【思い出エッセイ】学校からの電話
小学校低学年の時、私は自他ともに認める(自は現在の自であるが)問題児であった。
カッとなるとすぐに手が出てしまう性格で、言い合いになるとクラスメイトを殴ったり蹴ったりしてしまっていた記憶がある。
今思うと当時なぜあんなにも暴力的だったのか分からない。
(何かしらの大きな不満が日常的にあったわけでもないと思うが......)
クラスメイトとの喧嘩の原因や、相手の怪我の具合などは(相手には申し訳ないが)全く覚えていない。
ただその問題児に関することで未だによく覚えているのは、電話の受話器を耳に当てて必死に頭をペコペコ下げている母親の姿であった。
私が問題を起こすと当然、学校から家に電話がいく。
家に帰ったら母親に怒られるのは私自身分かっている。
怪我を負わせた相手に申し訳ないとか、友人関係の問題などそんなことは頭から吹っ飛んでいる。
とにかく帰宅後に母親に怒られるのが怖くて怖くて仕方なかった。
しかし怖がったところで、帰る先は家しかない。
当然毎回こっぴどく叱られる。鬼の形相とはあのことである。
被害者の親に対して私の親が謝罪の電話をかけるのは私が下校している最中、もしくは私の帰宅した時がまさに電話の最中、というケースが多かった気がする。
眼鏡が壊れたから弁償するだとか、怪我の具合はどうだとか話していた。
相手方の親の反応はどのようだったのだろうか。
「子供同士はそういうのありますよね」で全てが軽く済まされたということは無いであろう。
学校から電話がかかってくるということがあまりにも多く、そして大抵その電話の後には親からお叱りを受けるので、小学生のときの私は電話の音に常にビクビクしていた。
あれから10年以上経っているわけだが、今でも家の電話の音を聞くと、喉のあたりを押される感じがして手汗が出てくる。
何も悪いことをしてないはずなのに何か問題を起こしたはずであるという前提で自分の行動を振り返ってしまう。
先日帰省した際、「家電話はもう使わないから契約を解除してもいいのでは」と親に提案しておいた。
次に帰省した時には家電話がなくなっていることを願う。
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