無謀な海外一人旅その2

初めての無謀な海外一人旅から2か月後。私は死ぬ思いで車を走らせていた。成田空港へ向けて・・

厳しい寒さも緩み桜の開花が待ち遠しい頃、私は再び韓国へ行く事を決意した。目的はライブ。1日だけ参加の予定だったので「チムジルバン(寝る事も出来るサウナ)にでも泊まればいいや」などというこれまた安易な考えで宿は予約しなかった。学習しない奴である(笑)

ただ前回と違ったのはwifiをちゃんと借りた事。これさえあればどうにかなる、位の考えで、かなりの軽装で向かった。

最寄りの駅(といっても1時間位はかかる)に車を停めて、そこから電車で成田空港へと向かう予定だった。

が!そこは時間認識の能力が著しく低い私(遅刻魔ともいう)のこと・・

気付いたらどう考えても搭乗に間に合わない時間になっていた。パニックになりつつ「車で空港まで行けば間に合うかも?!」というわけのわからない考えに辿り着き、鬼の形相で車を走らせた。冷静に考えれば、電車で間に合わないのに車で間に合うわけが無いのだけれど。

「ディズニーランドから成田空港までってこんなに遠かったのか・・」と通常の倍以上にその距離を長く感じつつ、泣きそうな気持で必死に運転していたが、案の定大渋滞にハマる。

「・・終わった。飛行機代がパァだ・・」

大韓航空で直前に取った便だった為少々高かったので、余計に自分のふがいなさを呪った。「こんな事ならLCCにしておけば良かった・・」等と泣きごとを言いながらなんとか空港に着き、とりあえずカウンターに駆け込んでみた。この時出発の5分前。流石に搭乗予定の便に乗るのは無理と断られる。当たり前だ。

しかし!なんと、次の便に振り替えてもらえる事に!!さすが大手航空会社。追加の料金はかかるが飛行機代はパァにならずに済んだ事と、どうにか韓国に行ける事に安堵した。

前言撤回!!LCCにしなくて良かった!!ビバ大手!!

無事に渡韓できる事にはなったが、チケットの受け渡し時間に間に合わなくなった為、譲渡を断られてしまった・・機内ではネットができない為、空港に到着後すぐにネットでチケット探しを始める。幸い、すぐに見つかり譲渡の約束を取り付けた。だが、空港から会場までがものすごく遠い。会場は見えているのになかなか辿り着かない様にヤキモキしながら、会場に到着したのはなんと開演5分前。なんとかチケットを受け取り会場に入ると、既に照明が落ち暗くなっていて自分の座席が見つからない。現地の優しいファンに助けられつつ、なんとか自分の席に辿り着いた。

すると、隣の席の現地ファンが必死に私に何か話しかけてきた。どうやら私を挟んでその子の友達が座っているので、席を換わってほしいと訴えているようだった。よくわからないまま席を換わる私。

しかし、これが運命の出会いをもたらす事になるとはこの時思いもしなかった。

ライブが始まったがMCはもちろん韓国語なので、メンバーが何を話しているか全くわからない。しかしそこは子供のころから空気を読み続けて生きてきた私のこと。とりあえずまわりに合わせて笑い続けた。

席を換わった子と反対側の隣の子は、日本公演のペンライトを持っていたのでどうやら日本人らしかった。その日本人らしき子はとても親切で、サプライズの演出の時掲げるボードの事を教えてくれたり、私がファンのメンバーが近くに来ると合図してくれたりした。

全部ジェスチャーで(笑)

どうやら私の事を韓国人だと思っているらしかったのだ。

そんなこんなで無事にライブを楽しく鑑賞し終わったので、その日本人らしき子にお礼を伝えた。すると、

「え!日本人だったんですか?!みんなが笑う所で一緒に笑ってたから韓国の方だと思ってました!」

やっぱり(笑)分かるフリをするのは良くないな、とこの時反省したのだった。

ライブ終了後は知り合いのグループに合流の予定だったので、その子と連絡先を交換してからお別れした。しかし会場の混雑の為か、私の設定のせいなのか全くネットが繋がらず。帰りは完全に知り合いをあてにしていたので、「このまま会えなかったらどうやって帰ればいいのだろう・・会場付近はぼったくりタクシーだらけだし、電車も終了しているし、言葉はわからないし・・」と、途方に暮れていた。

すると・・

「・・○○ちゃ~ん・・」

微かに私の名前を呼ぶ声が聴こえた。

幻聴かな?と思いつつ歩き回ると、先程連絡先を交換した日本人の子がワゴンから私を呼んでいるではないか!

別れる時に、私がネットがなかなか繋がらずに知り合いと連絡が取れていない事を心配していたらしく、私を探してくれていたのだ。なんて優しい子なのだろう。私は知り合いと合流する事を諦め、その子達と一緒に帰らせてもらった。日本語が通じる運転手に送迎を頼んでいたらしい。

「普通は送迎を予約しておくものなんだな・・」

あれ?デジャビュ?前回の旅行でもそんな当たり前の事に感心していたような・・

その子が宿泊していたのがとても豪華な広い部屋だったので、早朝の出発までの間、そこに居させてもらう事に。もう一人いた日本人の子もこの旅で知り合った子らしかったが、みんなほぼ初対面とは思えないほど話が盛り上がった。趣味が同じというだけですぐに打ち解けられるから不思議である。

始発の時間が近づき、日本で再び会う事を約束してホテルを後にした。

その後は無事に早朝便に間に合い、日本に帰る事が出来た。しかし、成田空港まで車で来たのだから、当然帰りも車で帰らなくてはならなかった事は本当にきつかった。ほぼ寝ていなかったので、休み休み運転してなんとか家路についた。私のとても濃い1日半が終わった。

前回同様、本当に人に恵まれ助けられた旅であった。

終わりよければ全てよし

私の合言葉のようになっているなぁ。

この時出逢った友達とは今でも一緒にライブに行ったりしている。もしあの時、予定通りの便で飛んでいたら、予定通り最初のチケットで見ていたら、座席を換わらなかったら・・偶然の連続で出逢えた不思議なご縁。本来は出逢えなかったはずの友達なので、起きて良いトラブルだったなぁと思う。むしろトラブルは必然だったのかもしれない。

こんな風にトラブルにも感謝していたので、更にトラブルに逢う事になるのだが・・

<つづく>


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?