく、気温もちょうどよかった。  こん…

米田 素子
11日前
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連載小説 星のクラフト 8章 #4

 翌朝――。  ホテルのダイニングで出会った時、ランとナツは一度目を合わせただけだった。…

米田 素子
12日前
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連載小説 星のクラフト 8章 #3

「オブジェの中に光が吸い込まれていく」  ナツはオブジェの窓に光を当てながら、目を凝らし…

米田 素子
13日前
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連載小説 星のクラフト 8章 #2

「どうして司令長官はフェイクのオブジェを貸してくれたのか」  ランはオブジェの屋根を指先で撫でる。 「本物はもう誰も触れられない場所に置いたのではないかな。次元移動により発生した、重要で、不思議なオブジェなのだから」  ナツはやや冷かした口調で言う。 「どこから、来たんだろうね、あのオブジェ」 「確か、我々地球人の想念上のものが、立体化したと言ったのではなかったか」  ナツはワイングラスの柄を持ってくるくると回し、香りを嗅いだ。 「僕が製作員たちに、旅の目的は《帰還》すること

連載小説 星のクラフト 8章 #1

 ――地球はただ丸いだけではなかったのか。  部屋の窓から吹き込む柔らかな夜風が心地よか…

米田 素子
2週間前
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連載小説 星のクラフト 7章 #10

「やっぱり、あの本だ」  ローモンドは本棚から抜き取り、表紙を撫でた。 「ずいぶん埃が付い…

米田 素子
1か月前
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連載小説 星のクラフト 7章 #9

 しばらく、ローモンドは本を読もうとしていたが、すぐに「車の中で本を読むことは無理だ」と…

米田 素子
1か月前
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連載小説 星のクラフト 7章 #8

 翌朝、朝食を済ませると直ぐに車に乗り込んだ。シェフはそんなに急がなくてもと寂しそうに言…

米田 素子
1か月前
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連載小説 星のクラフト 7章 #6

 ローモンドは少し思い詰めたような表情をした。  「しばらく一人になりたい。おばあちゃま…

米田 素子
1か月前
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連載小説 星のクラフト 7章 #5

 その本の大きさは、ベッドサイドに置いてあるデスクの物差しで測ったところ、縦22㎝、横16㎝…

米田 素子
1か月前
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連載小説 星のクラフト 7章 #4

 薄暗い廊下の突き当りに本棚はあり、写真集や民話、紀行などがびっしりと置いてあった。床から天井までの高さがある。小さな一人用のソファもある。古い本と部屋の角が醸し出す陰の湿った匂いがした。 「薄暗いのに、よく気付いたわね」  食堂から二人の部屋までの通路には明るい蛍光灯があり、そこから先の突き当りに明かりはひとつもない。二人の部屋の前の蛍光灯によって、わずかに見える程度の光量だ。 「私、目がいいの。たぶん、他の星の人たちよりも」  ローモンドは鼻を膨らませた。 「たしかに」