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暗くなるまで豚肉と待っていて
現代川柳と400字雑文 その97
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高橋さんの描いた豚の絵が県知事賞をとったのは小学3年生のときだった。図工の時間に学校のそばの豚小屋で描いたもので、小学生にしては立派な写実的タッチの作品だった。作品はコンクール入賞後の1年間ほど図工室の壁に貼られた。まるまる肥った豚2頭が左側を向いている。誇らしさと恥ずかしさの入り混じった妙な気持ちだったと高橋さんは言う。ある日、その豚の片方の額から赤い「角」が生えた。クラスメイトのOくんのいたずらで、陰湿な意地悪というより、悪ふざけが行きすぎてしまったものだった。細い絵筆で真っ赤な線が一本、豚の額から引かれている。教師に促され泣きながら謝るOくんを高橋さんは許したが、つぎの図工の時間、仕返しに自分の筆でOくんの額に赤い絵の具を塗りつけてしまった。良くないことだとわかってはいたものの、思いついたつぎの瞬間には体が動き出し、そうしてしまったのだという。Oくんはいったんはあっけにとられていたものの、やがていよいよ顔を真っ赤にすると、自分の筆の筆先とは逆側のとがった部分を高橋さんの額に(あるいは目?)に突き刺そうとしてきた。とっさに避けてことなきを得た高橋さんだったが、そのときなぜか「ああ、あの赤い線は、豚の額から生えていたんじゃなく、そこに《刺さって》いたんだな」と《わかった》そうだ。高橋さんもOくんも地元に留まり、いまでもたまに遊ぶ仲だそうだ。またしても怪談ではないが、なんとなく怖い話だな〜と思いました。
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