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ただ眠りたいだけ

この世でわたしが最も好きなことは睡眠で、死ぬほど嫌いなものは朝が来ることである。遮光カーテンの隙間から差し込む太陽の光とか、路上を歩く声の賑わいとか、目をこすりながら浴びるシャワーとか、半分は雑音でしかない朝のニュースを聞き流しながら儀式的に食べる朝食も、あまり好きじゃない。

でも、夜は好きだ。特に雨が降ったあとの夜は良い。窓を開けると、遠くからかすかに聞こえてくる踏切の音が、わたしの心に静かに寄り添ってくれる。コンクリートに深く染み込んだ雨の匂いもまた好きだ。

それに、夜が来るとそろそろ眠っていいということになる。朝が来るとともに着衣した重い鎧を脱ぎ捨てて、柔らかな布団に包まれる、1日の中で1番好きな時間だ。

だから明日こそ朝が来ないことを祈りながら、今日もおやすみなさい。


らいむぎちゃん。をちょっとだけ幸せにする