マガジンのカバー画像

星のクラフト(骨子連載)

89
星のクラフト(骨子連載中)
運営しているクリエイター

記事一覧

連載小説 星のクラフト 7章 #10

「やっぱり、あの本だ」  ローモンドは本棚から抜き取り、表紙を撫でた。 「ずいぶん埃が付い…

3

連載小説 星のクラフト 7章 #9

 しばらく、ローモンドは本を読もうとしていたが、すぐに「車の中で本を読むことは無理だ」と…

3

連載小説 星のクラフト 7章 #8

 翌朝、朝食を済ませると直ぐに車に乗り込んだ。シェフはそんなに急がなくてもと寂しそうに言…

4

連載小説 星のクラフト 7章 #6

 ローモンドは少し思い詰めたような表情をした。  「しばらく一人になりたい。おばあちゃま…

2

連載小説 星のクラフト 7章 #5

 その本の大きさは、ベッドサイドに置いてあるデスクの物差しで測ったところ、縦22㎝、横16㎝…

9

連載小説 星のクラフト 7章 #4

 薄暗い廊下の突き当りに本棚はあり、写真集や民話、紀行などがびっしりと置いてあった。床か…

2

連載小説 星のクラフト 7章 #3

「ローラン、樹木の中に居る鳥が光ってる」  ローモンドは再び鼻先を硝子窓に押し付けて外を見ていた。 「蛍光灯みたいね」  樹木の中に寝るための巣があるわけではないのだろうか。むしろこちらに存在を主張するかのように光っている。 「あの鳥は、地球の鳥ではないわね」  ローモンドがそう言葉を発すると、硝子窓が息で白く曇った。 「ひょっとして、青い実の成る星でも、あの鳥を見たとことがあるの?」 「そうじゃないけど、懐かしい気持ちがする」  ローモンドは両掌を硝子に押し当てた。 「どこ

連載小説 星のクラフト 7章 #2

 夕食には近くの川で獲れた魚と山で採れた山菜、マッシュルームのスープ、生ハムとポテトの乗…

7

連載小説 星のクラフト 7章 #1

 ローモンドは食事のためにレストランに入った時以外、ほとんど眠っていた。よほど疲れていた…

米田 素子
10日前
4

連載小説 星のクラフト 6章 #11

「リオさんの鍵を持ったままで、居なくならないでくれよ」  ランは最初に見たもぬけの殻の部…

米田 素子
4週間前
5

連載小説 星のクラフト 6章 #10

「リオはクラビスの作った三つのパーツをダウンサイジングできず、こちらに持ち込めなかったこ…

米田 素子
1か月前
3

連載小説 星のクラフト 6章 #9

「クラビス、そう言えば、工房では彼女と仲良しだったのでは? リオはあなたのことをハルミだ…

米田 素子
1か月前
2

連載小説 星のクラフト 6章 #8

 コントロールされ尽くした21次元のものとはいえ、森は樹木と土の香りがする。  ランとク…

米田 素子
1か月前
3

連載小説 星のクラフト 6章 #7

 ガラスの板を完全に覆ってしまうと、クラビスはさらに林の奥へと黙って歩き始めた。インディ・チエムは枝から枝へと飛び移りながら、その少し先を行く。道案内しているのだろう。 「どこへ?」 「さっきの地下の建物の屋根の先に当たる場所へ」 「確か、そこにあるスイッチを押すとガラス天井が開くのだったね」 「今回、スイッチを押すつもりはありませんが、場所を教えておきましょう」  先を急ぐように飛ぶインディ・チエムを追いかけながら、クラビスはランを振り返り、微笑んだ。  似たような樹木が植