起き抜けのカンキツ。
隣に棲む怪物はいない。
昨晩は貴重な熟睡を獲られた。金曜、土曜の晩は比較的そんな睡眠がえられる、数少ない晩だ。
すると、カンキツの大好きな雨が降ってくる。
雨がみたい。雨粒がみたい。
カンキツは、音だけでは我慢できなかった。
白のレースのカーテンを開け、窓をあけ、白粒の降り頻る雨をみて圧倒され、満足する。
その後、カンキツの常備品。とあるスーパーのお墨付きあらびきポークウインナーでとりあえず、腹拵え。
最低限のクオリティを保っている味と歯応えと食感。
ラジオからは、秋元順子が聴こえてくる。カンキツが認める数少ない歌手だ。六十一歳にしてデビューか。カンキツにとってもそれはかなりの夢があった。
嘉村磯多を図書館にて、借りようとして、どしゃ降りに遮られたカンキツ。
今更、雨足を止まれても、もう一度という気分にはなれないのが人間だ。ばーか。