連載小説 星のクラフト 8章 #5
樹下のテーブルには木漏れ日が揺れている。風は柔らかく、気温もちょうどよかった。
こんな状況でなければ、年に数回しかないと思える好日の中で、何も考えずに手足を伸ばして座り、ひたすら木の葉の風にそよぐのを眺めて、生きていることの喜びに浸っていたに違いない。あるいは、むしろ当たり前に思って喜びすら感じなかっただろうか。
ブラックホールかもしれないオブジェを前に、ランは感情の激しい揺らぎを感じていた。
想像するだけで恐ろしいブラックホール。それが目の前にあるかもしれない状況。