2019年10月22日
世間が「即位礼正殿の儀」一色に染まる中、仕事へ向かう私の視線は自然と俯きがちになり、電車の窓から差し込む日と、影の境界線を無意味に見ているだけであった。
祝日ムード漂う家族やカップルなどの話し声が聞こえては消え、また聞こえては消えて、ようやく電車が上野に差し掛かろうとしたときに、私は何気なく顔をあげた。
すると歳はおそらく20代後半くらいの、肌の白い青年と目があったのだ。丁度眉毛にかかるほどで切り揃えられたまっすぐな前髪が、銀縁の眼鏡越しにこちらを見つめるアーモンドアイを更に