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企画・コンサルのための「知識・経験のポートフォリオマネジメント」


はじめに

直近で自身のキャリアについて考える機会があり、今後どのようにスキルアップしていくべきかと考えていました。
その内容について言語化・共有を求められている背景もあるため、一度、以前から考えていたことを整理してみたいと思います。

なお、タイトルの「企画・コンサル」は主に「経営企画・事業企画・経営コンサル(戦略~総合)」のイメージです。

私のキャリア

参考として、自己紹介も兼ねて記載しておきます(多少、事実からぼやかしてます)。

  • 経理系実務を数年担当した後、経営コンサルタントとして10年弱。

  • クライアントは大企業が数社以外は、中小企業がメイン。

  • 直近数年は経営企画・事業企画・マーケティングにも関与。

  • リスキルしてAI活用にも挑戦中。

基本的には、同じことを続けられない性格で、新しいこと好きで、色々な領域に手を伸ばさせてもらっています。
加えて、大体は資格を取ればなんとかなると思っているので、沢山の資格勉強をしてきました。最近は資格で賄えない分野も増えてきて、読書の割合も高まってきた状況です。

なお、こちらの記事でも書きましたが、主な資格としては中小企業診断士、ITストラテジスト、E資格を持っています。

ITストラテジストは取ってから1年、E資格に関してはまだ数ヶ月ですが、中小企業診断士は1回は継続更新をしている程度の保有歴です。

知識・経験のポートフォリオ

さてここからが本題です。
「知識・経験のポートフォリオマネジメント」と表現すると、「自分にできること、知っていることを体系的に整理して増減を管理する」というイメージは何となく伝わるのではないかと思います。

そのため、難しいのはどのようにポートフォリオを描くかだと思っています。
これは、私の例で言えば「中小企業診断士の科目」がツリーの幹の役目を果たしてくれています。
こんなイメージです。

中小企業診断士の科目ベースのポートフォリオ

真ん中に置くのは「中小企業診断士」じゃないほうがよいと思いますが、経営企画や経営コンサルは専門の差はあれど、広く経営に関する理解を求められますので、これはフレームワークとして使いやすいです。

ポートフォリオ作成の手順としては、科目ごとに理解できている分野をどんどん書き足していくだけです。
それによってどの領域について自分の理解が浅いのか、パッと見で認識することができます。
私の場合は、(意図的に書いてない事情はありますが)経済学、経営法務あたりが特に弱いなーという自己認識です。

なお、中小企業診断士の科目での分解は万能ではないので、科目に囚われず、重要度の高いテーマを一つ選んでツリーを膨らませる、が良い方法だと思います。
※例えば「ESG」のE、S、Gを深堀りしてみるなど。

ポートフォリオ強化の方針ー深堀り

では、弱いところが見つかった上でどう強化していくかですが、弱いところが一つしかないケースはほぼ無いでしょうし、一つの分野でも広げればいくらでも広がるので、優先順位付けが重要です。

優先順位付けは色々な方法が考えられますが、一番はやはり「自身の課題感が強いテーマ」でしょう。
私は診断士で学んだ科目の中では、会計や企業経営の分野が実務上の関わりが強かったため、そこは読書しながら考えの補強をしていく程度でした。
一方で、実務上で関わってはいるものの、テコ入れが必要なのが経営情報分野でした。

そこで「基本情報技術者」「応用情報技術者」を2年ほどかけて順番に取得し、最終的には「ITストラテジスト」まで到達したという経緯です。
診断士の「経営情報システム」の知識があるのと、実務上、システム構想~導入に関わった経験はあったので、時間こそかけましたがそこまで苦労はしませんでした。

経営情報システムの分野(あくまで私のイメージです)

ただ、ITストラテジストまで取得して思ったのは、「結局、システムのこと自分では何もできないな」でした。
ITストラテジストはIPAの分野の中でも、最も抽象的というか、上流なので、その分、基礎的なエンジニアリングとは距離があります。
結果として、技術的なことがよく分かって無いまま、経営戦略の概念が分かって、システムを絡めたストーリーを構想できたことで受かってしまったのです。

ポートフォリオ強化の方針ー横展開

「技術が身についていない」という反省から私が次に取り組んだのは、前掲の画像で言えば「情報通信技術」の方です。
丁度、考えていたタイミングでChatGPTが公開されて流行りだし、AIの技術を理解できるようになろう!と勉強を始めました。
ここで取得したのがG検定からE資格です。

詳細はこちら(再掲)。

この記事にも書いてますが、数学もコーディングもAIもわからないので、非常に難儀しました。診断士、ITストラテジストが実務との関わりが強かった分、E資格は今までで一番「リスキリングしている」感覚が強かったです。

一方では、合格したことでかなり自信がつきました。
AIや情報通信技術に関して自信がついたというよりかは、勉強してみて満足したというか、「苦手なものは苦手だ!引き続き勉強はするけど、やっぱり自分は上流で飯を食うのが一番だ!」という開き直りでの自信獲得です笑

ただ、中小企業診断士が「経営者と専門家の橋渡し役」的な役割を求められているので、そのレベルでは十分な知見を得られたかなと思っています。

ポートフォリオ強化の方針ー今後

これで、ポートフォリオの左側の領域は多少、満足ができましたので、最近は改めて右側の分野の深堀りをしています。

診断士の別の領域

特に戦略からサステナビリティや、業界別の戦略、そこから派生してファイナンスの分野が自分の中で熱いです。

情報システム側も満足するにはまだまだ浅いですが、戦略やファイナンスもなまじ一度勉強したという自負があるせいで中途半端だったな~と感じています。

もちろん、AIや情報システムに関する分野も手を止めるつもりはありません。こういった右側の領域をどうDXしていくか、という視点に挑戦できるようになったわけですから、引き続き積極的に勉強していこうと思っています。

…という感じで、ほぼ私の例の紹介になってしまいましたが、何らかのフレームワークを作ってみて、それをベースに弱いところに注目して、深堀りして。また全体に戻って他の注力分野を探してリスキルして・・・という取り組みをしていくのが私にとっての「知識・経験のポートフォリオ」です。

なお、知識系の話を中心にしてしまいましたが、同時並行で関連する業務に挑戦し、経験を身に着けていくことをオススメします。
もちろん、経験自体の棚卸しにもこの発想は役立つと思います。

強化施策ー①資格取得

続いて、ポートフォリオ強化の手段について書いていきます。
1つ目はやはり、資格です。資格について調べると、すぐGoogleの検索候補に「◯◯(資格名) 意味ない」と出てくるのが個人的にすごい嫌なのですが、この世に取って意味のない資格はありません。

哲学的な話になってしまいますが、自分で意味を見いだせるかどうかがすべてだと思います。

なので、もちろん、難易度や出題範囲をチェックすることが前提ですが、ポートフォリオ強化のために良さそうだなと思う資格があれば積極的に取るべきでしょう。

資格のメリットは何よりも「参考書がある=体系的にまとまっている」、「達成基準が明確=合格」の2点です。
そのまま実務に使えるかどうかは別問題ですが、そのテーマに関して勉強する上で効率的な手法であることは概ね※間違いないです。
※できてすぐの資格は参考書が充実していなかったり、出題(難易度)が不安定だったりする可能性があるので、その点は注意です。

強化施策ー②読書

2つ目の手段は読書です。資格がない分野・レベル感のテーマであっても、何らかの書籍は書かれているケースが多いです。

探す手段は本屋でも、Amazonでも良いのですが、個人的にオススメな方法は以下の通りです。

  • 概要、入門系の本を読む(自分にとって低レベルでも良い)

  • 理解の浅いトピックを把握する

  • 該当トピックに関する「参考書籍」を調べる

  • 以下、繰り返し

ちゃんとした入門書であれば、深堀りのための手段として「参考書籍」を載せてくれているので、2冊目でそっちの書籍に入っていきます。
また、参考書籍そのものでなくても、近しいキーワードで別の本を探すこともできます。

私の直近の例では、サステナビリティ経営における「ガバナンス」を理解したいと思い、Amazonで「ガバナンス」で調べて以下の本にまずたどり着きました。

その上で、この著者の松田さんの別の本も買いつつ、本を読んでROICの深い理解が必要だなと感じて以下の本を買いました。

次は、このROIC経営の実践編や、松田さんの別の書籍に手を広げていく想定です。

診断士の科目のような大きなポートフォリオではないのですが、関連する書籍を追っていく形で、徐々に自分の中で「その分野の理解」を強化していくのは良い方法だと思っています。

強化施策ー③実務

言うまでもなく最強のポートフォリオ強化施策はこの実務なのですが、あえて三番目にした理由はあります。
それは、「実務は自分の意志で選びづらい」からです。

新卒の就職活動でイメージしていた仕事と、実際の仕事が違うなんてことはよく聞く話ですし、中途採用については、経験者が求められるわけですから、強化できていないと希望の職に就くことは難しいです(下のポジションは当然の選択肢です)。

どちらかと言うと、強化施策というよりは、自身のポートフォリオの「強いところ」を整理するときにプロットできるのが実務なんじゃないかなと思います。

私の例を、診断士科目ベースのポートフォリオで言えば、会計や組織論などの領域です。ここは、もちろん引き続き実務で強化していく発想は必要なのですが、どちらかと言うと、この強みを軸に、ポートフォリオの他の部分を伸ばすか、を考えることが大事です。

なぜなら、そのまま実務を続けたら、その特定の領域のポートフォリオしか強化されないわけですので。
そういう意味でも、第3の選択肢という位置づけです。

まとめ

その他の強化施策として、「動画コンテンツ」「講演・セミナー」「勉強会」なども挙げられますが、基本的な発想は①~③に集約できるかなと思い、割愛しました。
あとやっぱり、他と比較して資格・読書はコスパが良いと思いますね。

ただ漫然と実務に取り組むより、資格・読書を通じて、自分の中に理解のフレームを作った上で実務に取り組む方が理解度は増します。
自身の技術を言語化できない技術者の方をたまに見かけますが、本当にもったいないので、是非、フレームだけでもリスキルしてほしいなと思います。

また、今回は診断士のフレームで書いてみましたが、実際はこんな綺麗なツリー構造ではないです。
例えば、「機械学習」から「マーケティング」にも線が伸びますし、「IT戦略」は「経営戦略」の一分野ですし。それぞれが細かく分岐して、つながりあって、というそれこそとんでもないニューロン構造かもしれません。

繰り返しになりますが、そういう適当なフレームを頭の中にぼんやり思い浮かべながら、経験の棚卸しをしたり、足りないところを探して取り組んでみたり、ということを「知識・経験のポートフォリオマネジメント」と呼んでみることにしました。
何かの参考になれば幸いです。以上です。

↓近しいトピックの記事を見つけたのでリンク貼っておきます。

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