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なぜBUSHIが新日本"最重要"レスラーか?~前編~(マーケター目線のプロレス小咄①)

Hey Yo!This is ラマ男、MIC Check 1,2!ラマ男 a.k.a.太郎です。朝はコーヒーと苺大福(組み合わせ悪くて爆)。

今日は10項目で固めてキメるプロレス感度アップの小咄を一席。これを読めば明日から…いや、すぐにでも”感じる”男に早変わり。プロレスIQに加えマーケターIQも爆上がり間違いなしだから、どうぞお付き合い(上がっていいことあんの?とか聞かない)。

ではさっそく。Let’s put your hands up!

と、その前に

「ラミー。キミはさんざんモテの話しておいて、なんでいきなりプロレスなのさ?」と聞かれるかなと思って一言。(本職はナンパのマーケター兼コンサル。↓こんな感じ)

それはね、プラットフォームとしてのnoteって結構な文量をライトに投稿できるからなのか、まるで仲間と喜びを分かち合ってるような面白いプロレス記事を書いている人が多いなぁって気付いちゃったからなの。


例えば、Y2K☮さん


もしくは、Junbo@エンタメ研究家さん。


それに、写真が抜群のユーキさん。


他にも多くのクリエイターが素敵な文章を綴ってるんだけど、そんな在野のウォッチャー達と交流できたら嬉しいなと思ったの。いわゆる"触発"されたわけ。
とは言え、自分で書くだけだとよくて「スキ♡」をもらえるだけ。コメントをもらってもちょっとした交流で終わっちゃう。ならば…

勝手に"返礼"記事!

と、そんなアイデアを思いついた。こちらもスキだけで済ませたくないし、コメントだと主従関係に見えなくもない。ここは対等にそれぞれの考えを伝え合いたいと思った時に、「そうだ!勝手にお礼みたいな記事を書いちゃえばいいんじゃん!」とね。
意見を戦わせるわけでもないし、立場を争いたいわけでもない。ラマ男ちゃんからプロレスマニアたち@noteへの、(片道かも知れない)往復書簡。ボクもこんなこと考えてるよ、っていうね。

"身の回りでは普段なかなかお目にかからないレベルのプロレス好き"かつ"記事にできるほどプロレスを内在化し言語化しているファン"と交流できる、なんて考えただけでイッちゃ…天にも昇りそうな気分になる男の性(さが)。それを、サークルではない形で実現してみようと思ったわけ(あんまりガチガチにしても途中で止まっちゃうこと多いから)。

だから。もちろんラマ男記事へのスキも嬉しいし、コメントも全部楽しんで読ませてもらうけど、もしボクと同じ気分を共有してもらえるのであれば、これを読んでるあなたがすることは一つ。
スキ以上に、あなたの記事でプロレスに対するあなた自身の思いを綴ることだ。そうしたらプロレス自体も広まるし、ボクももっともっと嬉しい。共通のハッシュタグなんか考えたりして、ね。

まぁいずれにしろ、何事も「焦慮(しょうりょ)は罪である」(カフカ)だそうだ。
トランキーロに、楽しんで行こう!

レスラーの「重要性」とは?

では本題。今回はBUSHI(「選手」は敬意を込めて省略する。以下同)を最重要レスラーたらしめている10の特徴を列挙する(前編で5、後編で5を扱う)。
もちろん、重要から"最"重要へのロジックには飛躍があると思われるかもしれない。しかし誤解を恐れずに言えば、決してチャンピオン="最"重要選手とは限らず、まして強さや大きさだけが重要ではないのがプロレス。
むしろ、レスラーの重要性は「いかに団体を支えファンを魅了し、プロレス然とした振る舞いを体現できているか」に宿ると言える。そういった意味の"最"として、BUSHIこそがふさわしいことを示してみたい。もし同感してもらえたら嬉しいことこの上ない(もちろん、異論・反論大歓迎)。大いにコメントして欲しい。

では行こう。今度こそ、Let’s put your hands up!

BUSHIの10のこと(1〜5)

1.美意識が女子

10年ほど前まで、"プロレス"と"オシャレ"は接点を持たない言葉同士だった。なにせ戦う男である。リング外ならいざ知らず、試合にオシャレを持ち込むなど軟派なこと。アピールもほどほどにせぇよ、という時代は長く続いた。
ところがここ数年、トップ選手たちの外見は見違えてカッコよくなり、オシャレな選手も多く活躍するようになった。若い女性が会場にまで足を運ぶ(運べる)ようになり、イケメンレスラーが市民権を得る時代に変わったのだ。
そしてここに、ただオシャレであることだけに留まらない、美意識の塊のような選手が誕生することになる。BUSHIである。

まず、身体パーツへのこだわりが素晴らしい。脇毛はきれいに脱毛され、爪にはマニキュア、唇は黒リップ(毒霧痕?)。髪の毛はマスクの上からでもわかるムラのない綺麗なブリーチで、コスチュームも季節に合わせたカラーやデザインを新調する。インスタ女子も真っ青のオシャレ番長である。
また、レスラーとしての所作も美しい。技の形はもとより、キレのある受け身、短くスッと決まるチャント(「エンセリオ!マ・ジ・で」)など挙げればキリがない。

こうした美意識は、ある一点に結実する。それは"安心して応援できる居心地の良さ"だ。いつも変わらぬスタイルを貫いてくれる選手は安心して見ていられ、応援するのも楽しい。BUSHIはいつ見てもBUSHI。メイクもマスクもオソロで楽しめる僕らのスター。であれば、プロレス観戦の難易度はグッと下がるだろう。
BUSHIマスクをひとたび被れば、ファンは一気にプロレスの世界にのめり込み耽溺できる。これはプロレス人気醸成に計り知れない影響を与えた功績なのだ。

2.Still changing the Mask!!

「新日本プロレスのマスクマン」とは、かの獣神サンダーライガータイガーマスクを指す。彼らはマンガキャラクターのレスラー化ということもあり、選手イメージの同一性が生命線。当然、マスクマンの要であるマスクには絶対的なこだわりを持つ。

ところがBUSHIはどうか。新日本参戦時(元は全日本プロレスの選手)からすでにBUSHIだったものの、マスクマンとしての特異性("伝説的誕生"や"謎の出自")は無いイチ選手。悪く言えば、「普通の」マスクマン。
ライガーやタイガーほどの役目がない分、色(こうしなければ)がなく、自らキャラクターを確立しなければならなかったことは想像に難くない。さらに、マスクマンあるある「伝説じゃないと格下扱いされがち」を避けるため、ナメられてはいけない。

ここでBUSHIは、マスクマンらしからぬ逆転の発想に出る。なんと、毎試合ごとにマスクを変えるという、従来ではあり得ない戦略を取ったのだ。

加えて、入場ごとにデザインの違うド派手なオーバーマスクも被り("ベロ出しベノム"や"半分カマイタチ"など、見る者の度肝を抜く代物!)、「今日のマスクはなんだろう?」とファンの期待を巧みに煽る演出だ。

普通のマスクマンが「等身大のままキャラ立てする」ために編み出した戦略。これは、変化こそが一貫性を生むという妖術のごときマーケティングの発明であった。

3.華麗なる毒霧

数ある反則技の中でも群を抜いた華麗さで見る者を魅了し、そのまま大いなる謎迷宮に連れ込む技、毒霧。かつての名手は毒霧を広めた張本人、グレート・ムタだった。名手の名手たる所以(ゆえん)は霧の”粒度”と食らうダメージの”残忍性”に現れる。

そんな罪の重さを背負った正統な後継者こそはBUSHI。毎試合、コーナーポストの上でコールされる度に放たれる霧(ここは毒ではなく水)が、一瞬のタメの後に噴射的に広がる(まさに霧)あたり、BUSHIの霧粒度が細かいことを示している。

もう一方の残忍性。これはIWGP Jr.チャンピオンとしてトップを張っていた2016年の、特にKUSHIDAとの抗争で噴射した瞬間に遡る。高橋ヒロムとのチャンピオン戦を勝利した後のKUSHIDAが、意気揚々とマイクアピールをする場面。
観客に対し(故意に起こす)ウェーブを要求するチャンピオン・KUSHIDAに、BUSHIが後ろから襲いかかる。至近距離から毒霧を放った瞬間KUSHIDAは倒れ、顔全面がドス緑な液体で覆われた。
逃げるKUSHIDAの背後からBUSHIがマイクで叫ぶ。「オイ!KUSHIDA!テメェ調子乗ってんじゃねーぞコノヤロー!エンセーリオ!マ・ジ・で」。自然発生するウェーブにしか価値はないだろうと煽りVTRで語るように、会場では立たざるを得なかった観客の「KUSHIDAに対する違和感」を上手に拾ったBUSHIの”毒”。残忍さと爽快感のマリアージュは観客を大きく沸かせ、「ロスインゴ派ではないがアンチKUSHIDA」なファンまでをも取り込み次戦への期待を大いに盛り上げた。

技は魅せ方とシチュエーション次第で、いくらでもファンの気持ちを高ぶらせることができる。
そんな好例だった。
コロナ禍では封印せざるを得なくなった毒霧だが、きっとまた華麗なる噴射を見られる日が来るだろう。

ちなみに、ラマ男は金丸の”ウィスキー霧"も大好きだ。ただし、彼は毒としては使わず、あくまで目つぶしとして、相手を攪乱するための攻撃として噴射する。
"粒度"やウマさではBUSHIを上回る場面もあるが、セコく見えてしまう(=そう見せている)のが玉に瑕。影響力という点では、やはりBUSHIが上手(うわて)だ。

4.ビューティフル・技

美意識が高い(なんなら高すぎる)、と先に書いた。しかし、BUSHIが美しいのは見た目だけではない。プロレスという競技の屋台骨を支えるプロレス技、そのどれもが美しいのだ。魅せるという点において、ここまで多彩で多才な選手も珍しい。


例えばトペ・スイシーダ。ルチャの代名詞とも言えるこの技をBUSHIロケットと命名した彼は、まさしくロケットが地を這うように相手に飛び込み、死を覚悟したような凛とした美しさを漂わせる。
あまりにも綺麗なその技に、解説の獣神が「BUSHIくんのトペは綺麗だ〜。芸術品。すっばらしい」と叫び、GK金沢氏も「BUSHIのトペは世界一。これぞトペ・スイシーダという見本です」と言い放つ。(BEST OF THE SUPER Jr.27/2020年11月29日@後楽園ホール 新日本プロレスワールドでは<1:40:30〜>)

ミサイルキックからのウインドミルも素晴らしい。マットから起き上がる際の回転数は毎回同じで、腕の動きまでズレがない。きっと昨日と今日の試合映像のそこだけを入れ替えて再生しても、なんの違和感も感じず見られレベル(あ、マスクが違う…笑)。

こうした技の美しさはファンや観客に向かって「技量に注目せよ」と暗に命ずる。その意味で、派手さやカッコよさだけに依存しないプロレス観の一翼を担う。プロレスの健全な楽しみ方を増やしたとも言えるだろう。

5.THE経営者

東京は葛飾区にある丸武(まるぶ)商店。唐揚げの美味しいこのお店は、知る人ぞ知る"BUSHIの店"。

副業全盛のこの時代、どんな職業人も仕事の幅を持っておくのが理想である。まして、怪我や突然の引退が付き物のプロレスラー。プロレス以外の収入口を持っておくことはとても大切だ。
CHAOS・矢野のDVD販売棚橋真壁のマスコミ出演(映画まで!)もそうだが、有名な立場を使って新しい仕事をする選手は案外多い。


毛色は違うが、全日本の川田もラーメン店を営み、さらに店舗経営の苦労話を書籍にまとめていたりする。


ことほど左様に、トップ選手といえど多角経営の時代なのである。

そこでBUSHIの登場。丸武商店のオーナーとして日夜お店の発展に励むBUSHIは、宣伝がとても上手い。いわば、共感マーケティングのプロ。客の購買心理をエンセリオに熟知した数々の手法で、「ぜひ買いたい!」気持ちを醸成する。これは販売に携わる誰もが見習うべきテクニックだ("トペ"の教科書掲載もよいが、マーケティング手法はMBA教科書の好事例だ。)
例えばお店の商品をすぐにでも食べたくなる、下記の動画。ファンマーケティングの鏡のような、先輩後輩の"じゃれ合い萌え"を含むファン垂涎のPR。

(試合では決して見られない、ただただ楽しそうなBUSHI(ヒロムはいつも楽しそう))

他にも、店舗HPだけで宣伝するシークレット企画(BUSHIマスク持参で唐揚げが半額)や、こちらもおそらくHPからしか購入できないロスインゴロゴ風丸武商店オリジナルグッズなど。
こうした店舗経営を、現役トップレスラーの間に成功させているところが素晴らしい。試合やトレーニングの合間に、唐揚げを調理し宣伝するサマはザ・経営者。仕事のできる男として、"カッコイイけど食えない"レスラー像を存分に打破してくれる存在として、後世の歩む道を明るく照らす偉大な先達である。
ちなみに、BUSHIのさらに先達としては、闘魂三銃士・蝶野正洋がいる。彼はnWoのリーダーとしてファッショナブルにプロレスをマネタイズした先駆者であり、引退後もアリストトリスト代表取締役としてブランド/ショップ経営から、宣伝(前田日明先輩との対談!)、俳優業、はてはバラエティ出演(ガキ使でビンタ!)までをこなしている。現役選手ではないものの、こちらも仕事のできる男代表。

きっとBUSHIもこの先、蝶野以上のクレバーさを発揮し、プロレスラーのマネタイズを体現していくことになるだろう。その意味で、選手誰もが彼の動向に注目せざるを得ないと言える。

ーー
以上、前編はここまで。
BUSHIの美意識、華麗さ、クレバーさにフォーカスし、選手としての重要性を検証した。そして、それらが合わさってゆく様こそ…は、後編に期待されたい。さらにBUSHIのイメージが変わるはずだ。

一選手に限ってもこれだけ書くことがあるほど、プロレスは掘っても掘っても底がない。とても奥が深い競技だとつくづく思う。まだまだ、ラマ男ちゃんの仕事は終わりそうにないぜ。エンセリオ!マ・ジ・で。

お後がよろしいようで。
では、続きは後編で。
アスタマニアーナ!テアモ!

PS.ラマ男 a.k.a.太郎の本業はこちら↓↓よかったらチェックしてみて!


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