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星のクラフト(骨子連載)

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星のクラフト(骨子連載中)
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記事一覧

連載小説 星のクラフト 9章 #2

 ローモンドは清々しい瞳でまっすぐに私を見た。 「じゃあ、もう行くね」 「ちょっと待って。…

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連載小説 星のクラフト 9章 #1

「ここはもう中央司令部が用意したホテルじゃない」  ローモンドはクリーム色の羽根に向かっ…

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連載小説 星のクラフト 8章 #8

 樹下における三人と一羽の会合はいつまでも濃密な余韻を残した。  クラビスはしばらくホテ…

米田 素子
3週間前
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連載小説 星のクラフト 8章 #7

 樹下のテーブルまで戻ってくると、クラビスは「司令長官とのミーティングに参加しない」と言…

米田 素子
3週間前
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連載小説 星のクラフト 8章 #6

 三人は0次元との接続ポイントへと向かった。 「ブラックホールを持った状態で、0次元との…

米田 素子
3週間前
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連載小説 星のクラフト 8章 #5

 樹下のテーブルには木漏れ日が揺れている。風は柔らかく、気温もちょうどよかった。  こん…

米田 素子
3週間前
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連載小説 星のクラフト 8章 #4

 翌朝――。  ホテルのダイニングで出会った時、ランとナツは一度目を合わせただけだった。ナツは家族と共に朝食を楽しんでいる。子供たちはビュッフェでプレーンオムレツを取り過ぎだと母親のマヤに叱られていた。  ランは一人でテーブルに座り、ホットコーヒーとビスケットだけの朝食をとっていた。ダイニングでは誰もが忙しそうに料理を探している。そろそろ豪華なビュッフェにも飽きてきたのか、あるいは慣れてきたのか、人の流れはスムーズだ。  ランが二杯目のホットコーヒーを口にすると、 「ご一緒し

連載小説 星のクラフト 8章 #3

「オブジェの中に光が吸い込まれていく」  ナツはオブジェの窓に光を当てながら、目を凝らし…

米田 素子
3週間前
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連載小説 星のクラフト 8章 #2

「どうして司令長官はフェイクのオブジェを貸してくれたのか」  ランはオブジェの屋根を指先…

米田 素子
4週間前
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連載小説 星のクラフト 8章 #1

 ――地球はただ丸いだけではなかったのか。  部屋の窓から吹き込む柔らかな夜風が心地よか…

米田 素子
4週間前
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連載小説 星のクラフト 7章 #10

「やっぱり、あの本だ」  ローモンドは本棚から抜き取り、表紙を撫でた。 「ずいぶん埃が付い…

米田 素子
1か月前
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連載小説 星のクラフト 7章 #9

 しばらく、ローモンドは本を読もうとしていたが、すぐに「車の中で本を読むことは無理だ」と…

米田 素子
1か月前
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連載小説 星のクラフト 7章 #8

 翌朝、朝食を済ませると直ぐに車に乗り込んだ。シェフはそんなに急がなくてもと寂しそうに言…

米田 素子
1か月前
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連載小説 星のクラフト 7章 #6

 ローモンドは少し思い詰めたような表情をした。  「しばらく一人になりたい。おばあちゃまから聞いたことを思い出してみる」  私に背を向け、ベッドの中に潜り込んだ。  おばあちゃまとお別れの言葉を交わすこともできないままに、地球に来てしまったのだ。気丈に振舞っていたとしても、心中では様々な思いが湧いてくるに違いない。まして、偶然にも、そのおばあちゃまに読み聞かせてもらった本とここで遭遇したのだ。  私は窓辺に座り、手に入れたばかりの重量感たっぷりの本を膝に乗せ、一枚ずつ頁を捲っ