見出し画像

【物語研究】プルースト効果とは?あの大ヒットドラマ『First Love』での使用例



プルースト効果の心理学的背景

プルースト効果とは、特定の感覚刺激(匂い、音、味、視覚など)が過去の記憶や感情を呼び覚ます現象です。この名前は、フランスの作家マルセル・プルーストの作品『失われた時を求めて』に由来します。プルーストは、主人公がマドレーヌの香りと味を感じることで幼少期の記憶が蘇るシーンを描いています。

この現象は感覚記憶に基づいています。感覚記憶は、五感を通じて得た情報が一時的に保存される記憶の形式であり、特に嗅覚や味覚は記憶を強力に引き出すトリガーとなることが多いです。シェフランとオックスフォード大学の研究によれば、嗅覚が他の感覚よりも記憶を強力に引き出す理由は、嗅覚が脳の記憶と感情を司る部分(海馬と扁桃体)に直接つながっているためです。

映画『ファーストラブ』でのプルースト効果の使用例

Netflixのドラマ『ファーストラブ』では、第8話「ある午後のプルースト効果」でこの現象が使用されています。このエピソードでは、登場人物たちが過去の出来事や感情を思い出すシーンが描かれ、特に主人公が幼少期に体験した思い出が現在の行動や感情に影響を与える様子が強調されています oai_citation:1,Watch First Love Season 1 Episode 8 - The Proust Effect on a Certain Afternoon Online Now oai_citation:2,SHE REMEMBERS - Netflix's FIRST LOVE Reaction - Episode 8 "The Proust Effect On A Certain Afternoon" - YouTube

このエピソードでは、特定の感覚刺激がキャラクターの記憶を呼び覚まし、物語の進行に重要な役割を果たしています。例えば、主人公が特定の場所に訪れることで、幼少期の記憶や感情が蘇り、現在の行動に影響を与えるシーンがあります。これにより、視聴者はキャラクターの内面的な葛藤や成長をより深く理解することができます。

プルースト効果の物語作りへの応用

プルースト効果は、物語作りにおいて強力なツールとなります。以下に、実際にプルースト効果を物語に仕込む方法をいくつか紹介します。

1. 感覚的なトリガーを設定する

キャラクターが特定の感覚(匂い、音、味、視覚的なもの)を感じることで、過去の出来事や感情を思い出すシーンを作ります。これにより、キャラクターの背景や内面を深く掘り下げることができます。

例:キャラクターが子供の頃に食べた特定の料理の香りを嗅ぐことで、幼少期の幸せな記憶が蘇るシーンを描く。

2. 現在と過去を結びつける

過去の記憶や感情が現在の物語の展開に影響を与えるシーンを描きます。これにより、ストーリーに深みと複雑性を加えることができます。

例:キャラクターが過去のトラウマを思い出すことで、現在の行動や決断に影響を与えるシーンを描く。

3. 感情的な共鳴を引き出す

観客や読者がキャラクターと一緒に過去の記憶を追体験し、感情的な共鳴を感じるようなシーンを作ります。これにより、視聴者や読者が物語により深く引き込まれます。

例:キャラクターが特定の音楽を聞くことで、過去の愛する人との思い出が蘇るシーンを描く。

まとめ

プルースト効果は、物語作りにおいて感覚的な刺激を通じて過去の記憶を呼び覚ます強力なツールです。映画『ファーストラブ』や『レミーのおいしいレストラン』などの具体例からもわかるように、この効果を上手に活用することで、キャラクターやストーリーに深みと感情的な共鳴を持たせることができます。

参考文献

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?