『abさんご』20231116
満ち足りた中にあるもの aの道とbの道,ひとが生きるあいだにはさまざまな岐れ道があり,けっして交わることのない”さんご”のつらなり.かといって,aとb,えらばれなかった者が消え失せてしまうかというとそうでもない.夢のなかにたちあらわれ,紅いらせん状の皮が匂いさざめく.
最初に読んだのは「毬」「タミエの花」「虹」.本をしるした者が二十代に書いた”タミエ三部作”.美しい文章と描写,そして,三作品それぞれがゆうする”ぞわぞわ”,作者のひぼんな筆力を感じさせ,どこか心を惹かれるよ